サキシマスオウノキ属 (Heritiera )はアオイ科 (クロンキスト体系ではアオギリ科 )の属 の一つである。
特徴
スンドリ
インド洋 沿岸や南太平洋 沿岸地域に見られるサキシマスオウノキ (Heritiera littoralis )[ 2] や、主にバングラデシュ からタイ にかけての潮間帯 (英語版 ) の扇状地 に生育し2008年に絶滅危惧種 と評価されたスンドリ (ベンガル語 : সুন্দরী ; 学名: Heritiera fomes )[ 3] 、ボルネオ島 のやはり潮間帯の扇状地に見え、2008年に絶滅危惧種と評価されたマルミノサキシマスオウノキ (Heritiera globosa )[ 4] など、海岸近くの地域に見られる種が存在する。スンドリはインド からバングラデシュにかけてこの木が見られる地域スンダルバン /シュンドルボン の語源になったと考えられる[ 5] 。
種
ナガエスオウノキ
40種が認められる[ 6] 。
利用
ニヤンゴン材
この属のいくつかの種からは有用な材が得られる。マレー群島区系 産のメンクラン(後述)や西アフリカ 産のニヤンゴン [ 2] (コートジボワール のアニ語 : niangon[ 12] )などである。
メンクラン
マレー群島区系 産の Heritiera borneensis 、パラピ (H. javanica ; マレー語 : mengkulang jari ; フィリピン 名: lumbayau、gisang; タイ 名: chumpraek)[ 2] 、H. simplicifolia (インドネシア語 : teraling ; マレー語 : mengkulang (siku keluang) 、サバ州 では kembang)[ 2] の3種はまとめてメンクラン (マレー語: mengkulang )と呼ばれる[ 13] 。心材 は帯桃中褐色から暗赤褐色で縦軸方向の切断面に黒い筋が現れることが多く、これに淡橙色の辺材 が混ざり込んでいる[ 13] 。時に不規則な交錯木理 で、柾目木取りの材面に幅の広い縞杢 や、くっきり浮かぶ赤い斑をなす[ 13] 。肌目 はやや粗だが均一である[ 13] 。気乾比重 は樹種によって差はあるが平均は0.64-0.72で、乾燥は早く良好であるものの、樹種によってそりや表面割れを起こしやすい場合もある[ 13] 。緻密な木材で乾燥後は安定している[ 13] 。曲げ強さ [ 注 2] 、剛性 [ 注 3] 、耐衝撃荷重性 [ 注 4] は中庸で圧縮強さ [ 注 5] は高いが、蒸し曲げ に対する適性は非常に低い[ 13] 。加工性は良い方であるが、刃先、特に鋸の刃先をすぐに鈍磨させるという難点がある[ 13] 。釘打ちをする場合には下穴が必要となる。接着性は良好で、目止め剤を使用すれば美しい仕上がりが得られる[ 13] 。木材は腐朽しやすく、辺材はケブトヒラタキクイムシ (Minthea rugicollis )の害を受けやすい[ 13] 。心材を保存薬品処理することは難しいが、辺材に関してはそこまで困難でもない[ 13] 。原産地ではキャビネット 、家具 、車大工 、車体内装、羽目板 、敷居 、枕木 、ボート の肋材、厚板、住宅用フローリング に用いられる。ほかに扉、竜骨 、つき板、曲木 という用途も存在する[ 2] 。さらに一般建設資材、住宅建築、内装建具工事などにも使用される[ 13] 。メンクラン材はまたロータリーカット されて、原産国における住宅用合板 製造に、あるいはスライスカット されて化粧単板 にされる[ 13] 。
脚注
注釈
^ 記載者の金平亮三 本人により「ながえすはうのき」という和名が与えられた[ 11] 。
^ 板材の両端に力を加えて割れる時の力を測定したもの[ 13] 。
^ 木材の弾力性を表す尺度で、曲げ強さとの関連で考慮される[ 13] 。
^ 木材の靭性 の尺度のことで、急に加えられる衝撃荷重に対する抵抗力を表す[ 13] 。
^ 木口に加えられる荷重に耐えられる能力のことで、短柱や支柱などに用いられる木材にとっては重要な要素となる[ 13] 。
出典
^ “沖縄の名木百選 仲間川のサキシマスオウノキ ”. おきなわ 緑と花のひろば . 沖縄県 環境部環境再生課. 2020年4月28日 閲覧。
^ a b c d e f g h i j 熱帯植物研究会 編 編「アオギリ科 STERCULIACEAE」『熱帯植物要覧』(第4版)養賢堂、1996年、302-311頁。ISBN 4-924395-03-X 。
^ Kathiresan, K., Salmo III, S.G., Fernando, E.S., Peras, J.R., Sukardjo, S., Miyagi, T., Ellison, J., Koedam, N.E., Wang, Y., Primavera, J., Jin Eong, O., Wan-Hong Yong, J. & Ngoc Nam, V. (2010). Heritiera fomes. The IUCN Red List of Threatened Species 2010: e.T178815A7615342. doi :10.2305/IUCN.UK.2010-2.RLTS.T178815A7615342.en . Downloaded on 7 June 2021.
^ Sukardjo, S. (2010). Heritiera globosa. The IUCN Red List of Threatened Species 2010: e.T178807A7612712. doi :10.2305/IUCN.UK.2010-2.RLTS.T178807A7612712.en . Downloaded on 7 June 2021.
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