ソーテは1990年から1991年ごろにパリのマレ(Le Marais)という中産階級居住区域でビジネスマン相手に哲学相談サービスを行い、講師としての正規のアカデミックな仕事を始めた。彼は「哲学診察室」(cabinet de philosophie)を開業し、相談料は一時間あたりおよそ200フランとした。この額は当時のプロの精神分析医の料金とほぼ同額だった。これはソーテにとってはうまくいった事業ではなかったが、このことは彼が1992年にパリのカフェで一般市民向けに形式ばらずに哲学的に思索する場を立ち上げることへとつながった。彼はこの運動を「ソクラテスのカフェ」(café for Socrates)と呼んだ。この呼び名は彼の1995年の著書のタイトルとなった。