グレイ (単位)

グレイ
gray
記号 Gy
国際単位系 (SI)
種類 一貫性のあるSI組立単位
吸収線量比エネルギー分与カーマ
組立 J/kg
定義 吸収線量 : 放射線によって 1 kg の物質に 1 J のエネルギーが吸収されたときの吸収線量
カーマ : 間接電離放射線の照射により直接放出される全荷電粒子の初期運動エネルギーの和が物質 1 kg につき 1 J の仕事に相当するときのカーマ
語源 ルイス・ハロルド・グレイ
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グレイ (gray、単位記号Gy) は、放射線によって人体をはじめとした物体に与えられたエネルギーを表す計量単位である。国際単位系における固有の名称と記号を持つ22個のSI組立単位の一つである。

吸収線量[1]またはカーマ[1]計量単位として主に用いられる。

医療の現場における被治療者の被曝線量を表す臓器吸収線量の単位などに用いられる[2]

定義

吸収線量の単位

電離放射線の照射により物質 1 kg につき 1 J の仕事に相当するエネルギーが与えられるときの吸収線量を1グレイと定義する[1]

カーマの単位

間接電離放射線の照射により直接放出される全荷電粒子の初期運動エネルギーの和が物質 1 kg につき 1 J の仕事に相当するときのカーマを1グレイと定義する[1]
J/kg = m2 s−2、すなわちT−2 L2の次元をもつ。

ラド

かつては吸収線量の計量単位としてラド (単位記号 rad) が用いられていた。 1ラド = 0.01 グレイである[1]

ラドは国際単位系では一貫性のない非SI単位であるので、現在ではほとんど用いられない。ただし計量法では、法定計量単位としてなおも認めている。米国のNISTのSP811は、ラド、キュリー(en:curie)、レントゲン(en:roentgen)、レム(en:rem)の使用を避けるように強く("strongly discouraged")呼びかけている[3]

語源

グレイは、1940年に同様の概念の単位を使用したルイス・ハロルド・グレイ(1905年 - 1965年)を記念して1975年に定められた。ルイス・ハロルド・グレイは、「1レントゲンの放射能によって単位体積の水中に生じるエネルギーに等しい量のエネルギーの増加を単位体積当たりの組織の中で生じる中性子放射線の総量」を単位とした。

符号位置

記号 Unicode JIS X 0213 文字参照 名称
U+33C9 - ㏉
㏉
グレイ

Unicodeには、グレイを表す上記の文字が収録されている。これはCJK互換用文字であり、既存の文字コードに対する後方互換性のために収録されているものであるので、使用は推奨されない[4][5]

脚注

  1. ^ a b c d e 1992年(平成4年)11月18日政令第357号「計量単位令」別表第1、項番58 吸収線量、項番60 カーマ
  2. ^ 医療の領域では、数mGyの診断に伴う被曝から、放射線治療に伴う数10Gyに及ぶ線量まで幅広い線量領域の被曝が取り扱われる。そのため、定義から等価線量実効線量は用いることはできない(数Gyに比例する高い線量域において等価線量は適用できない)。この幅広い線量領域で共通して使える線量は、線量概念の基本量としての吸収線量である。 草間(2005) p.22
  3. ^ NIST SP811 p.10, Chapter5.2, NIST
  4. ^ CJK Compatibility” (2015年). 2016年2月21日閲覧。
  5. ^ The Unicode Standard, Version 8.0.0”. Mountain View, CA: The Unicode Consortium (2015年). 2016年2月21日閲覧。

参考文献

関連項目

放射能に関する単位と量[編集]
単位 記号 定義 導入年 SI単位
放射能 (A) キュリー Ci 3.7×1010 s−1 1953年 3.7×1010 Bq
ベクレル Bq s−1 1974年 SI単位
ラザフォード Rd 106 s−1 1946年 MBq
照射線量 (X) レントゲン R esu / 0.001293 g(空気) 1928年 2.58×10−4 C/kg
フルエンス (Φ) 毎平方メートル m−2 m−2 1962年 SI単位
吸収線量 (D) エルグ erg erg⋅g−1 1950年 10−4 Gy
ラド rad 100 erg·g−1 1953年 10−2 Gy
グレイ Gy J·kg−1 1974年 SI単位
等価線量 (H) レム rem 100 erg·g−1 1971年 10−2 Sv
シーベルト Sv J·kg−1 × WR 1977年 SI単位