マニウス・アクィッリウス (ラテン語 :Manius Aquillius 、? - 紀元前88年 )は、古代ローマ のアクィッリウス氏族 出身の軍人、政治家。恐らく紀元前129年 の同名の執政官 の息子で、紀元前101年 には執政官 を務めた。354年の年表にはAquilioとされており、ノーメン はアクィリウス (Aquilius)とも表記される。
略歴
マリウスの部下として
カピトリーノ美術館 新宮殿に飾られているマリウス像
アクィッリウスはガイウス・マリウス の忠実な部下としてキャリアを積み、マリウスが4度目の執政官を狙う選挙運動中には、キンブリ族 の攻撃があればすぐにマリウスと交代できるよう、軍の司令官を任された。
シキリアにて
紀元前101年、アクィッリウスのこれまでの忠節に対して、マリウスは自分の同僚となる執政官に就ける事で報いた。 この年、ローマ はシキリア属州 で起こっていた第二次奴隷戦争 によって食糧不足に悩まされており、アクィッリウスはこの鎮圧を任された。彼は期待に応えて反乱の首謀者サルウィウスの軍勢を完全に屈服させ、紀元前99年 にはローマで小凱旋式 を挙行した[ 2] 。
紀元前98年 、アクィッリウスはルキウス・フフィウスによってシキリアでの圧政を告発されたが、99年の執政官マルクス・アントニウス・オラトル に弁護され、確固たる証拠はあったもののその功績を考慮され無罪となった[ 3] 。
小アシアにて
紀元前90年 、アクィッリウスはポントス 王ミトリダテス6世 の策謀によって追放されローマに亡命していたビテュニア 王ニコメデス4世 を復位させるため、小アシア へと送り込まれた。 アクィッリウスは目的を達成したものの、更にニコメデスをけしかけポントスを攻撃させた。この事はミトリダテスによる反撃を誘うこととなり、紀元前88年 第一次ミトリダテス戦争 の火蓋が切られた[ 4] 。
小アジアの位置関係。濃い紫と紫が当時のポントス王国で、左下アシア属州の表記(Province of ASIA)の左にペルガモン、右上にビテュニアがある
ミトリダテスはプロトスタキウム付近でアクィッリウスを打ち破った。アクィッリウスはイタリア半島 へ逃げ帰ろうとなんとかレスボス島 までたどり着いたが、ミュティレネ の住人に捕まりミトリダテスに引き渡された[ 5] 。
本土へと送られた後、彼はロバの背に乗せられペルガモン まで引き回され、道中、自分がアナトリアの人々に対して犯した罪を告白するよう強要された。というのもアクィッリウスの同名の父は以前、属州総督 としてペルガモンを統治しており、彼の課した重税に苦しめられた事を住民たちは忘れていなかった。そのため、子のアクィッリウスも父と同じく税を貪っていると考えられており、土地の人々からは嫌われていた[ 6] 。
アクィッリウスは最終的に、ミトリダテスによって口の中に煮えたぎる金を流し込まれて処刑された[ 6] 。この処刑法は有名になり、信頼度の低いいくつかの記録によれば[ 7] 、三頭政治 の一角を占め、ローマで最も裕福な男であったマルクス・リキニウス・クラッスス を処刑する際、パルティア 人によって踏襲されたという[ 6] 。
脚注
^ フロルス, iii.19 ; リウィウス , 『ローマ建国史 』 69 ; シケリアのディオドロス . xxxvi. Eel. 1; キケロ , 『ウェッレス弾劾演説』 iii. 54, v. 2; Fasti Capitolini .
^ キケロ, 『ブルトゥス』 52, 『義務について』 ii. 14, 『プランキウス弁護』. 39, 『弁論家について』. 28,47 .
^ J. Hind, 'Mithridates', in Cambridge Ancient History, Volume IX (1994), pp.143–4
^ アッピアノス , Mithridatic Wars . 7, 19, 21 ; リウィウス, 『ローマ建国史』 77; ウェッレイウス・パテルクルス ii. 18 ; キケロ, 『マニリウス法弁護』 5 ; Athen. v. p. 213, b.
^ a b c Mayor, Adrienne(2010). The Poison King The Life and Legend of Mithradates , p. 166-171. Princeton University Press, New Jersey. ISBN 978-0-691-12683-8 .
^ Nuwer, Rachel. “Here’s What Actually Happens During an Execution by Molten Gold ”. smithsonian.com. September 4, 2015 閲覧。
参考文献
外部リンク
この記事には現在パブリックドメイン である次の出版物からのテキストが含まれている: Smith, William , ed. (1870). "Aquillius 2.". Dictionary of Greek and Roman Biography and Mythology (英語).