ベックシュタインは14年にわたりバイエルン州内相を務めた。本来は一地方政治家であるが、その名はドイツ全体に比較的よく知られている。それは SPD と同盟90/緑の党の連立政権だった連邦政府の施策に真っ向から反対する、耳目をそばだてる主張を彼がしていたからに他ならない。内相として治安維持と在留外国人の管理を管掌していたが、彼の反対者にとってそれは監視社会と外国人敵視政策と映るものである。一方彼の支持者は、彼が内相だったおかげでバイエルンの治安は良くなったと主張している。
ベックシュタインは、世界的な「対テロ戦争」の世相の中で、移民の受け入れ条件を厳しく制限し、テロ容疑者は本国に強制送還するべきと主張。またビデオによる監視や犯罪者に対する生体認証、DNA鑑定の強化を主張し、また治安問題に対処すべくドイツ連邦軍の出動を主張する。さらには凶悪犯のみでなく、市街地での落書きや窃盗犯に対して刑を強化すべき、暴力的なコンピューターゲームは禁止すべき、インターネット上の捜査・監視を行い、特別凶悪犯のための「教化所」を設立すべきと主張している。実際のところは、彼の主張は同時期に連邦政府内相だった SPD のオットー・シリーとの共通点もあり、CSU およびキリスト教民主同盟 (CDU) のシンボルカラーである黒になぞらえ、ベックシュタインを「シリーの黒い双子」と呼ぶ冗談もあった[5]。