ダイナモ理論(ダイナモりろん、英: dynamo theory)とは、地球や太陽などの天体が内部の流体運動によって大規模な磁場を生成・維持する働きを記述する理論である。ダイナモ効果、ダイナモ作用とも呼ばれる。天体の磁場は、大規模な電流によって支えられているという意味で、電磁石であると考えられている。電流が電磁石を作るという意味では、磁場は、発電機(ダイナモ)のように生成・維持されている。
1600 年にウィリアム・ギルバートは、『磁石論 (De Magnete)』において、地磁気の起源は地球内部にあり、地球全体が本質的には磁石なのであるという議論をした[1]。以来、長らく、永久磁石が地球内部の物質の恒久的な磁気を引き起こしていると信じられてきた。カール・フリードリヒ・ガウスは、1832年と1838年の論文によって、地磁気の強度の観測方法を確立するとともに、地磁気ポテンシャルの球面調和関数展開の方法を発明し、地磁気の99%の起源が地球外部ではなく内部であることを明らかにした[2]。ガウスも、地球内部(それも地表近く)にある永久磁石が地球の磁場の起源であると考えていた。ダイナモ理論の萌芽と言えるものは、1919年にジョゼフ・ラーモアが太陽磁場に関して提案した[3][4]。それは地球にも適用できるものではあったが、単なるアイディアだったので、それ以上発展しなかった。ラーモアによる提案の後も、著名な科学者で、他の仮説を提案した例もある。アルベルト・アインシュタインは、電子と陽子の何らかの非対称性によって地球全体で地磁気ができているのではないかと考えていた。ノーベル賞受賞者パトリック・ブラケットは、実験を通じて角運動量と磁気モーメントの関係を見出そうとしたが、うまくいかなかった[5][6]。
^Courtillot, Vincent; Le Mouël, Jean Louis (2007). “Earth's Magnetism (1269-1950)”. Reviews of Geophysics45. RG3008.
^Larmor, J. (1919). “How could a rotating body such as the Sun become a magnet?”. Reports of the British Association87: 159–160.
^Larmor, J. (1919). “Possible rotational origin of magnetic fields of sun and earth”. Electrical Review85: 412ff. Reprinted in Engineering, vol. 108, pages 461ff (3 October 1919).
^Nye, Mary Jo (1 March 1999). “Temptations of theory, strategies of evidence: P. M. S. Blackett and the earth's magnetism, 1947–52”. The British Journal for the History of Science32 (1): 69–92. doi:10.1017/S0007087498003495.
Merrill, Ronald T.; McElhinny, Michael W.; McFadden, Phillip L. (1996). The magnetic field of the earth: Paleomagnetism, the core, and the deep mantle. Academic Press. ISBN978-0-12-491246-5
Olson, Peter, ed (2007). Core Dynamics. Treatise on Geophysics. 8. Elsevier. ISBN978-0-444-51928-3
Chapman, S.; Bartels, J. (1940). Geomagnetism. Oxford: Clarendon Press
Demorest, Paul. "Dynamo Theory and Earth's magnetic Field." 21 May 2001. [1]
Fitzpatrick, Richard. "MHD Dynamo Theory." 18 May 2002. [2]