『センス・オブ・ワンダー』(原題:A Sense of Wonder)は、ヴァン・モリソンが1985年2月[8][注釈 1]に発表した15作目のスタジオ・アルバム。
背景
一部の曲はアイルランドのバンド、ムーヴィング・ハーツ(英語版)との共演となった[9]。
リマスターCDのボーナス・トラック「クレイジー・ジェーン・オン・ゴッド」はウィリアム・バトラー・イェイツの詩を引用した作品で、本作リリース当時はイェイツの遺産財団から許諾を得られず、急遽モーズ・アリソンのカヴァー「イフ・ユー・オンリー・ニュー」に差し替えられた[9]。なお、モリソンは後のアルバム『テル・ミー・サムシング〜モーズ・アリソンに捧ぐ』(1996年)でアリソンと共演している[10]。そして、1984年11月3日付の『ビルボード』誌では本作が11月8日に発売予定と報じられたが[11]、最終的には1985年2月発売となった[8]。
反響・評価
イギリスでは1985年2月9日付の全英アルバムチャートで初登場25位となり[12]、5週トップ100入りした[2]。
ニュージーランドでは前スタジオ・アルバム『時の流れに』(1983年)ほどの大ヒットとはならず、1985年3月17日付のアルバム・チャートで初登場22位となり、翌週に最高19位を記録して、7週トップ50入りするにとどまった[1]。一方、アメリカのBillboard 200では61位に達し、『ビューティフル・ヴィジョン』(1982年)以来の全米トップ100アルバムとなった[7]。
William Ruhlmannはオールミュージックにおいて5点満点中3.5点を付け「R&B、詩、神秘主義といった、彼に重要な影響を与えた幾つかの要素を混ぜ合わせた力強い作品」と評している[13]。また、Parke Puterbaughは1985年5月9日付の『ローリング・ストーン』誌において「彼が魂の覚醒に至った時期を記録した、ワーナー・ブラザース・レコード時代の最後の4作(『イントゥ・ザ・ミュージック』、『コモン・ワン』、『ビューティフル・ヴィジョン』、『時の流れに』)を生かし、要約している」と評している[9]。
収録曲
特記なき楽曲はヴァン・モリソン作。3. 7.はインストゥルメンタル。
- 哀しみはランボーの詩と共に - "Tore Down a la Rimbaud" – 4:12
- 過ぎ去りし日々 - "Ancient of Days" – 3:42
- たそがれ時の瞑想 - "Evening Meditation" – 4:17
- マスターズ・アイズ - "The Master's Eyes" – 4:03
- ホワット・ウッド・アイ・ドゥ - "What Would I Do Without You" (Ray Charles) – 5:13
- センス・オブ・ワンダー - "A Sense of Wonder" – 7:11
- 遥かなるさだめ - "Boffyflow and Spike" – 3:08
- イフ・ユー・オンリー・ニュー - "If You Only Knew" (Mose Allison) – 2:58
- レット・ザ・スレイヴ/経験の対価 - "Let the Slave (Incorporating the Price of Experience)" (William Blake, Adrian Mitchell, Kate Westbrook) – 5:29
- 異邦人 - "A New Kind of Man" – 3:21
2008年リマスターCDボーナス・トラック
- クレイジー・ジェーン・オン・ゴッド(別テイク) - "Crazy Jane on God (Alternative take)" (W. A. Mathieu, W. B. Yeats, Van Morrison) – 3:51
- センス・オブ・ワンダー(別テイク) - "A Sense of Wonder (Alternative take)" – 6:08
参加ミュージシャン
脚注
注釈
- ^ オリジナルLPのレーベルには「℗1984」という記載があり、日本盤CDの帯でも1984年の作品と紹介されることもあるが、収録曲の差し替えという背景もあり1985年発売となった。
出典
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スタジオ・アルバム | |
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ライヴ・アルバム | |
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コンピレーション・アルバム | |
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主な楽曲 | |
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関連項目 | |
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