サイレンスは嘆きの天使など恐怖を演出する過去のエイリアンに匹敵するように製作された。本作は主にアメリカ合衆国ユタ州のローンロック(英語版)のあるロケ地で撮影されており、これは『ドクター・フー』の主要撮影がアメリカで行われた最初の例となった。イギリスにおける本作の視聴者数は886万人で、一般に批評家からは肯定的なレビューを受け、Appreciation Index も88を記録した。本作は2011年4月19日に悪性腫瘍で死去した、先のコンパニオンであるサラ・ジェーン・スミス(英語版)役を演じたエリザベス・スレイデン(英語版)に捧げられた。
ターディスは2代目ドクターの The Invasion で視覚安定機を損傷して不可視化したことがある[4]。カントンが初めてターディスをお律時にドクターが "Brave heart, Canton." と話しかけるが、これは5代目ドクターと彼のコンパニオンであったティーガン・ジョヴァンカ(英語版)との間でよく行われたやり取りを反映している[4]。エイミーが過去のドクターに信じるよう頼む時、彼は何か大切な物にかけて誓えるかと彼女に問う。彼女は思考を巡らせた後、笑って "Fish fingers and custard." と告げる。これはエイミーが幼少期に初めてドクターと出会った「11番目の時間」の出来事に由来している[4]。
製作
脚本
本作は2010年より番組の総責任者を継いだスティーヴン・モファットが執筆した。彼はプロットにより強い引力と広い視野で始まる二部作を以て2011年のシーズンを始めようとし[5]、その開幕の二部作を第6シリーズで最もダークな作品の1つにすることを望んだ[6]。二部作でシリーズが開始するのは6代目ドクターの Attack of the Cybermen(1985年)以来であった[4]。
「ドクターからの招待状」に続けて放送された『Doctor Who Confidential』のエピソードでは、本作はシリーズでより暗いエピソードの1つではあるが、同じだけのユーモアも維持されているとモファットは述べた。ドクターの死はシリーズの最後であるかのように感じるプロデューサーもいたが、実際にはここからがシリーズの幕開けであった[5]。タイムロードが無敵の存在ではなく、再生前に殺されると死ぬこともある、ということをモファットは未来のドクターの死を書いている際に視聴者に知らせたかった。本作の敵であるサイレンスを製作する際には、彼は恐怖を題材にした過去のモンスターに挑める存在を作ろうとした[5]。彼はサイレンスが遥かに大きな計画だと感じた[5]。サイレンスのデザインは部分的にエドヴァルド・ムンクの絵画『叫び』にインスパイアされた[6]。
本作は放送前に「静かなる侵略者」と共に、数多くのファンが出席した試写会で上映された。製作チームは如何なるネタバレも持ち出さないように依頼したが、ファンの1人がインターネット上のフォーラムに2エピソードのプロット全てを公開してしまった。このニュースはモファットの怒りを買った[17]。BBC Radio 5 Live の記者会見にて、モファットは本作のエピソードが驚きを核としている旨を述べ、予想しない展開が如何に視聴者の心に焼き付くかを力説した。そしてそれを否定することはヴァンダリズムであると批判し、インターネット上に公開した"馬鹿"が二度と自身の番組を視聴しないことを願った。ただし、『ドクター・フー』のファンの多数派はネタバレをオンラインで公開しない人間である、と彼は付け加えた[17]。
アメリカ合衆国ではBBCアメリカにてイギリスと同日放送がなされ[24]、カナダでもスペースにて同日に放送された[25]。BBCアメリカでの「ドクターからの招待状」の視聴者数は130万人で、チャンネル史上最高記録を樹立した。これは「11番目の時間」を7万1000人上回った[26]。Live + 7 day DVR での視聴者数を加算すると、180万人に達した[27]。カナダでの視聴者数は53万8000人で、スペースにおける『ドクター・フー』史上最高記録、そして2011年の放送で最高記録を樹立した[28]。オーストラリアではABC1で2011年4月30日に放送され[29]、五大都市で86万人の視聴者を獲得し、2010年のボクシング・デーの「クリスマス・キャロル」に匹敵する記録を残した[21]。日本では2016年4月3日午前1時から他の第6シリーズのエピソードに先行して「ドクターからの招待状」の字幕版がAXNミステリーで初放送され[30]、同年8月に開始されたレギュラー放送では8月4日午後10時から同チャンネルで放送された。なお、同日午後11時5分からは続けて次話「静かなる侵略者」が放送された[30][31]。
視聴者測定サービスの Kantar Media は、「ドクターからの招待状」が史上最も録画されたテレビイベントであると報じた。BARBの解析データでは411万人が放送の週に録画及び視聴をしていることが明らかにされ、これは本作の全視聴者の46%に達した[32]。4月にはiPlayerにトータル138万件のリクエストが寄せられ、「ドクターからの招待状」は4月の1位に躍り出た[33]。
デイリー・テレグラフのギャヴィン・フラーは本作が「2011年のシリーズの全班の素晴らしいスタートだ。エイミーが少女を撃ったかに見える衝撃的な終わり方は、どのように解決されるのか次週の結末が待ち遠しい」と述べ、サイレンスのコンセプトにも喜んだ[37]。MTVのリック・マーシャルは「スティーヴン・モファットと『ドクター・フー』のスタッフがまたしても素晴らしいエピソードを提供してくれる」「壮大なクリフハンガーで多くのファンの頭は爆発するだろう」とも述べた[38]。さらに、マーシャルは本作の敵性エイリアンが「恐怖の要因において嘆きの天使に挑戦している」と考えた[38]。Den of Geek のサイモン・ブリューは本作が「『ドクター・フー』の成功した復活であり、信頼を得て、手掛かりとなる物語の繊維を夢中にさせるシリーズに投げかけている」と述べた[39]。彼はカントン・デラウェア役のシェパードの演技やローリー役のダーヴィルの増した存在感を好んだほか、アメリカで撮影を行ったヘインズに賛辞の言葉を送り、イギリス人俳優がアメリカ流アクセントで演じようと試みた「ダーレク・イン・マンハッタン」から改善されていると述べた[39]。メトロ(英語版)のトム・フィリップスは1969年のアメリカ合衆国という設定が美しく使われていたと述べ、サイレンスの気味の悪さにも喜んだ。しかし、彼は「本作に新規視聴者が慣れるのは少し難しいだろう」とも感じた[40]。サンデー・ミラーのケヴィン・オサリヴァンは本作にさらに否定的であり、「理解するのが不可能」「SFオタクだけのためのものだ」と主張し、加えて「マット・スミスはパーティに何も新しいものをもたらさない派生的なドクターのままだった」と批判した[41]。
^Davies, Russell T (2007-12-03). “Production Notes: 12 Facts a-Facting!”. Doctor Who Magazine (377): 66. "Seven hours a-flying! That's how long it took for our director, James Strong, and his team to fly to JFK, for the Official First Ever Doctor Who Shoot in New York!"