オールド・ハリー・ロックス (Old Harry Rocks)とは、イングランド 南部のドーセット州 のパーベック半島 に位置するStudland と言う町に存在する、チョーク でできた2つの海食柱 である。2本あることから、オールド・ハリーとその妻と呼ばれる場合もあるが、実は過去に1本だけになっていた時代もあって、2003年現在の妻は2代目に当る。これらの岩は、ドーセット州のサウス・ウェスト・コースト・パス (英語版 ) から見ることができる。
地質
オールド・ハリー・ロックスと彼の妻
沖から
オールド・ハリー・ロックスは、おおよそ北緯50度64分、西経01度92分に位置する。ここは、ジュラシック・コースト の一部である。ユネスコ の世界遺産 に登録されているジュラシック・コーストは、デヴォン州 東部のエクスマス(Exmouth )近郊のOrcombe Point から、ドーセット州 東部のスワネイジ (Swanage )近郊にある、このオールド・ハリー・ロックスまで、およそ153キロメートルにわたってのびている[ 1] 。
ジュラシック・コーストにある断崖は、西に行くほど古い時代に形成された岩石でできており、東に行くにつれて徐々に新しい岩石でできている。そして、このオールド・ハリー・ロックスは、ジュラシック・コーストの最も東の地点に位置する。すなわち、ジュラシック・コーストの中では、最も新しい岩石で形成されているわけである。このオールド・ハリー・ロックス周辺のチョーク が形成されたのは、約6500万年前。そして、このチョークには、フリント の層が所々に含まれている。このチョークでできた岩盤に海の波が当り、柔らかい部分が徐々に侵食されることで、岬のような場所に小さな洞窟ができ、さらにそれが岬を貫通して天然のアーチを形成し、そのアーチが崩落して、アーチの支柱の部分だけが残ったことで、ここに海食柱が形成されたと考えられている。ここの岩盤は侵食され続けており、1896年にはここにあった1本の海食柱が崩れ去った。(このことを、オールド・ハリーの元々の妻が崩れたという喩えで表現する場合もある。)しかし、その後も侵食が続き、幅の狭い地峡 から新たに1本の海食柱が形成された[ 2] 。
こうして、ここには2003年現在も2本の海食柱が存在している。
伝説
オールド・ハリー・ロックスには、次のような伝説が存在する。
この地方では、伝統的に「オールド・ハリー(Old Harry)」という言葉は、悪魔 を遠回しに指す語として用いられてきた。そして伝説によれば、このオールド・ハリー・ロックスには、その悪魔が眠っていると言う。
この地方には、かつて悪名高き私掠船 の乗組員(海賊)として、さらに、密造酒 の作り手としても知られるハリー・ペイ (Harry Paye)という者がいた。この岩の名称は、彼の名前に由来しており、伝説によれば、彼はこの岩の近くに密売品を隠していたと言う。
参考文献
"The Jurassic Coast Trust" (2003) A Walk Through Time, the Official Guide to the Jurassic Coast. Coastal Publishing. ISBN 978-0-9544845-0-7
脚注
外部リンク