ファルマス子爵 (英 : Viscount Falmouth )はイギリスの子爵 、貴族 。グレートブリテン貴族 爵位。これまでに2度創設されており、第1期はイングランド貴族 として、現存する第2期はグレートブリテン貴族 としての叙爵である。
歴史
フィッツロイ家(第1期)
国王チャールズ2世 の庶子ジョージ・フィッツロイ (1665-1716) は1674年 10月1日 にイングランド貴族 として「ノーサンバーランド伯爵 」に叙せられたが、その際に伯爵位の従属爵位として「コーンウォール州におけるファルマス子爵 (Viscount Falmouth in the county of Cornwall) 」を授けられた例が第1期の創設にあたる[ 1] 。ジョージは1683年には「ノーサンバーランド公爵 」に上ったが、子のないまま死去したためにすべての爵位は廃絶した[ 1] 。
ボスコーエン家(第2期)
6代子爵を描いたカリカチュア 。(Spy 作,『バニティ・フェア 』誌,1877年9月号)
子爵家の現邸宅であるトレゴスナン (英語版 ) 。
子爵家旧邸宅のミアワース城 (英語版 ) 。
ホイッグ党 所属の庶民院 議員ヒュー・ボスコーエン (1680-1734) は王室監査官 (英語版 ) や枢密顧問官 を務めた政治家で[ 4] 、彼が1720年にグレートブリテン貴族 として「ファルマス子爵 (Viscount Falmouth) 」及び「ボスコーエン・ローズ男爵 (Baron Boscawen-Rose) 」に叙された例が第2期の創設にあたる[ 5] [ 6] [ 7] 。
その子である2代子爵ヒュー (1707–1782) が子供のないまま死去したため、爵位は甥ジョージ・イヴリン (3代子爵、1758–1808 )に継承された[ 註釈 1] [ 5] [ 8] [ 9] 。これ以降は現在に至るまで3代子爵の系統によって爵位は継承されている[ 5] 。
その息子の4代子爵エドワード(1787–1841) はウルトラ・トーリー (英語版 ) に属して、ウェリントン公爵 内閣の提出したカトリック解放法案 に激しく抵抗した政治家である[ 10] 。彼は1821年のジョージ4世 即位記念叙爵に際して、連合王国貴族 爵位の「ファルマス伯爵 (Earl of Famouth) 」に陛爵した[ 10] [ 11] [ 12] 。
しかし、その子の2代伯ジョージ(1811–1852) が生涯未婚のまま没すると、伯爵位はわずか2代にして廃絶した[ 11] [ 9] 。一方で、子爵位は初代伯の弟ジョンの長男イヴリンが継承した[ 5] [ 9] 。
6代子爵イヴリン(1819-1889) はクラシック競馬 の馬主として名を馳せた人物で[ 13] 、彼の専属騎手フレッド・アーチャー は8084回騎乗して2748勝を挙げた戦績を誇る[ 註釈 2] [ 15] [ 14] 。また、彼の代に子爵家の抱える地所は25,910エーカー[ 註釈 3] に達して、コーンウォール州 の総面積の3.41%を占めた[ 16] 。
その子である7代子爵イヴリン(1847–1918) は1891年に母メアリーから古いイングランド貴族 爵位の「ル・ディスペンサー男爵 」を継承したため、以降は現在に至るまで同男爵位が子爵位に付随する[ 5] [ 9] 。
その孫にあたる9代子爵ジョージ(1919-2022) はコーンウォール州統監 (英語版 ) を務めた[ 5] 。
その子の10代子爵エヴリン(1955-) がファルマス子爵家の現当主を務めている。
子爵家の邸宅は、コーンウォール州トゥルーロ の近郊に位置するトレゴスナン (英語版 ) [ 5] 。かつての邸宅にはケント州 ミアワース (英語版 ) に位置したミアワース城 (英語版 ) があった[ 9] 。
現当主の保有爵位
現当主である第10代ファルマス子爵エヴリン・ボスコーエン は、以下の爵位を有する。
フィッツロイ家
ファルマス子爵(第1期;1674年)
初代ファルマス子爵(初代ノーサンバーランド公爵)ジョージ・フィッツロイ (1665–1716)(1716年にファルマス子爵位廃絶 )
ボスコーエン家
エドワード・ボスコーエン 提督。子爵家の出身。
ファルマス子爵(第2期;1720年)
ファルマス伯爵(1821年)
ファルマス子爵(第2期;1720年)
爵位の法定推定相続人 は現当主の息子であるイヴリン・ジョージ・ウィリアム・ボスコーエン(1979-)[ 17] [ 18] 。
法定推定相続人の法定推定相続人はその息子であるイヴリン・ラルフ・コンスタンティン・ボスコーエン(2015-)[ 18] 。
脚注
註釈
^ ジョージ・イヴリンは2代子爵の弟で、ラゴスの海戦 を指揮した海軍軍人エドワード・ボスコーエン 提督を父に持つ人物。
^ 騎手 アーチャーの勝利のうち、半数以上がファルマス卿の勝利回数だという[ 14] 。
^ ㎢ に換算すると、約104.9㎢に相当。子爵家はコーンウォール州土地所有者上位10人の一角を占めた[ 16] 。
出典
^ a b J. M. Rigg; Kilburn, Matthew. "FitzRoy , George, duke of Northumberland". Oxford Dictionary of National Biography (英語) (online ed.). Oxford University Press. doi :10.1093/ref:odnb/9633 。 (要購読、またはイギリス公立図書館への会員加入 。)
^ Cruickshanks, Eveline; Handley, Stuart (2002). "BOSCAWEN, Hugh II (c.1680-1734), of Tregothnan, Cornw." . In Hayton, David; Cruickshanks, Eveline ; Handley, Stuart (eds.). The House of Commons 1690-1715 (英語). The History of Parliament Trust. 2020年2月1日閲覧 。
^ a b c d e f g “Falmouth, Viscount (GB, 1720) ”. www.cracroftspeerage.co.uk . 2020年8月11日 閲覧。
^ Cokayne, George Edward ; Gibbs, Vicary ; Doubleday, Herbert Arthur, eds. (1926). Complete peerage of England, Scotland, Ireland, Great Britain and the United Kingdom, extant, extinct or dormant (Eardley of Spalding to Goojerat) (英語). Vol. 5 (2nd ed.). London: The St. Catherine Press, Ltd. pp. 246–247.
^ "No. 5859" . The London Gazette (英語). 11 June 1720. p. 4. 2020年8月11日閲覧 。
^ Burke's Peerage, Baronetage and Knightage (英語) (99th ed.). London: Burke's Peerage Limited. 1949. p. 741.
^ a b c d e Arthur G.M. Hesilrige. “Debrett's peerage, and titles of courtesy, in which is included full information respecting the collateral branches of Peers, Privy Councillors, Lords of Session, etc : Free Download, Borrow, and Streaming ” (英語). Internet Archive . pp. 362-363. 2020年8月11日 閲覧。
^ a b K. D. Reynolds. "Boscawen, Edward, first earl of Falmouth". Oxford Dictionary of National Biography (英語) (online ed.). Oxford University Press. doi :10.1093/ref:odnb/2932 。 (要購読、またはイギリス公立図書館への会員加入 。)
^ a b “Falmouth, Earl of (UK, 1821 - 1852) ”. www.cracroftspeerage.co.uk . 2020年8月11日 閲覧。
^ "No. 17724" . The London Gazette (英語). 14 July 1821. p. 1461. 2020年8月11日閲覧 。
^ “Owners and Breeders ”. Throughbred Bloodlines . 12 January 2016 閲覧。
^ a b “Archer, Frederick James (1857–1886) ”. National Horseracing Museum . 13 December 2016 閲覧。
^ ダニエル・クレイグ『競馬 サラブレッドの生産および英国競馬小史』中央競馬ピーアールセンター、1986年、82-83,262-263頁。
^ a b Cahill, Kevin (2001). Who Owns Britain . Canongate Books. ISBN 9780862419127
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^ a b Morris, Susan (2018). 『Debrett's Peerage and Baronetage 2019』 (150 ed.). London ,England : Marston Book Services. pp. 2583-2584. ISBN 978-1999767006 . https://www.google.co.jp/books/edition/Debrett_s_Peerage_and_Baronetage_2019/99tHEAAAQBAJ?hl=ja&gbpv=1&dq=Earl%20Jellicoe%20Debrett's%20Peerage%20and%20Baronetage%202019&pg=PA2583&printsec=frontcover
参考文献
関連項目