バウレ族 (バウレぞく、仏 : baoulé , 英 : Baoulé, Baule )は、コートジボワール に暮らす民族 の一つである。コートジボワール国内の民族集団の中では最大規模の人口 を誇る[ 2] 。後述の伝承において言及されているアシャンティ族 (英語版 ) のアカン語 と同じクワ語派 (英語版 ) に分類される言語 であるバウレ語 を話す。
歴史
元来この民族は現在のガーナ にあたる地域に暮らしていた[ 3] 。しかし、やがてアシャンティ族によって居住地を追われることとなる。バウレ族の伝承によれば、亡命中の女王ポクは追っ手から逃れる過程で自らの子を水の中に投げ入れねばならない状況にまで追い込まれたとされている。バウレという民族名はこの時の出来事「子供が死んだ」に由来するものであると説明されている[ 4] 。バウレ族が現在のコートジボワール東中部に落ち着いたのは西暦1800年頃の事であるとされている[ 3] 。
経済
文化
ゴリ
バウレ族はゴリ (Goli )という仮面 舞踏 で知られている。この風習はもともとは隣接するがバウレ族とは異なる系統の言語(マンデ語 系ワン語 (英語版 ) )を話すワン族 によってもたらされたもので[ 3] [ 5] 1900年 から1910年 の間に伝わり[ 6] 、踊りの際の歌もワン語によって歌われるという[ 3] 。ゴリが催される目的は葬儀 や娯楽 のためと様々である。衣裳 はラフィアヤシ などの葉 で全身を覆うものである。用いられる仮面は登場する順にプレプレ 、ゴリグレン(Goli glen)、パンプレ(Kpan Pre)、パン(Kpan)の四種類が二つずつであり、それぞれ大まかに「年少男子」、「年長男子」、「年少女子」、「年長女子」の役割を表す[ 3] 。この登場順は社会的な序列を示唆するものである[ 5] 。しかし近年ベウミ (英語版 ) で行われたゴリにおけるパンプレ、ゴリグレン、プレプレ、パンのように登場順が先述のものとは異なる場合も存在する[ 7] 。また、本来的なゴリにおいても二つずつ用いられる仮面にはそれぞれ男性 と女性 を表す面があり、男性と女性が対となってこの世が完成するというバウレ族の考え方を表すものとなっている[ 3] 。
ゴリで用いられる仮面は美術品 として流通している。
脚注
^ 清水(1992:86)。
^ Lewis et al. (2015).
^ a b c d e f 小川 (1999 :134)。
^ オースティン(2009:79)。
^ a b Werness (2003 :119).
^ Alexander & Day (1991:C-26).
^ 小川 (1999 :135)。
参考文献
Alexander, Kay & Michael Day (ed.) (1991). Discipline-Based Art Education: A Curriculum Sampler . Los Angeles: Getty Publications. ISBN 0-89236-171-9
オースティン、ピーター・K (英語版 ) 編、澤田治美 日本語版監修『ビジュアル版 世界言語百科―現用・危機・絶滅言語1000―』柊風舎、2009年。ISBN 978-4-903530-28-4
Cole, Herbert M. (1985). I Am Not Myself: The Art of African Masquerade
Baoulé . In Lewis, M. Paul; Simons, Gary F.; Fennig, Charles D., eds. (2015). Ethnologue: Languages of the World (18th ed.). Dallas, Texas: SIL International.
小川, 弘『アフリカのかたち POWER OF FORM African Art in Japanese Collections』里文出版、1999年。ISBN 4-89806-104-4 。
清水紀佳「バウレ語」 亀井孝 、河野六郎 、千野栄一 編『言語学大辞典 』第3巻、三省堂、1992年。ISBN 4-385-15217-9
Werness, Hope B. (2003). Continuum Encyclopedia of Native Art: Worldview, Symbolism, and Culture in Africa, Oceania, and Native North America . New York • London: Continuum. ISBN 0-8264-1156-8