ウィキメディア・コモンズには、
ムカゴイラクサに関連するメディアがあります。
ムカゴイラクサ(珠芽刺草、学名:Laportea bulbifera )は、イラクサ科ムカゴイラクサ属の多年草[2][3][4]。
特徴
根は紡錘状に肥厚する。茎は緑色で、直立して、高さ40-80cmになる。茎、葉に触れると痛い刺毛がまばらに生える。葉は互生し、長い葉柄があり、葉身は狭卵形から卵状楕円形で、長さ5-15cm、幅3-6cmになる。縁には同形の粗い鋸歯があり、葉の先端は鋭くとがり、基部は円形から鈍形になる。葉腋に直径約5mmになるむかごができる[2][3][4]。
花期は8-9月。雌雄同株。雄花序は下方の葉腋から出て分枝し、柄のない長さ4-7cmの円錐花序になり、多数の雄花をつける。雄花序は葉より短い。雄花は緑白色で小型、花被片が4-5個、雄蕊が4-5個ある。雌花序は、先端の葉腋から立ち、長い柄を含め長さ4-7cmに伸びて円錐花序になり、多数の雌花をつける。雌花は淡緑色で、花被片が4個あり、うち2片は花後に長さ2.5mmに伸び、果実を包む。白い刺状の花柱が1個ある。果実は、長さ2.5-3mmのゆがんだ卵円形の痩果になる[2][3][4]。
種子繁殖のほか、葉腋につくむかごによる栄養繁殖をする[4]。
分布と生育環境
日本では北海道、本州、四国、九州に分布し、山地の渓流沿いの湿った林内に生育する[2][3][4]。国外では、朝鮮半島、中国大陸に分布する[3][4]。
名前の由来
和名のムカゴイラクサ(珠芽刺草)は、葉腋にむかご(珠芽)をつけることによる。種小名の bulbifera は、「鱗茎のある」の意味[4]。
利用
同属のミヤマイラクサと比べ、茎が細く、また群生しないことから、大量に採取できない。このため、ミヤマイラクサほど山菜として利用する地方は少ないが、春の、葉が完全に展開する前の若い茎は食べられ、味はよい。ミヤマイラクサ同様、ゆでると痛い刺毛は気にならない。若い茎や葉を生のまま天ぷらなどの揚げ物にしたり、茎をゆでて冷水でさまし、おひたしなどにして食す[5]。
ギャラリー
-
雄花序。下方の葉腋から出る。
-
雌花序。先端の葉腋から立つ。
-
葉腋につくむかご
-
全草
脚注
- ^ ムカゴイラクサ 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
- ^ a b c d e 『山溪ハンディ図鑑2 山に咲く花(増補改訂新版)』p.346
- ^ a b c d e 『日本の野生植物草本II離弁花類』p.4
- ^ a b c d e f g 『新牧野日本植物圖鑑』p.50,p.1320
- ^ 『食べられる野生植物大事典(草本・木本・シダ)』pp.141-142
参考文献