セレナイト(英語:selenite、透明石膏)は、石膏の一種で、硫酸カルシウム(CaSO4)を主成分とする2水和物(CaSO4・2H2O)である。晶癖によって、繊維状のサテン・スパー(英語:satin spar、繻子石膏)、デザートローズ(砂漠のバラ)などのバリエーションが生まれる。ローマ時代には、ラピス・スペキュラリス(ラテン語:Lapis specularis、窓の石)と呼ばれ、窓ガラスとして利用された[2]
名前
ギリシア神話の月の女神であるセレーネーに由来する。15世紀からは透明な石膏をまとめてセレナイトと呼ぶようになった[3]。
ドイツ語では 聖母マリア絵画や像の保護ガラスとして使われてきたことから、Marienglas や Frauenglas 等 と呼ばれる。
透明石膏には、元素のセレンは含まれていないが、亜セレン酸ナトリウム(英語:sodium selenite)のように、亜セレン酸の塩に selenite の語が使用されるため混同しないとように注意が必要である。
特徴
モース硬度が2しかないので爪で削れる。そのため、鋸などの工具で簡単に加工できる。曲げることもできるが、それほど曲がらず、過度に曲げようとすると割れる。
色は基本透明だが、不純物によって着色される。
現代の断熱材には劣るが、ガラスより断熱性が高い。
水によって容易にくっつく、熱希塩酸に溶解する[4]。
用途
- ガラスの代わり。古代からガラスは知られていたが、製造や加工が難しく透明度も低かったことから、ガラスは窓ガラスのようには使われなかった。
- 像や絵画の保護パッケージ
ギャラリー
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セレナイト、透明石膏
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セレナイト
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柱状結晶
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サテン・スパー。繊維状に伸びたGypsum hairs(石膏の髪の毛)
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板状のセレナイトが組み合わさった砂漠のバラ
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洞窟でできた石膏の花(Gypsum flower)
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Gypsum flowers(石膏の花)
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角状になったセレナイト
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出土したローマ時代の窓ガラスとして使われたセレナイト。
出典
関連項目
- クリスタルの洞窟 - セレナイトの結晶が洞窟に大量にあったことから、Cueva de los Cristales と呼ばれることとなった。
- 著名産地
外部リンク