キャリー・ザット・ウェイト

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キャリー・ザット・ウェイト
ビートルズ楽曲
収録アルバムアビイ・ロード
英語名Carry That Weight
リリース1969年9月26日
録音
ジャンルシンフォニック・ロック
時間1分36秒
レーベルアップル・レコード
作詞者レノン=マッカートニー
作曲者レノン=マッカートニー
プロデュースジョージ・マーティン
アビイ・ロード 収録曲
ゴールデン・スランバー
(B-8)
キャリー・ザット・ウェイト
(B-9)
ジ・エンド
(B-10)

キャリー・ザット・ウェイト」(Carry That Weight)は、ビートルズの楽曲である。1969年9月に発売された11作目のイギリス盤公式オリジナル・アルバム『アビイ・ロード』に収録された。レノン=マッカートニー名義となっているが、ポール・マッカートニーによって書かれた楽曲。アルバム『アビイ・ロード』のB面の特徴であるメドレー「ザ・ロング・ワン」(The Long One)の7曲目にあたる楽曲。1969年7月に「ゴールデン・スランバー」と繋げてレコーディングされた。

ミドルブリッジにおいて、ブラスセクション、エレクトリック・ギター、ボーカルをフィーチャーして「ユー・ネヴァー・ギヴ・ミー・ユア・マネー」の出だしのメロディ、曲の最後の部分でギターのアルペジオがそれぞれ繰り返される。

背景

1969年1月9日にトゥイッケナム・スタジオ英語版でマッカートニーはピアノの弾き語りで、リンゴ・スターマル・エヴァンズに「ゴールデン・スランバー」を聴かせており、この時点で「ゴールデン・スランバー」から途切れることなく、本作のサビに移行する構成となっていた[1]。マッカートニーは本作について「リンゴが歌うのにちょうどいい曲だ」と説明し、ヴァース用のアイデアを考え始めた[1]。当初マッカートニーは「ちょっと『アクト・ナチュラリー』に似た、物語っぽい感じ」になることを想定していて、「オチのフレーズが何度も出てくる。聴いたらコメディのように思える曲でも良いし、そうでなければ全てを手に入れて、何もかもがうまくいっているのに、朝、卵が一つ落ちるか、右の靴がきつすぎるかして、『さあ、おまえがその重荷を背負わなきゃならないんだ』となってしまう曲に一つにしてもいい」と考えていた[1]

タイトルと歌詞について、「ビートルズが解散したときにメンバーそれぞれが生涯『ビートルズのメンバーであったという荷を背負う』事になるということを歌ったもの[2]」「ブライアン・エプスタインの死去後、バンドが設立したアップル・コアを通してビジネスの難しさを痛感したことを歌ったもの[3]」といった2種類の解釈がなされている。1969年のラジオのインタビューで、ジョン・レノンは本作の歌詞について「実際には『マックスウェルズ・シルヴァー・ハンマー』のストーリーをまた繰り返しているようなもの。僕らはみんな、たっぷりと荷物をしょいこんでいる。でもそれは実のところ『ゴールデン・スランバー』の一部で、一つの曲みたいなもの。この曲は『ゴールデン・スランバー』のサビだ」と語っている[1]

レコーディング

「キャリー・ザット・ウェイト」のレコーディングは1969年7月2日に開始され[4]、「ゴールデン・スランバー」と繋げてレコーディングされた。なお、この日のセッションでは、スコットランドでの自動車事故で負傷していたジョン・レノンは参加していない[1]。8トラック・レコーダーのトラック1にスターのドラム、トラック2にジョージ・ハリスンベース、トラック3にマッカートニーのピアノ、トラック8にマッカートニーのガイド・ボーカルが録音された[1]。同日に15回録音が行われたが、大半のテイクは途中で終わっている[1]。バッキング・トラックを作り出すにあたり、テイク13とテイク15の要素が編集でまとめられた[1]。翌日、トラック4に追加のドラムとマッカートニーのボーカル、トラック4とトラック7にダブルトラッキングしたスターとマッカートニーのコーラスが録音された。追加のドラムはトラック1に録音されたオリジナルのドラムとミックスするために、2本目のテープで2種類のリダクション・ミックスが作成され、よりよい出来と判断されたテイク17がオーバー・ダビング用に使用されることとなった[1]

7月30日にメドレー「ザ・ロング・ワン」に含まれる楽曲のレコーディングが完了したため、曲順を決めるための仮編集が行われた[1][注釈 1]。この段階では、マッカートニーのボーカルが完成バージョンと一部異なっており、コーラス部分の後のリードギターオーケストラが入っていなかった[1]。翌日にドラムやティンパニリードギター、もう1つのリード・ボーカル[5][1][注釈 2]、8月15日にオーケストラがトラック8にオーバーダビングされた[6][1]。オーケストラのパートは、最後のミキシング作業時にADTで増強されており、オリジナルのアンサンブルと少し遅れて聴こえるADT版は、ステレオ音像の両サイドに配置された[1]

クレジット

※出典[1][注釈 3]

ビートルズ
外部ミュージシャン

カバー・バージョン

脚注

注釈

  1. ^ 試作段階のメドレーは、2019年に発売された『アビイ・ロード (スーパー・デラックス・エディション)』のCD3に収録された。
  2. ^ マーク・ルイソン英語版の著書『The Beatles Recording Sessions』では、「7月9日のセッションより復帰したレノンのボーカルがレコーディングされた」と書かれている[5]
  3. ^ マーク・ルイソン英語版イアン・マクドナルド英語版の著書では、レノンとハリスンもバッキング・ボーカルを務めたとされている[7][8]

出典

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o Abbey Road 2019, p. 13.
  2. ^ MacDonald 2005, p. 356.
  3. ^ Miles 1997, pp. 557–558.
  4. ^ Lewisohn 1988, p. 178.
  5. ^ a b Lewisohn 1988, p. 183.
  6. ^ Lewisohn 1988, p. 184.
  7. ^ Lewisohn 1988, p. 190.
  8. ^ MacDonald 2005, p. 255.
  9. ^ Nimmervoll, Ed (1973年1月6日). “Go-Set National Top 40”. Go-Set. Waverley Press. 2020年11月14日閲覧。
  10. ^ 映画『SING/シング』のサウンドトラック、国内盤には長澤まさみらが参加”. NME Japan. BandLab UK (2017年3月2日). 2020年9月12日閲覧。

参考文献

  • ハウレット, ケヴィン (2019). アビイ・ロード (スーパー・デラックス・エディション) (ブックレット). アップル・レコード.
  • Lewisohn, Mark (1988). The Beatles Recording Sessions. New York: Harmony Books. ISBN 0-517-57066-1 
  • MacDonald, Ian (2005). Revolution in the Head: The Beatles' Records and the Sixties (Second Revised ed.). London: Pimlico (Rand). p. 355. ISBN 1-84413-828-3 
  • Miles, Barry (1997). Paul McCartney: Many Years From Now. New York: Henry Holt & Company. ISBN 0-8050-5249-6 

外部リンク