第4発射施設(Space Launch Complex 4、SLC-4)は、アメリカ合衆国カリフォルニア州のヴァンデンバーグ宇宙軍基地内の打ち上げおよび着陸施設。同施設には2ヶ所の発射台が設けられ、どちらもスペースXがファルコン9用に使用しており1ヶ所は打ち上げに使用されているが、もう1ヶ所はファルコン9ブースター着陸用の第4着陸地点(Landing Zone 4、LZ-4)として使用されている。
以前、この施設は1963年から2005年にかけてアトラスおよびタイタンロケットのために使用されていた。施設内にはSLC-4WおよびSLC-4Eの2ヶ所の発射台があるが、以前はそれぞれPALC-2-3およびPALC-2-4と呼ばれていた。両方の発射台はアトラス・アジェナ・ロケットのために建造されたが、のちにタイタン・ロケットのために作り直された。SLC-4という名称は、タイタン・ロケットの打ち上げように改造された際に付けられた[1]。
第4発射施設の両方の発射台は、現在はスペースXに貸し出されている。SLC-4Eはファルコン9ロケットの発射場としてリースされており、2011年初頭に開始された24か月の改修プログラムを経て、2013年9月29日にヴァンデンバーグから初飛行した[2][3]。
スペースXは再利用可能なファルコン9ロケット(英語版)のVTVL発射場復帰(RTLS)第1段ブースターを着陸させるための「着陸」パッドとして使用するために2015年2月に第4発射施設西エリアの5年リースを開始した。このパッドは、その後スペースXによって第4着陸地点(LZ-4)と名付けられ、2018年にファルコン9ブースター着陸のために初めて実運用された。
PALC2-4からの初めての打ち上げは1964年8月14日のアトラス・アジェナDを使用したKH-7衛星の打ち上げだった。1967年6月4日を最後に、27機のアトラス・アジェナの打ち上げのあとで施設は閉鎖された[4]。
1971年に施設は再開され、マーティン・マリエッタのタイタンIIIロケット向けに改修された。タイタンIIID(英語版)は、1971年6月15日に最初のKH-9衛星を搭載してSLC-4Eから初飛行した[5]。最初のKH-11(英語版)衛星は、1976年12月19日にこの施設から打ち上げられた[6]。1982年11月17日にまでに、総計22機のタイタンIIIDがSLC-4Eから打ち上げられた。
その後、この施設はマーティン・マリエッタのタイタン 34D向けに再改修された。1983年6月20日から1988年11月6日までの間に7機のタイタン 34Dが打ち上げられた[7]。SLC-4Eは、1986年4月18日にKH-9写真偵察衛星を搭載したタイタン 34D 9号機が発射台の数百フィーと上で爆発したことでアメリカ史上もっとも劇的な打ち上げ事故の現場となった。巨大な爆発によって発射施設には破片や有毒な推進剤(ヒドラジンと四酸化二窒素)が降り注ぎ、甚大な損傷をもたらした。事故から16か月後に発射台は再稼働し、KH-11衛星の打ち上げが成功した[8][9]。
この施設を使用した最後のタイタンの派生型は1991年3月8日のラクロス2の打ち上げから始まったタイタンIVだった。2005年10月19日に、改良型クリスタル(英語版)衛星を当さしたタイタンIVBの打ち上げがSLC-4Eからの最後のタイタンの打ち上げとなった。68回の打ち上げに使用されたこの施設は、この打ち上げ後に現役から外された[10][11]。
スペースXは2011年前半から24ヶ月かけてSLC-4Eをファルコン9向けに改修した[2]。「重大な影響はない」とした環境アセスメントの草案が2011年2月に発行された[2]。2011年夏に発射台の固定式および移動式整備塔の解体が開始された[3]。
2012年後半までに、スペースXはヴァンデンバーグの発射台からの最初の打ち上げは、より大型のファルコン9 v1.1を2013年に打ち上げることになると予想していた[12]。2013年2月に発射台がほぼ完成に近づいていたので2013年夏の初打ち上げが予定されたが[13]、2013年9月にずれ込んだ。
機体番号
SLC-4Wは1963年に発射施設4Wとして運用を開始され、2003年まで発射サイトとして運用を継続されていた。2015年にスペースXが発射サイトを着陸地点LZ-4へと作り替えた。着陸運用は2018年からLZ-4で行われている。
現在のSLC-4を使用した最初の打ち上げは、1963年7月12日にアトラスLV-3(英語版)アジェナ-Dを使用して最初のKH-7 ガンビット偵察衛星ををPALC-2-3を打ち上げた。PALC-2-3からは、1965年3月12日までに12機のアトラス・アジェナが打ち上げられた。
その後、タイタン打上施設のSLC-4Wとして再建された。SLC-4Wからの最初のタイタンの打ち上げは1966年7月29日のタイタンIIIB(英語版)だった。SLC-4Wからは総計68機のタイタンIIIBが打ち上げられ、最後の打ち上げは1987年2月12日に行われた。
タイタンIIIBの退役後、SLC-4Wはタイタン23Gの打ち上げ場所となり、1988年9月5日から2003年10月18日までの間に23G軌道構成のタイタンIIが12回打ち上げられた。タイタン23Gの退役後にSLC-4Wは廃止された。総計93機のロケットがSLC-4Wから打ち上げられた。
SLC-4Wは1994年1月25日にタイタン23Gで打ち上げられた、ヴァンデンバーグから月に向けて打ち上げられた唯一の宇宙船であるクレメンタインの打ち上げ場所だった。
スペースXは、SLC-4Wを再利用可能ロケット(英語版)の着陸場所として使用するために、2015年2月にの5年間のリース契約を結んだ。この場所は、隣接するSLC-4E打ち上げパッドから打ち上げられたファルコン9ロケットの発射場復帰(英語版)(RTLS)第1段ブースターの垂直着陸として使用されている[30][31]。
SLC-4Wのこの斬新な用途は、2014年7月に、スペースXが再利用可能な第1段ブースターのRTLS垂直着陸施設として使用するためにSLC-4Wをリースすることを検討していると NASASpaceFlight.com が発表したときに初めて浮上した[32]。
着陸パッドの建設が始まると、パッド上の主要構造物は2014年9月に解体され、2017年頃に完成した[33]。
洋上への帰還については自動宇宙港無人船(英語版)を参照
スペースXは、ケープカナベラル宇宙軍施設に建造された2つの着陸パッド(英語版)でRTLS着陸を完璧に行ってきた[31][34]。当初は、2017年12月に10機のイリジウムNEXT衛星の第4バッチを打ち上げるために使用されたブースターがヴァンデンバーグ空軍基地にチャクリックする最初のブースターになると考えれていたが[19]、このミッションは最終的に使い捨てモードで実施された[35]。2018年7月にスペースXは連邦通信委員会(FCC)に、SLC-4Wでのファルコン9第1段との着陸後の通信の許可を申請した。これはおそらく2018年9月のある時点での着陸の可能性を示しており、おそらくSAOCOM 1Aミッションのためだったが[36]、このミッションは後に2018年10月8日に再スケジュールされた。この最初の着陸の試みの数週間前にFCCの許可や、その地域のソニックブームに関する一般への警告を通して、スペースXがこの着陸台を着陸地点4(Landing Zone 4)と改名したことが一般に知られた[30]。最終的に、この着陸台は2018年10月にアルゼンチンのSAOCOM 1A衛星の打ち上げに使われたファルコン9ロケットの第1段ロケットブースターの着陸に初めて使用された[30]。
† 左記のマークが付いたものは失敗したミッションや機体など
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