「ワン・アフター・909 」(One After 909 )は、ビートルズ の楽曲である。1970年に発売された12作目のイギリス盤公式オリジナル・アルバム『レット・イット・ビー 』に収録された。レノン=マッカートニー 名義となっているが、ジョン・レノン によって書かれた楽曲。1960年春までに書かれた楽曲で、レノン=マッカートニーの初期の作品の1つとなっている。
1969年1月30日に行なわれたルーフトップ・コンサート で演奏された楽曲の1つで、アルバムおよび映画『レット・イット・ビー 』には同ライブでの演奏が収録された。
背景
本作についてレノンは、1980年の『プレイボーイ 』誌のインタビューで「17歳くらいの頃に書いた曲。僕はニューキャッスル通りの9番地に住んでいて、10月9日に生まれ…。9という数字には縁があるんだ。6か3だったとしても、それは9の一部だ」と語っている。ポール・マッカートニー は、映画『レット・イット・ビー 』の中で「僕らの最初の曲だよ。毎日学校から帰ると、僕らは座って曲を書いていた。『ラヴ・ミー・ドゥ 』とか『トゥー・バッド・アバウト・ソローズ』とか100曲くらいね。荒削りだったからレコーディングはしなかったけど、いい曲ばかりさ。『ワン・アフター・909』もその一つだ。歌詞は好きじゃなかったけどね」と語っている。
1960年に「ワン・アフター・909」のホーム・レコーディング(未発表)が作成されており、マッカートニーは「ときどきテープ・レコーダーを借りることがあってね。小さな緑の目がついたグルンディッヒ だった。それで、僕の家に集まって、ちょっとしたレコーディングにトライしていた」と振り返っている。なお、1958年にクオリーメン が「ザットル・ビー・ザ・デイ 」や「イン・スパイト・オブ・オール・ザ・デインジャー 」のレコーディングを行なった際に、本作も録音されたという説も存在するが、それを裏づける音源は発見されていない。
レノンはアップル・スタジオでのセッション時に、1963年末にローリング・ストーンズ に本作を売り込んでいたことを明かしている[ 注釈 1] 。
レコーディング・リリース
「ワン・アフター・909」は、1963年3月5日のセッションで「フロム・ミー・トゥ・ユー 」や「サンキュー・ガール 」とともにレコーディングされたが、仕上がりに不満を持ったことにより、この時点では没となった。その後6年にわたって本作は棚上げされたままとなっていた。1995年に発売された『ザ・ビートルズ・アンソロジー1 』には、1963年3月5日のセッションで録音したテイク3、4、5の一部とスタジオでの会話を組み合わせた音源が収録された。
1969年1月28日にアップル・スタジオ で行なわれたセッションで取り上げられ、同日のセッションでは4テイク録音された。同月30日にアップル・コア の屋上で行なわれたルーフトップ・コンサート で演奏され[ 10] 、アルバム『レット・イット・ビー』や同名の映画には同ライブでの演奏が収録され、2003年に発売された『レット・イット・ビー...ネイキッド 』にもルーフトップ・コンサートでのライブ音源が収録された。2021年に発売された『レット・イット・ビー (スペシャル・エディション) 〈スーパー・デラックス〉』のディスク2にはテイク3が収録された[ 11] 。
なお、『レット・イット・ビー』の元となったアルバム『ゲット・バック』[ 注釈 2] には、オープニング・トラックとしてルーフトップ・コンサートでのライブ音源が収録されている。同作に収録されているアレンジは、『レット・イット・ビー』に収録されているテイクと同じであるが、冒頭にビリー・プレストン のエレクトリックピアノ の音が入っており、レノンとマッカートニーのボーカルが左右に分かれて聞こえるなどの違いがあるほか、曲の最後にレノンの「I'd like to say thank you on behalf of the group and ourselves, I hope we passed the audition.… (グループを代表し「ありがとう」を申し上げます、オーディションに通ると良いんですが)」という締めの言葉[ 注釈 3] が加えられている[ 12] 。
クレジット
1963年3月5日のセッション
1969年1月30日(ルーフトップ・コンサート )
カバー・バージョン
脚注
注釈
^ 最終的にローリング・ストーンズは、バンドの2作目のシングルとして同じくレノン=マッカートニー作の「アイ・ウォナ・ビー・ユア・マン 」を選んだ。
^ グリン・ジョンズ がプロデュースを手がけたアルバムで、1969年5月と1970年1月の2度にわたって編集が行なわれたが、メンバーによって却下された。後にフィル・スペクター によるリプロデュースにより、オーケストラやコーラスなどが加えられ、曲を一部変更してまとめられたものが『レット・イット・ビー』として発売された[ 12] 。
^ 実際は、ルーフトップ・コンサートでレノンがコンサートのラスト・ナンバーである「ゲット・バック 」の演奏後に発した一言。
出典
参考文献
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Everett, Walter (1999). The Beatles as Musicians: Revolver through the Anthology . Oxford University Press. ISBN 978-0-19-512941-0 . https://books.google.com/books?id=1CAvwZPKTkoC&dq
ハウレット, ケヴィン (2021). レット・イット・ビー <スペシャル・エディション [スーパー・デラックス]> (ブックレット). ビートルズ . アップル・レコード .
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Lewisohn, Mark (2013). The Beatles: All These Years, Volume One - Tune In . New York: Crown Archetype. ISBN 978-1-4000-8305-3
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外部リンク