ツェッペリンNT
飛行中のツェッペリンNT
日本飛行船が運航していたツェッペリンNT
ツェッペリン NT は、ドイツ ・フリードリヒスハーフェン のツェッペリン飛行技術会社[ 1] Zeppelin Luftschifftechnik GmbH (ZLT) (現・ルフトシフ・ツェッペリン (英語版 、ドイツ語版 ) ) で製造された半硬式飛行船 である。NTは、Neue Technologie / new technology (新技術)のイニシャルを示す。
開発・製造を行ったZLTは、かつてツェッペリン 飛行船を製造した企業そのものであり、硬式飛行船の骨組を製造する技術を、パラボラアンテナ 等の製造に生かすことで、現代まで存続していた。
設計
船体
ツェッペリンNTは、全長75m 、最大幅19.8m、高さ17.4m[ 1] 、体積8,225立方mの船体にヘリウムガス が充填されている。
歴史的なツェッペリン は硬式で船体と気嚢が分離されていたが、ツェッペリンNTは半硬式飛行船である。船体は3層に重ねられたPVF とポリスチレン 、ポリウレタン が熱で接合されており、気嚢と一体となっている。さらに繊維強化プラスチック 製の3角形のトラス が組まれており、剛性を確保している。トラスの重量は1,000キログラムである。
推進系
4基のプロペラ がついており、船体左右と尾部のプロペラで推進することで、最高時速125kmで飛行が可能である[ 1] 。尾部に2基ついているプロペラの内、1基は方向転換用のプロペラで、方向舵のみに比べてより小回りの利く方向転換が出来る。これらのプロペラと方向舵はジョイスティック によるフライ・バイ・ワイヤ で操縦される。従来の飛行船に比べて取り回しが容易なので、地上要員が従来の機種に比べて少なくて済む。
居住区
乗員は船体前方下部のゴンドラに搭乗する。旅客定員は14名である[ 1] 。
運用
1997年9月に試作機として1番船「フリードリヒスハーフェン」が進空し、2001年8月に2番船「ボーテンゼー」、そして2003年2月に3番船の計3隻が建造された。2019年現在、7番船までが建造されている。ドイツでツェッペリンNTを運行するツェッペリン輸送会社 (英語版 、ドイツ語版 ) は2001年に創業した企業だが、かつてフェルディナント・フォン・ツェッペリン 伯爵の手で設立されたドイツ飛行船運輸 の名を継承している。
1番船は2005年から2年の契約でダイヤモンド 採掘大手のデビアス にリースされ、地質調査に従事していた。2007年9月にボツワナ で地上係留中、突風により大破して修理不能と判定され解体された。2番船は2004年6月18日に日本 の日本飛行船 に引き渡され[ 1] 、JA101Zとして遊覧飛行や空中撮影などの事業に用いられた。2010年6月に日本飛行船が経営不振から事業を停止し破産手続に入ったため、7月に埼玉県 で解体された。解体された部材はドイツに売却されて再建造され、D-LZFNの機体記号 でツェッペリン輸送会社の飛行事業に用いられている。
出典
^ a b c d e f g h 「内外商船ニュース 日本郵船の子会社 日本飛行船の新造飛行船引き渡し」『世界の艦船 』通巻631集(2004年9月号)海人社 P.169
外部リンク