狼犬 (ホッキョクオオカミ とアラスカン・マラミュート の交雑)
カニド・ハイブリッド (英 : Canid hybrid )は、イヌ科 (Canidae )の動物 (canid )の、種 もしくは亜種 を超えた交配 により生まれた交雑種 (ハイブリッド )の総称である。
イヌ属 の動物であるオオカミ (イヌ 、ディンゴ 含む)、アビシニアジャッカル [ 1] 、キンイロジャッカル 、コヨーテ は、種間交雑が可能であり、雑種の生殖能力もある[ 2] 。また、ヨコスジジャッカル とセグロジャッカル の間の交雑も理論的には可能であるが、この2種とその他のイヌ属との交雑は成功しないようである[ 3] [ 4] 。また、イヌ属とその他の属のイヌ科 の動物とは、染色体 の数の違いが大きいために、理論的に交雑はきわめて起こりにくく、万一、交雑種が生まれたとしても、子孫を残すことはできない。
地域によっては野犬 と在来のイヌ科動物の交雑が進み、遺伝子汚染 による絶滅 が危惧されているイヌ科動物も存在する。
イヌ とオオカミ等との交雑で生まれた個体は、国や地域によっては法律によって所有などが禁じられている。例えば、アメリカ合衆国 ニューヨーク州 では、オオカミとイヌの交雑種の所有や移送等を禁じている[ 5] 。
オオカミとその亜種との交雑
イヌ はタイリクオオカミ の家畜化されたものである。またディンゴ もイエイヌから別れたタイリクオオカミの亜種である[ 6] 。したがって、これらの亜種間では交配が可能である。
オオカミとイエイヌとの交配は、イヌの品種改良 や、変わったペット を得ること等を目的にしばしば行われている。サーロス・ウルフホンド やチェコスロバキアン・ウルフドッグ は、オオカミとイヌとの交配を基礎として作出された犬種である。体が大きく力も強く飼育も難しいが、特有の美しい容姿と高い身体能力を持つため人気もある。
ディンゴ とイエイヌの交雑種はディンゴ・ハイブリッド (英:Dingo hybrids)と呼ばれている。ディンゴとイエイヌとの交雑が進んだため、現在、生息しているのはほとんどがディンゴ・ハイブリッドであるとされる。
オオカミ・イヌとコヨーテとの交雑
コイウルフ
オオカミとコヨーテ の交雑種はコイウルフ と呼ばれており、自然でも飼育状態でも起こることが知られている。ウプサラ大学 の研究者グループによると、メキシコ のオオカミのDNA や性染色体 の分析から、これらのオオカミの一部はコヨーテの血を引いていることが判明した[ 7] 。また、カリフォルニア大学デイビス校 とテキサス州立大学 の研究チームによれば、チュパカブラ とされた死体の解析をした結果、コヨーテとオオカミの交雑種であることが判明した[ 8] 。
アメリカアカオオカミ の種としての分類には議論があるが、一説によれば、コヨーテとタイリクオオカミの交雑種であるという。
コヨーテとイエイヌの交雑種はコイドッグ と呼ばれる。
オオカミ・イヌとジャッカルの交雑
ジャッカル・ハイブリッド (スリモヴ・ドッグ )
ジャッカル とオオカミやイエイヌの交雑も自然環境下で起きていることが知られている。エチオピア のアビシニアジャッカル は20世紀末以降、生息数を激減させ、絶滅が危惧されているが、その一因には野良犬などとの交雑があるとされる。
ロシア 原産のスリモヴ・ドッグ は、作出の過程でキンイロジャッカル をシベリアン・ハスキー などと交配している[ 9] 。空港 の爆発物 や麻薬 などを捜索する麻薬探知犬として生み出され、実際に使役されている。
脚注
^ Sillero-Zubiri, Claudio; MacDonald, David (1997). Status Survey and Conservation Action Plan: The Ethiopian Wolf . Cambridge, UK: IUCN. p. 31. ISBN 2-8317-0407-3 . http://www.carnivoreconservation.org/files/actionplans/ethiopian_wolf.pdf 9 August 2012 閲覧 . "“The Ethiopian wolf is closely related to the grey wolf and coyote and can hybridize with domestic dogs (Gottelli et al. 1994, Chapter 5).”"
^ Freeman, R.C.; Shaw, J.H. (15 September 1979). “Hybridization in Canis (Canidae) in Oklahoma”. The Southwestern Naturalist 24 (3): 485–499. JSTOR 3671304 .
^ Greyling, L.M.; Van Der Bank, H.F.; Grobler, P.J.; Kotze, A. (2004). “Genetic characterisation of a domestic dog Canis familiaris breed endemic to South African rural areas”. Acta Theriologica 49 : 369–382. doi :10.1007/bf03192535 .
^ Wayne, R.K.; Meyer, A.; Lehman, N.; van Valkeburgh, B.; Kat, P.W.; Fuller, T.K.; Girman, D.; O'Brien, S.J. (1990). “Large sequence divergence among mitochondrial DNA genotypes within populations of eastern African black-backed jackals” . Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 87 : 1772–1776. doi :10.1073/pnas.87.5.1772 . http://www.pnas.org/content/87/5/1772.full.pdf 21 December 2011 閲覧。 .
^ “Dangerous Wildlife License ”. New York State Department of Environmental Conservation. 2015年9月13日 閲覧。
^ Chan, Juliana (September 9, 2011). “Crikey! The Native Australian Dingo Was Originally From South China? ”. Asian Scientist Magazine . 14 August 2013 閲覧。
^ “Hybridization among Three Native North American Canis Species in a Region of Natural Sympatry ”. plosone.org (2013年). 14 August 2013 閲覧。
^ “UC-Davis team says chupacabra is likely coyote, wolf mix ”. KENS (February 1, 2008). 14 August 2013 閲覧。
^ “Russian airline's top dogs fight terror ”. BBC News (2002年12月13日). 2015年9月14日 閲覧。
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