『クエスチョン・オブ・バランス』(原題:A Question of Balance)は、イギリスのプログレッシブ・ロック・バンド、ムーディー・ブルースが1970年に発表した6作目のスタジオ・アルバム。
背景
ジャスティン・ヘイワードによれば、本作はライヴ・パフォーマンスを念頭に置いてレコーディングされ、「ある意味、過剰にオーヴァーダブの世界へ乗り出さず、スタジオの中でライヴ演奏する方向性に戻った」とのことである[5]。また、ヘイワードは自身が作詞・作曲した「クエスチョン」について「ライヴ録音で、オーヴァーダビングもダブルトラッキングも使わず、ちょっとエコーをかけただけさ」とコメントしている[6]。「クエスチョン」や「マイクズ・ナンバー・ワン」はレコーディングの初期の段階で録音されるが、アメリカ・ツアーのためにレコーディングは一度中断され[5]、4月24日には「クエスチョン」のシングル・ヴァージョンがリリースされて[7]、6月初頭に本作のレコーディングが再開された[5]。なお、「マイクズ・ナンバー・ワン」は未完成のままアウトテイクとなり、2003年の夏にテープが発見された[7]。
オリジナルLPの裏ジャケットには、『ナショナルジオグラフィック』誌に掲載されたジョン・ブラッシュフォード=スネルの写真をモデルにした人物(ピスヘルメットを着用し銃を持った男性)が描かれていた[5][8]。そして、これに対してスネルがバンドとレーベルを訴えたため、該当する部分は後に、ピスヘルメットをかぶっていない人物に描き直された[5][9]。
2006年のSACDにはボーナス・トラックが6曲追加され、2008年のリマスターCDにも引き続き収録された。
反響
本作に先行してリリースされたシングル「クエスチョン」は、全英シングルチャートで2位に達し、「ゴー・ナウ」(1964年)以来のトップ10シングルとなる[10]。また、アメリカのBillboard Hot 100では21位に達した[2]。
続いて本作が発表されると、全英アルバムチャートでは3週連続で1位となり[11]、自身2作目の1位獲得アルバムとなった[1]。アメリカのBillboard 200では3位を記録し[2]、1970年11月にはRIAAによってゴールドディスクに認定され、24年後の1994年11月にはプラチナディスクに認定された[12]。
収録曲
- クエスチョン "Question" (Justin Hayward) – 5:44
- ハウ・イズ・イット "How Is It (We Are Here)" (Mike Pinder) – 2:45
- そして波が打ち寄せ "And the Tide Rushes In" (Ray Thomas) – 2:55
- ドント・ユー・フィール・スモール "Don't You Feel Small" (Graeme Edge) – 2:38
- かめとうさぎ "Tortoise and the Hare" (John Lodge) – 3:19
- イッツ・アップ・トゥ・ユー "It's Up to You" (J. Hayward) – 3:11
- 吟遊詩人の歌 "Minstrel's Song" (J. Lodge) – 4:27
- ドーニング・イズ・ザ・デイ "Dawning is the Day" (J. Hayward) – 4:21
- メランコリー・マン "Melancholy Man" (M. Pinder) – 5:45
- バランス "The Balance" (G. Edge, R. Thomas) – 3:27
ボーナス・トラック
- マイクズ・ナンバー・ワン "Mike's Number One" (M. Pinder) – 3:36
- クエスチョン(オルタネイト・ヴァージョン) "Question (Alternate Version)" (J. Hayward) – 6:08
- 吟遊詩人の歌(オリジナル・ミックス) "Minstrel's Song (Original Mix)" (J. Lodge) – 4:35
- イッツ・アップ・トゥ・ユー(オリジナル・ミックス) "It's Up to You (Original Mix)" (J. Hayward) – 3:19
- ドント・ユー・フィール・スモール(オリジナル・ミックス) "Don't You Feel Small (Original Mix)" (G. Edge) – 3:02
- ドーニング・イズ・ザ・デイ(フル・オリジナル・ミックス) "Dawning is the Day (Full Original Mix)" (J. Hayward) – 4:36
参加ミュージシャン
脚注
外部リンク