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この項目では、パブロ・デ・サラサーテの作品について説明しています。「カルメン幻想曲」と呼ばれる他の作品については「カルメン (オペラ)#その他」をご覧ください。 |
『カルメン幻想曲』(仏: Fantaisie sur Carmen)作品25は、スペインのヴァイオリニストであるパブロ・デ・サラサーテが1883年に作曲したヴァイオリンと管弦楽のための幻想曲。ピアノ伴奏で演奏されることも多い。演奏時間は約12分。
概要
ジョルジュ・ビゼー作曲のオペラ『カルメン』に登場するメロディを用いた、ヴァイオリンの名技性誇示を目的とする作品。パラフレーズに分類される。『カルメン』のメロディを基にした同種の作品は数多いが、その中でも最も有名なものの一つである。正式な題名は『ビゼーのオペラ「カルメン」のモティーフによる演奏会用幻想曲』(Fantaisie de concert sur des motifs de l'opéra "Carmen" de Bizet)。
編成
独奏ヴァイオリン、フルート2(ピッコロ持ち替え)、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、ホルン4、トランペット2、トロンボーン3、ティンパニ、タンブリン、トライアングル、ハープ、弦五部(ad libitum/任意を含む)
構成
序奏と4つの部分から成る。
- 序奏 Allegro moderato
オペラの第4幕への間奏曲「アラゴネーズ」の素材を使用。管弦楽による前奏の後、独奏ヴァイオリンに主旋律が現れる。トリル、重音奏法、グリッサンド、フラジオレットなどの技巧が使われ、最後はピッツィカートで静かに終わっていく。
- Moderato
4分の2拍子。弦楽器の伴奏で独奏ヴァイオリンがオペラ第1幕でカルメンが歌う「ハバネラ」を演奏する。メロディが繰り返されるごとに装飾性が増していく。
- Lento assai
8分の6拍子。第1幕でカルメンが歌う鼻歌「トゥ・ラララ」のメロディを使用している。フラジオレットにより静かに終わっていく。
- Allegro moderato
8分の3拍子。この部分も第1幕でカルメンが歌う「セギディーリャ」のメロディが素材となる。ピッツィカート、トリル、
グリッサンドなどが効果的に使用されている。
- Moderato
4分の3拍子。オペラ第2幕冒頭の「ジプシーの歌」が素材となる。弱い音から始まり、テンポを次第に速め最後は最も強い音で熱狂的に終わる。
参考文献
外部リンク