ルトノ・マルスディ(インドネシア語: Retno Lestari Priansari Marsudi, 1962年11月27日 - )は、インドネシアの政治家、外交官。同国第17代外務大臣、在オランダインドネシア大使、在ノルウェー及びアイスランドインドネシア大使を務めた。
経歴
1962年11月27日にインドネシア、中部ジャワ州、スマランにて、高校教師で退役軍人のモク・シディクと、高校職員のルトノ・ウェルディニンシの5人兄弟の長女として誕生する[1]。スマランSMAN3卒業後、国際関係学を専攻し、1985年ガジャ・マダ大学卒業。その後、ハーグ応用科学大学(英語版)で国際欧州法・政策の修士号を取得し、クリンゲンダール研究所(英語版)で外務省研修プログラムに参加、大学卒業後には外務省に入省。
1997年から2001年まで、オランダ、デン・ハーグのインドネシア大使館で経済担当一等書記官を務める。2001年、欧米担当部長に任命され、2003年には西欧担当部長に昇進。2005年、マルスディは駐ノルウェー及びアイスランドインドネシア大使に任命された[2]。在任中の2011年12月には、インドネシア人として初めてノルウェー王国功労勲章(英語版)を受章した[3]。また、短期間ながらオスロ大学で人権の研究を行った。マルスディはジャカルタに戻り、欧米担当局長に任命された。
2011年、スシロ・バンバン・ユドヨノ大統領より駐オランダインドネシア大使に任命される。また、欧州連合、アジア欧州会合、アジア中南米協力フォーラム(英語版)とのさまざまな多国間交渉や二国間協議を主導してきた。
2014年10月27日、マルスディはジョコ・ウィドド大統領内閣で外務大臣に任命された[4]。2019年10月、インドネシア前進内閣(英語版)でジョコ・ウィドド大統領により外務大臣に再任され、2期目を務める。2021年、マルスディは、カリナ・グルド(英語版)、リア・タデッセ(英語版)とともに、COVAX事前買取制度関与グループの共同議長に任命された。
事前買取制度は、92の中低所得国のCOVAXファシリティーへの参加を支援し、新型コロナウイルス感染症ワクチンへのアクセスを確保するために設立された融資手段である。2023年、マルスディはインドネシアに新設された東南アジア諸国連合ミャンマー特使事務所を率い、5点合意の実施を推進するとともに、現在進行中のミャンマー内戦における「すべての利害関係者」と対話し、危機の解決策を見出すよう努めた。しかし、在任が終わるころには、ミャンマーにおける暴力の終結にほとんど影響を与えることはできなかった[5]。
2024年7月26日、ラオスの首都ビエンチャンで開かれた、東南アジア諸国連合(ASEAN)各国外相らと中国の王毅共産党政治局員兼外相との会議に出席し、王に対して南シナ海問題を踏まえて「対話によって平和的に解決すべきだ」「中国はインド太平洋地域の平和と安定の維持に貢献する必要がある。南シナ海の問題は中国とASEANの障害となっている」などと述べた[6]。
同年10月20日、プラボウォ・スビアントが大統領に就任し新内閣発足、スギオノがマルスディの後任として外務大臣に就任した。
脚注