サーモン・ラン(英語:salmon run)は鮭が海から自分が孵化した場所(母川)へ戻り産卵するため川を遡上することである。
ほとんどの鮭が遡河回遊性を持っており、川で生まれ、その後海に下って生活を過ごし、産卵の時期に再び川に戻るというライフサイクルを持つ。このうち川を遡上する行動を英語で「サーモン・ラン」と呼ぶ。
鮭はその後、放卵してその場でほとんどが死ぬが、新しい命が生まれライフサイクルが始まる。毎年の鮭の遡上は(北アメリカでは)ハイイログマ、ハクトウワシ、釣り師等にとって一大行事である。
鮭の種別
遡河回遊性のある鮭は北大西洋か北太平洋に生息する。大西洋に生息する鮭は一つの種のみで「タイセイヨウサケ(アトランティック・サーモン)」と呼ばれ、東大西洋、西大西洋両側に生息する。太平洋に生息する鮭は7種あり、そのうち2種はアジア側にしか生息していない。
日本各地で見られるが、北海道の石狩川、札幌市豊平川、新潟県村上市三面川などが有名。漁業資源保護のため大事に管理されている。
カナダ・ブリティッシュコロンビア州のバンクーバーに注ぐフレーザー川も一大捕獲地で、明治時代には日本人が多数労働者として居住していた。この上流のその名もサーモンアーム市にあるシュスワップ湖目指して紅鮭が群れ泳ぐ様は壮観で、支流のアダムズ川で見られるサーモン・ランには10月ともなると多数の観光客が集まる。
北西アメリカでは鮭はキーストーン種として指定されており、生態系へ大きな影響を持つ。サーモン・ランを終えた産卵床での鮭の死骸は、窒素や硫黄、炭素、リンなどを生み出し多大な栄養源となって河岸の土地に棲む生物に影響を与え、さらに河口に蓄積され河口に棲む鳥などの栄養源にもなる。
脚注
- ^ NOAA 2011
- ^ Froese 2011a
- ^ Froese 2011b
- ^ Froese 2011c
- ^ Froese 2011d
- ^ Froese 2011e
- ^ Froese 2011f
- ^ Froese 2011g
- ^ USDA Forest Service 2011
- ^ Froese 2011h
- ^ Froese 2011i
参考文献
- NOAA (2011) NEFSC Fish FAQ NOAA Fisheries Service. Retrieved 17 December 2011.
- Froese, Rainer and Pauly, Daniel, eds. (2011a). "Salmo salar" in FishBase. December 2011a version.
- Froese, Rainer and Pauly, Daniel, eds. (2011b). "Oncorhynchus tshawytscha" in FishBase. December 2011b version.
- Froese, Rainer and Pauly, Daniel, eds. (2011c). "Oncorhynchus keta" in FishBase. December 2011c version.
- Froese, Rainer and Pauly, Daniel, eds. (2011d). "Oncorhynchus kisutch" in FishBase. December 2011d version.
- Froese, Rainer and Pauly, Daniel, eds. (2011e). "Oncorhynchus gorbuscha" in FishBase. December 2011e version.
- Froese, Rainer and Pauly, Daniel, eds. (2011f). "Oncorhynchus nerka" in FishBase. December 2011f version.
- Froese, Rainer and Pauly, Daniel, eds. (2011g). "Oncorhynchus mykiss" in FishBase. December 2011g version.
- Froese, Rainer and Pauly, Daniel, eds. (2011h). "Oncorhynchus masou" in FishBase. December 2011h version.
- Froese, Rainer and Pauly, Daniel, eds. (2011i). "Oncorhynchus rhodurus" in FishBase. December 2011i version.
- USDA Forest Service, Salmon/Steelhead Pacific Northwest Fisheries Program. Retrieved 30 December 2011.