山羊飼いたちは農夫たちが丘を下ってくるところに出くわす。 農民たちは「光り輝く日よ」(Le jour radieux)を合唱する。彼らは皆暗くなる前に家に帰るところである。結婚式の日にディノラは婚約者オエルに見捨てられてから正気を失ってしまったのである。ディノラはベラという名のヤギを探し、ベラを捕まえたと信じて込み、ベラに〈子守唄〉「私の可愛いベラ」(Bellah, ma chèvre chérie)を歌いつつ立ち去る。するに、バグパイプを吹きながらコランタンが現れ、小屋に急ぎ入っていく。臆病者のコランタンは、暗くなる前に彼が最近叔父から受け継いだ小屋に戻れたので、ホッと一息をつくと気を取りなおして、バグパイプを演奏し始め、〈クープレ〉「神は皆に分け与える」(Dieu nous donne à chacun en partage)を歌う。
ディノラは音楽に惹かれ、コランタンの小屋に入ってくる。ドアを越しに風が吹き込み蝋燭を消してしまう。ディノラとコランタンは暗闇の中でお互いを見出だす。 怯える若い男は、彼がコリガンの女王の前にいると信じています。 ディノラは彼にバグパイプをもう一度演奏するように頼むと、コランタンは演奏する。ディノラはコランタンを婚約者のオエルだと信じ込む。彼女は彼と踊りたがるので、恐れるコランタンはあえて拒否せず、踊りはじめ「もう一度、もう一度」と2重唱となる。ダンスに疲れきって、二人はやがて眠りに落ちる。
オエルが藁葺き屋根の小屋のドアをノックすると、目を覚ましたディノラは窓から逃げ出し、コランタンは肘掛け椅子の後ろに隠れる。 オエルは勝手に小屋に入り、コランタンの叔父と話したいと言う。オエルはコランタンの叔父が死んだと聞いて気が動転したように見えるが、すぐに気を取り直し、それではコランタンと話がしたいと言う。オエルはコランタンと話しをする前に居酒屋で食事をするよう勧められる。 一人になると、オエルは素晴らしい宝物を手に入れられることに喜びを覚える。伝説によると、宝物に最初に触れた人は死ぬということなので、オエルにはそのための友達が必要だったのだ。オエルは何が起こるかをコランタン本人に告げることなく、彼に宝物に最初に手に入れる人となること了解させたいと思っている。コランタンが帰ってくると、 オエルは嵐によって彼らの結婚式の日に二人の小屋を破壊されたのだが、オエルは花嫁と不幸を嘆き悲しみつつ生きるのではなく、小屋の修復費用を捻出するために、宝物を探しに行くことにした。 言い伝えよれば、宝を手に入れるには、まず人里離れて一年暮らさねばならいと言う。その後、宝物を山分けすることができるので、一緒に宝探しに来るようにコランタンを説得する。宝物を手に入れられるという話は気に入ったコランタンだが、なぜオエルがそんなうまい話を彼に持ち掛けるのか訝しく思う。彼の疑いをおさめるために、オエルはコランタンに酒を飲ませる。コランタンは少し酔ってしまい、ようやくオエルの話に乗ることにする。すると、ディノラの山羊ベラのベルが遠くから聞こえてくる。 オエルは動物が彼らを宝物へと導くと確信し、小屋から飛び出し、続いて怯えつつコランタンも出てくる。山羊を探しているディノラもベルを聞いて、寄ってくる。 ひどい嵐のとき、逃げたベラを追いかけて出て行ったのだった。
第2幕
第1場
月明かりに照らされた白樺の林
木こりたちはワインを飲みながら「このワインは美味い」と合唱し、居酒屋で夜を過ごした後、家に帰っていく。ディノラは〈ロマンス〉「私はここよ!オエルはここで私を待っているに違いない」(Me voici, Hoël doit m’attendre ici)を歌う。ディノラがオエルのことを知っていると思った木こりに話を聞こう思っていると、彼女が近づいた時には、木こりはなくなっており、ディノラはいつも一人だと泣き始めてしまう。すると、年老いた山の魔法使いが現れ、月の光を彼女の上に降り注ぐ、彼女の影が彼女の足に投げかけられる。すると、ディノラは喜んで彼女の影に挨拶し、話し始める。ディノラは彼女の影に「さあ、行こう、レッスンを始めましょう」と言う。ディノラは彼女の影が結婚式の前夜に踊ることを学びにきたのだと勝手に想像する。
ディノラは彼女の影と〈アリア〉「影の歌」(Ombre légère)を歌い、踊る。
第2場
海を臨む人けのない湿原
オエルとコランタンは、宝の場所を示す光り輝く十字架の出現を待っている。オエルは周囲を見回しに行き、置き去りにされたコランタンは、勇気を出して〈シャンソン〉「ああ! なんて寒い! ああ! なんて怖い!」(Ah ! Que j’ai froid ! Ah ! Que j’ai peur ! )を歌い始める。ディノラが現れて、コランタンに話しかけると、コランタンは彼女が伝説に現れる妖精の女王ではないことを理解する。ディノラは隠された宝物の伝説を語り、最初に触れた人が死ぬことをコランタンに警告し、すぐに立ち去ってしまう。オエルがどのように宝物を手に入れるかを決めるために戻ってくる。オエルは宝物に最初に触れるようにコランタンに提案するが、コランタンは拒否する。ディノラが再び現れ、コランタンはディノラに呪われた宝物に触れるように説得しようする。暗闇の中なので、オエルは彼女が自分の婚約者ディノラであることに気づいていないが、罪のない娘を犠牲にすることに消極的な態度をとる。ディノラは突然、ベラが橋を渡るのを見て、追いかける。ディノラが橋を渡り始めると、稲妻が突然橋に当たり、娘は峡谷に落ちてしまう。オエルは娘が彼の花嫁ディノラであることに気づき、彼女を救けに行く。