続いて、ピアノが堂々と登場する。ポコ・ピウ・トランクィロから経過的なエピソードが続き、大きく盛り上がった後で第2主題がホ長調に出される(譜例2)。この主題は自身の歌曲「Jeune fille et jeune fleur」作品1-4からの引用である。原曲は若い娘の亡骸を埋葬する父の嘆きを歌う歌である[1]。
ビーチは本楽章を次のように解説している。「第2楽章のスケルツォは『無窮動』という副題を持ち、オーケストラが背景で弦楽器によって旋律を奏でるのに対し、ピアノパートは一貫して小粋な練習曲風のリズムを奏でるという構成です。短い楽章で、第1主題が最後に戻ってくる前に簡単なカデンツァが置かれています[8]。」9小節の管弦楽による導入に続き、ピアノが無窮動的な音型を弾きはじめる。その上に譜例3の旋律が奏されるが、これは彼女の歌曲「Empress of Night」作品2-3から採られている。この歌曲はビーチの夫の詩による作品で、彼女の母親へと献呈された[1][8]。
^Sletcher, Michael (January 1, 2004). New England: The Greenwood encyclopedia of American regional cultures. Greenwood Publishing Group. p. 337. ISBN9780313327537
^Score, Beach: Piano Concerto, Arthur P. Schmidt, Boston, 1900
参考文献
Block, Adrienne Fried (1998). Amy Beach, Passionate Victorian: The Life and Work of an American Composer, 1867-1944. Oxford University Press. pp. 131–145. ISBN0195137841
CD解説 Nigel Simeone, Hyperion Records, Beach, Chaminade & Howell: Piano Concertos, CDA68130
CD解説 NAXOS, BEACH: Piano Concerto / 'Gaelic' Symphony, 8.559139
楽譜 Beach, Piano Concerto (2 Piano Reduction), Arthur P. Schmidt, Boston, 1900