フレッド・ホイップル
フレッド・ローレンス・ホイップル (Fred Lawrence Whipple, 1906年 11月5日 – 2004年 8月30日 )は、アメリカ合衆国 の天文学者 。彗星 の「汚れた雪球説:dirty snowball」(彗星の構造を鉱物 や金属 の塵が混入している水 やメタン 、アンモニア 、一酸化炭素 などの雪の塊とする説)を発表したことで知られる。
経歴
アイオワ州 レッド・オーク に生まれた。子供の時はテニス 選手を目指していたが、ポリオ にかかったために断念せざるを得なかった。カリフォルニア州 のオクシデンタル・カレッジ とカリフォルニア大学ロサンゼルス校 、そしてカリフォルニア大学バークレー校 で学位を得た。バークレー校では、当時発見されたばかりだった冥王星 の軌道図の作成を手伝っている。
1931年 からハーバード大学天文台 で流星 の軌道を研究し、流星の起源が太陽系の内にあることを確認した。1933年 に周期彗星ホイップル彗星 (36P/Whipple)と小惑星 (1252)セレスティア を発見した。ペルチャー・ホイップル彗星(C/1932 P1 Peltier-Whipple)をレスリー・ペルチャー と独立して発見したほか、5個の彗星を発見した。
第二次世界大戦 中は、枢軸国 のレーダー 妨害用のチャフ を製造する装置を発明して、Certificate of Meritを受勲した。1950年 、『アストロフィジカル・ジャーナル』誌に、エンケ彗星 の研究から彗星の構造が汚れた雪球であるという論文[ ※ 1] を発表した。この説は、彗星核 の正体のみならず、氷の蒸発によって彗星の軌道が変化する『非重力効果』の謎を解く画期的なものであった。
なお、『汚れた雪玉』という名称はマスコミ によって広まったもので、彼自身は『氷を含んだ礫岩 (icy conglomerate)』という名称を用いていた。人工衛星 や惑星探査機 を宇宙の小粒子の衝突から守るホイップルシールド の発明者でもある。
1955年 からスミソニアン宇宙物理天文台 (Smithsonian Astrophysical Observatory)の所長となり、1973年 までその職を務めた。人工衛星 時代の到来を予見し、人工衛星を追跡する"Moonwatch"グループを組織した。1957年 のソ連 の突然のスプートニク1号 の打ち上げに際して、観測のできた唯一のグループとなった。
1983年 、観測衛星IRAS によって発見された小惑星 (3200)ファエトン がふたご座流星群 の母天体であることを明らかにした。
1986年 のハレー彗星 接近の時、ジオット などの観測により、彗星の核 は暗い氷を中心とした物質でできていることが判明し、彼の『汚れた雪玉説』が立証された。2002年 には彗星探査機CONTOUR 計画に参加。しかし、探査機自体は地球周回軌道からの離脱時に分解し、計画は失敗した。
ホイップルは2004年 に97歳で没した。
賞歴
エポニム
注釈
出典