ナンシー・ロペス(Nancy Lopez、1957年1月6日 - )はアメリカ合衆国の女子プロゴルファー。1977年からLPGAツアーに参戦して以来、3つのメジャー大会を含む48勝をあげている。
アマチュア時代
ロペスはカリフォルニア州トーランスで生まれた。12歳でニューメキシコ女子アマに優勝し、1972年と1974年の全米女子ジュニアアマチュアゴルフ選手権にそれぞれ15歳と17際で優勝している。1975年に18歳で全米女子オープンにアマチュアとして出場し、2位タイという結果を残した。1976年にはタルサ大学での活躍により全米女性年間最優秀スポーツ選手の称号を与えられた。大学女子競技スポーツ連盟 (AIAW) の全国大会に勝ち、カーティスカップ、エスピリトサントトロフィーのアメリカチームのメンバーとなった。大学を2年で去って1977年にプロ入り、この年に全米女子オープンで再度2位にくい込んだ[1]。
プロ転向後
LPGAツアーに初めてフルシーズン出場した1978年、ロペスは5連続勝利を含む年間9勝をあげた。彼女はスポーツ・イラストレイテッド誌の表紙を飾り、年間最少平均スコアを記録したプレーヤーに与えられるベアトロフィー (Vare Trophy)、LPGAルーキー・オブ・ザ・イヤー、LPGAプレーヤー・オブ・ザ・イヤー、更にAP通信アスリート・オブ・ザ・イヤー (Associated Press Female Athlete of the Year) を獲得した。1979年にも年間8勝に輝いた。1980年から1984年まで(特に1983年と1984年は最初の子供の出産のため、シーズンの半分しか出場しなかったにもかかわらず)毎年複数のトーナメントに勝利した[1]。
再びフル出場した1985年のシーズンは年間5勝をあげ、2位に5回、3位にも5回食い込み、賞金女王、年間最少平均スコア(ベアトロフィー)、LPGAプレーヤー・オブ・ザ・イヤーのタイトルを獲得し、2度目のAP通信アスリート・オブ・ザ・イヤーにも輝いている。1986年は次女の出産のため4トーナメントにしか出場しなかったが、翌年復帰すると1987年から89年にかけて毎年複数回優勝した。1988年と1989年は3勝ずつあげ、1988年には再びプレーヤー・オブ・ザ・イヤーの栄冠を勝ち取った。三女を出産した1990年代の初めには再度出場試合は減少した。1992年は2勝した。その後2002年までは、年間に11ないし18程度のトーナメントに出場を続けていたが、2003年には年間数試合まで減少した[1]。
ロペスは女性ゴルフ史上の偉大なプレーヤーの1人であり、70年代後半から80年代にかけての最高の選手と見なされているが、メジャータイトルの獲得数はさほど多くなく、特に、全米女子オープンでは1度も勝つ事ができなかった。全米女子オープンでは4度にわたり2位になっており、特に最後の1997年には、4日間全てのラウンドを60台のスコアでまわった初のゴルファーになったにもかかわらず、アリソン・ニコラスの後塵を拝した。彼女が手にしたメジャータイトルは全て全米女子プロゴルフ選手権で、1978年、1985年、1989年の3回優勝している[1]。
ロペスは1987年に世界ゴルフ殿堂入りを果たした[2]。1990年にソルハイムカップアメリカツアーチームのメンバーとなり、2005年にはチームのキャプテンを務めた。2002年に定期的なトーナメント出場から引退し、その後2007年と2008年に復帰を試みている。復帰したシーズンは6つのトーナメントに出場し、全て予選落ちした。全12ラウンドのうち、80を切る事ができたのは3ラウンドのみであった[1]。2008年には3大会に出場した。ベストスコアは76で、いずれも決勝ラウンド進出は果たせなかった。
2009年8月現在、ロペスはLPGAルーキー・オブ・ザ・イヤー、LPGAプレーヤー・オブ・ザ・イヤー、ベアトロフィーを同一年(1978年)に獲得した、ただ1人の女性である。彼女の会社、ナンシー・ロペス・ゴルフは女性向けゴルフクラブのフルセットとアクセサリーを製造している。また彼女は時折テレビ解説者を務めている。ロペスは1979年にスポーツキャスターのティム・メルトンと結婚するも1982年に離婚、その年の10月にメジャーリーガーで後にワールドシリーズでMVPを受賞したレイ・ナイトと再婚、3人の子供を儲けたが2009年に離婚した。
LPGAツアーの優勝歴
通算48勝。太字はメジャートーナメント大会。
- 1987年:2勝
- 1988年:3勝
- 1989年:全米女子プロゴルフ選手権など3勝
- 1990年:1勝
- 1991年:1勝
- 1992年:レイルチャリティ・ゴルフクラシックなど2勝
- 1993年:1勝
- 1997年:1勝
LPGAツアー以外の優勝
LPGAメジャー大会の成績
トーナメント |
1981 |
1982 |
1983 |
1984 |
1985 |
1986 |
1987 |
1988 |
1989 |
1990
|
ナビスコ・ダイナ・ショア大会
|
...
|
...
|
T6
|
T16
|
T11
|
DNP
|
T33
|
T5
|
T18
|
CUT
|
全米女子プロゴルフ選手権
|
T5
|
T35
|
T21
|
T14
|
1
|
DNP
|
T28
|
T24
|
1
|
T14
|
全米女子オープン
|
WD
|
T7
|
DNP
|
T35
|
T4
|
DNP
|
T21
|
T12
|
2
|
T14
|
デュモーリエ・クラシック
|
T2
|
T9
|
WD
|
T8
|
DNP
|
DNP
|
T21
|
T45
|
9
|
DNP
|
トーナメント |
1991 |
1992 |
1993 |
1994 |
1995 |
1996 |
1997 |
1998 |
1999 |
2000
|
ナビスコ・ダイナ・ショア大会
|
T30
|
CUT
|
T8
|
T9
|
T3
|
T15
|
T23
|
T13
|
T21
|
T43
|
全米女子プロゴルフ選手権
|
DNP
|
T18
|
T25
|
WD
|
T18
|
T18
|
T37
|
T44
|
WD
|
T65
|
全米女子オープン
|
DNP
|
T16
|
T7
|
T35
|
T28
|
CUT
|
2
|
CUT
|
CUT
|
T46
|
デュモーリエ・クラシック
|
DNP
|
DNP
|
DNP
|
T22
|
DNP
|
T2
|
DNP
|
T27
|
DNP
|
DNP
|
トーナメント |
2001 |
2002 |
2003 |
2004 |
2005 |
2006 |
2007
|
クラフト・ナビスコ選手権 †
|
T63
|
CUT
|
CUT
|
WD
|
CUT
|
DNP
|
DNP
|
全米女子プロゴルフ選手権
|
CUT
|
CUT
|
CUT
|
CUT
|
DNP
|
DNP
|
DNP
|
全米女子オープン
|
CUT
|
CUT
|
DNP
|
DNP
|
DNP
|
DNP
|
DNP
|
全英女子オープン ^
|
DNP
|
DNP
|
DNP
|
DNP
|
DNP
|
DNP
|
DNP
|
† 現在クラフト・ナビスコ選手権として知られているこのトーナメントは1999年までナビスコ・ダイナ・ショア大会であった。2000年にナビスコ選手権になり、2002年に現在の名称となった。
^全英女子オープンは 2001年からデュモーリエ・クラシックの代わりにLPGAメジャー大会に昇格した。
LA = ローアマチュア(最優秀アマチュア選手)
DNP = 出場せず
CUT = 予選落ち
WD = 棄権
DQ = 出場資格無し
... = メジャー大会ではなかった
"T" = 複数の選手と順位を分け合った(タイ)
グリーン地は優勝、黄色地はトップ10入りを表している。
脚注
出典
- Katherine M. Jamieson. “Reading Nancy Lopez: Decoding Representations of Race, Class, and Sexuality”
- Baca Zinn, Maxine and Bonnie Thornton Dill. “Theorizing Difference from Multiracial Feminism.” Feminist Theory Reader. Carole R. McCann & Seung-Kyung Kim, eds. New York, NY: Routledge Press, 2003.
関連項目
外部リンク
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1950年代 | |
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1960年代 | |
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1970年代 | |
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1980年代 | |
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1990年代 | |
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2000年代 | |
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2010年代 | |
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1950年代 | |
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1960年代 | |
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1970年代 | |
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1980年代 | |
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1990年代 | |
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2000年代 | |
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2010年代 | |
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2020年代 | |
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† プレーオフによる決着、 ‡ 初日から最終日まで首位をキープしての優勝。 |
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1973~74年はLPGAジャパンクラシック、75~79年はLPGA美津濃クラシック、80~92年はマツダジャパンクラシック、93~97年は東レ・ジャパンクイーンズカップ、98年はLPGAジャパンクラシック、99~2014年はミズノクラシック |
1970年代 | |
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1980年代 | |
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1990年代 | |
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2000年代 | |
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2010年代 | |
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2020年代 | |
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