2002年にロブ・スワイヤーとギャレス・マクグリレンによって、ドラムンベースのDJデュオとしてペンデュラムを結成。ほどなくして3人目のDJ・プロデューサーとしてエル・ホーネットことポール・ハーディングが加入する。結成こそオーストラリアなものの、活動拠点はドラムンベース発祥の地イギリスとし、国内でDJとしてのキャリアを積み重ねていく。翌2003年にはペンデュラム名義として最初の曲「Vault」がイギリスのDJ、Doc Scottのレーベル、31 Recordsのコンピレーション・アルバムに収録の形でリリース。更に同年、デビュー・シングルとして「Spiral」、エル・ホーネットによるミックスCDが付いたコンピレーション・アルバム『Jungle Sound: The Bassline Strikes Back!』がBreakbeat Kaosよりリリースされる。1990年代に活躍したドラムンベース・ユニット、Bad Company UKのメンバーであるAdam FとDJ FreshのレーベルであるBreakbeat Kaosの記念となる最初のリリースであったため、ペンデュラムの名が徐々にドラムンベース・シーンに注目されるようになっていく[3]。
転機が訪れたのは2005年、Breakbeat Kaosよりデビュー・アルバム『Hold Your Colour』がリリースされる。このアルバムはドラムンベース・シーンでは異例ともいえる22万5000枚に及ぶセールス、同年8月16日には全英アルバムチャートで最高29位を記録し、イギリスとオーストラリアでゴールドディスクと認定された[4]。同アルバムに収録された楽曲は多数のゲームソフトやテレビ番組にも採用され、ペンデュラムの知名度を一気に広げることとなった。2006年には新たにMCのベン・ヴァース、ギターのプレダー・アップ・グワイネッド、ドラマーのポール・コディッシュが加入し、DJだけでなく楽器によるバンド演奏のスタイルも取り入れていった[3]。
同時期にペンデュラムのオリジナル・メンバー、ロブ・スワイヤーとギャレス・マクグリレンのEDMユニット、ナイフ・パーティーが結成され、ペンデュラムの中心メンバーであったロブ・スワイヤーとギャレス・マクグリレンはナイフ・パーティーとしての活動に傾倒していくこととなる。2014年にインターネット掲示板のredditで開催されたナイフ・パーティーのメンバーによる「Ask Me Anything?(何か質問ある?)」において、ペンデュラムとしての活動についてファンに質問されたロブ・スワイヤーは既にペンデュラムへの活動に対する情熱を失っているとの旨を延べ、その理由に、バンドセットにおけるツアーにかかる多額の金銭問題、自身のドラムンベースに対する制作意欲の減退などが挙げられた。ただし、ペンデュラムとしてのアルバムは契約履行のためにすでに制作が行われていることも明かされた[14][15]。
2015年-現在 : デビュー10周年、活動再開へ
2015年7月25日はペンデュラム躍進のきっかけとなったファースト・アルバム『Hold Your Colour』のリリースから丁度10周年の日であり、メンバーがそれぞれSNS上で10年を祝した[16]。また、8月22日にはイギリスの音楽フェスティバル、Vフェスティバルにて、ペンデュラムのDJセットにロブ・スワイヤーとギャレス・マクグリレンの2人が予告なしに参加し、結成当初のメンバーが一堂に会した[17]。終了後、ロブ・スワイヤーはTwitterで「ペンデュラムとしての出演は4年ぶりだ、4年だよ」と感慨深い感想を残し、ペンデュラムの活動再開をほのめかした[18]。そして、2015年12月、アメリカのマイアミで開催されるウルトラ・ミュージック・フェスティバルのヘッドライナーとしてナイフ・パーティーと共に「Pendulum Returns」の名で出演が発表され、およそ4年に及ぶ活動休止状態からの復活が決定的なものとなった[19]。
2016年3月20日(現地時間)、3日間に及ぶウルトラ・ミュージック・フェスティバルのメインステージのトリを飾ることとなったナイフ・パーティーとペンデュラムは、前半はナイフ・パーティーのDJセットに加えて、他の楽曲にペンデュラムの楽曲のボーカルを載せるマッシュアップと呼ばれる手法を用いたミックスを披露し、後半はペンデュラムとして4年ぶりのバンドセットを披露、ペンデュラムの楽曲だけでなく、deadmau5をゲストに迎え、ロブ・スワイヤーがボーカルとして参加した「Ghost N Stuff」や、加えてナイフ・パーティーの楽曲「Begin Again」をバンドセットで披露する、この日しか見られないパフォーマンスを行い、活動再開となった[20]。
ペンデュラムは他のアーティストの楽曲のリミックスも手掛けており、プロディジーの「Voodoo People」や、カルヴィン・ハリスの「I'm not alone」といったエレクトロニック・ミュージックだけでなく、メタリカの「Master of Puppets」、リンキン・パークの「The Catalyst」といったロックバンドのリミックスをも展開する。
ビーフ
2006年にはペンデュラムの古巣ともいえるレーベル、Breakbeat KaosがペンデュラムのBreakbeats Kaosからのリリース2周年を記念したミックスをペンデュラム側の許可なしに楽曲をインターネット上で配布したことからペンデュラムとBreakbeat Kaosとのビーフ(論争)に発展し、ロブ・スワイヤーがメンバーを代表してインターネット上のドラムンベースのコミュニティサイト、Dogs on AcidにBreakbeat Kaosを非難する声明を出した[25]。このビーフにより軋轢が生じたものの、ペンデュラムのシングル「Witchcraft」、「The Island」におけるレコード盤の流通にBreakbeat Kaosが協力しており、現在は和解している[26]。
1982年11月5日生まれ。オーストラリア西部のパースで生まれ育つ。メタルバンドXygenを経てペンデュラムを結成し、その後ナイフ・パーティーを始動。ペンデュラム名義すべての楽曲のプロデュースを手掛けるバンドの中心的存在。ボーカリストとしても活躍し、deadmau5の「Ghost N Stuff」、エリック・プライズの「Breath」に客演で参加している。ペンデュラムがバンドセットの活動をする以前は自身もDJとしてブースに立っていたが、以後はエル・ホーネットにペンデュラムの活動におけるDJの大部分を任せている。バンドセットではシンセサイザーとStarr Labs社のギター・ベース型MIDIコントローラー「Ztar」を用いる。楽曲制作にはかつてはCubaseを、現在はNuendoを使用している。プロデューサーとしてリアーナやタイオ・クルーズなどへの楽曲提供も行っている。