コジオスコ(コジオスコ山、Mount Kosciuszko)は、オーストラリア大陸の最高峰であり[注釈 1]、コジオスコ国立公園(英語版)の中心地である。この山を中心とする地域は、スノーウィー・マウンテンズ(英語版)と通称され、冬季にはオーストラリアの主要なスキーリゾートとして知られており、季節が逆の北半球に住むスキー客も見られる[1]。なお、片仮名転記では、「コジオスコ」・「コジアスコ」・「コシアスコ」・「コジウスコ」など、複数の表記が見られる。
命名史
ポーランドの探検家のパヴェウ・ストシェレツキが、ポーランドとリトアニアの英雄として知られるタデウシュ・コシチュシュコにちなんで、1840年に名付けた。クラクフにコシチュシュコを記念して造られた「コシチュシュコの丘」と呼ばれる人工の小山が有り、山の形が似ていると見なされたためである。
登頂方法
主たる登頂のルートは2つ存在し、共に、登山は容易である。
1つ目はシャーロット峠を経由する方法で、9 km歩くと山頂に到着する。1976年まではローソン峠まで自動車にも道が開放されていて、山頂付近まで車で行けた。
2つ目はスキーリゾートとしても知られるスレブドから行く方法である。スレブドからは1930 m地点まで、有料のリフトが動いており、頂上までの距離も僅か6.5 kmに過ぎない。リフトの終点からは、植生を保護するための木道、或いは鉄網で作られた道が整備されており、夏には花畑が見られる。
地形と生態系
この山は造山運動によって形成された[2]。ただし、近年の火山活動によって形成された山ではなく、近年における火山活動は、一切見られない[3]。コジオスコとその付近には氷河地形のモレーン、カール、氷河湖が多く見られる。オーストラリア国内に有る4つのカール湖の1つであるブルーレイク(英語版)は、山の北東部に位置しており、オーストラリア国内では、特に標高の高い場所に存在する湖の1つである。この湖の周辺では、高山植物のヒース、フェン、ボグなどが生育しており、1996年にラムサール条約の登録地となった[4]。また、一帯は生物多様性に富み、アルパインスノーガム(英語版)など植生が見られ、標高1850 m以上の高山地域には有袋類のブーラミス(英語版)[5]、フエガラス、ヒロハネズミ(英語版)や、トカゲのLiopholis guthega(英語版)など[4]、亜高山帯にはオオカンガルーとコトドリ、標高1400 m以下の山地にはハイイロリングテイル(英語版)とオグロワラビー(英語版)が棲息している。コシススコ国立公園は1977年にユネスコの生物圏保護区に登録されたが[6]、2020年にはオーストラリアの申請により、同国の他の4ヶ所の生物圏保護区と共に登録が撤回された[7]。
オーストラリアでコジオスコより高い山
オーストラリアが領有している領土、あるいは、領有を主張している領土には、コジオスコ山よりも高い山が存在する。
ギャラリー
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コジオスコ山
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コジオスコ山頂碑
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コジオスコ山頂
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クータパタマンバ湖
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ローソン峠からの頂上への道
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ローソン峠とオーストラリア最高所のトイレ
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スレドボから頂上へ向かう一風景
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スキーリゾート地スレドボ
脚注
注釈
- ^ 大分水嶺山脈は南東部の標高が比較的高いことが知られており、そこにコジオスコは位置する。オーストラリア大陸で2番目に標高の高いMount Townsendも、コジオスコの近くにそびえる。なおコジオスコは、オーストラリア大陸の最高峰ではあるものの、オーストラリアの最高峰ではない。
出典
- ^ 近藤 雅彦・今井 輝光 『Blueguide Pacifica 1 Australia(第5改訂版)』 p.70 実業之日本社 1990年12月25日発行 ISBN 4-408-00601-7
- ^ “Geologists discover how Australia's highest mountain was created”. Geology Page. 17 February 2017閲覧。
- ^ Erfurt-Cooper, Patricia (2014). Volcanic Tourist Destinations. Springer Science & Business Media. p. 273. ISBN 978-3-642-16191-9. https://books.google.com/books?id=XQ5ABAAAQBAJ 24 April 2017閲覧。
- ^ a b “Blue Lake | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org. 2023年1月26日閲覧。
- ^ “絶滅寸前の有袋類、化石の地への移住で保護へ、豪”. ナショナル・ジオグラフィック. ナショナル ジオグラフィック協会 (2019年11月8日). 2023年1月26日閲覧。
- ^ “Kosciuszko Biosphere Reserve, Australia” (英語). UNESCO (2019年8月). 2023年1月26日閲覧。
- ^ “Twenty-five sites join UNESCO’s World Network of Biosphere Reserves”. UNESCO (28 October 2020). 2023年1月26日閲覧。
関連項目
外部リンク