ウエストオーバー(Westover、2019年4月24日 - )は、イギリスの競走馬。主な勝ち鞍は2022年のアイリッシュダービー、2023年のサンクルー大賞。
概要
2歳(2021年)
8月5日サンダウン競馬場の未勝利戦でロブ・ホーンビーを背にデビューして初勝利を挙げる[3]。
続いて9月17日のニューベリー競馬場の条件戦を2着。10月18日のシルバータンカードステークス(L)を鞍上ライアン・ムーアで2着とした[3]。
3歳(2022年)
4月22日のクラシックトライアル(G3)に出走して、息の長い末脚でジリジリと伸びて前にいたゴールドスパーを捕らえると、追い込んできたキャッシュを短アタマ差で抑え込んでグループ競走初制覇を果たした[4]。
6月4日のダービーステークス(G1)に8番人気タイで出走。馬群捌きに手間取りデザートクラウンの3着に敗れた[5]。
6月25日のアイリッシュダービー(G1)に新たにコリン・キーンを鞍上に迎えて出走、チューズデーと1番人気を分け合った。全頭五部の発馬を決めて、ウエストオーバーはフレンチクレイムにハナを譲り2番手に付け、2ハロン進むあいだに隊列が決まって道中は淡々の流れた。直線に入って早々に先頭に立つと一方的に差を広げて2着のピズバディールに7馬身差を付ける独走劇でG1初制覇を果たした[6]。
その後はキングジョージ6世&クイーンエリザベスステークス(G1)に1番人気で出走し、逃げる競馬をするも最終コーナーで失速してパイルドライヴァーから18馬身差の5着に敗れた[7]。陣営のレーシングマネージャーはパドックでエミリーアップジョンの後ろに付けたが、ペースが上がらずに行きたがったウエストオーバーを前に出さざるを得なかったことを敗因として挙げた[8]。
陣営はインターナショナルステークスを回避して休養、セントレジャーステークスに向かう旨を明かした[8]。その後セントレジャーステークスは向かわずに凱旋門賞参戦を明言[9]。迎えた10月2日の凱旋門賞(G1)は6着に敗れた[10]。
4歳(2023年)
3月25日のドバイシーマクラシック(G1)にJRAオッズ4番人気で出走し、レースでは中団で控えるもハナを切って逃げたイクイノックスの3.5馬身の2着[11]。6月2日のコロネーションカップ(G1)では1番人気に支持されるも最後方にいたエミリーアップジョンに一気に突き抜けられ追いすがるも1馬身3/4差の2着に敗れた[12][13]。
7月8日のサンクルー大賞(G1)は単勝オッズ1.4倍の圧倒的な1番人気で出走[14]。前後7・8馬身ほどの隊列で5頭中の3頭目に付ける。2番手に付けていた僚馬マラブドライブが最終コーナー前で脱落し、それを交わして直線入口で早くも先頭の構えとなる。背後でザグレイが手応え良く追撃するも直線半ばで突き放して2馬身差で押し切り、前年のアイリッシュダービー以来となる二度目のG1制覇を挙げた[15]。
その後はキングジョージ6世&クイーンエリザベスステークス(G1)に5番人気で出走。大外から直線に入るとフクムと叩き合いにとなり、抜きつ抜かれつの激闘の末にアタマ差で競り負けて2着に敗れた。フクムを管理するバローズ調教師はフクムを称えるのと同時に「彼は我々にずっと戦いを挑んできた」とウエストオーバーの走りも称賛した[16]。10月1日の凱旋門賞では道中好位のインを進み、直線で一旦は抜け出すもエースインパクトの末脚に屈し2着に敗れた[17]。レース後の10月5日、故障のため現役を引退することが発表された[18]。
競走成績
以下は、JRA-VAN Ver. World[19]、Racing Post[20]の情報に基づく。
競走日
|
競馬場
|
競走名
|
格
|
距離(馬場)
|
頭数
|
枠番
|
馬番
|
着順
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タイム
|
着差
|
騎手
|
斤量
|
1着馬(2着馬)
|
2021.08.05
|
サンダウン
|
未勝利戦
|
|
芝1600m(稍重)
|
6
|
5
|
6
|
1着
|
R1:50.43
|
1+1⁄4馬身
|
R.ホーンビィ
|
9-5
|
(Bullet Force)
|
0000.09.17
|
ニューベリー
|
条件戦
|
|
芝1600m(稍重)
|
6
|
2
|
2
|
2着
|
-
|
2+1⁄4馬身
|
R.ホーンビィ
|
9-1
|
Zechariah
|
0000.10.18
|
ポンテフラクト
|
シルバータンカードS
|
L
|
芝1610m(重)
|
11
|
3
|
10
|
2着
|
-
|
クビ
|
R.ムーア
|
9-3
|
Mr Professor
|
2022.04.22
|
サンダウン
|
クラシックトライアル
|
G3
|
芝1990m(良)
|
6
|
3
|
7
|
1着
|
R2:13.53
|
短アタマ
|
R.ホーンビィ
|
9-1
|
(Cash)
|
0000.06.04
|
エプソム
|
英ダービー
|
G1
|
芝2410m(良)
|
17
|
2
|
16
|
3着
|
-
|
2+3⁄4馬身
|
R.ホーンビィ
|
9-2
|
Desert Crown
|
0000.06.25
|
カラ
|
愛ダービー
|
G1
|
芝2400m(良)
|
8
|
5
|
7
|
1着
|
R2:34.80
|
7馬身
|
C.キーン
|
9-2
|
(Piz Badile)
|
0000.07.23
|
アスコット
|
KGVI&QES
|
G1
|
芝2390m(良)
|
6
|
6
|
5
|
5着
|
-
|
18馬身
|
C.キーン
|
9-2
|
Pyledriver
|
0000.10.02
|
パリロンシャン
|
凱旋門賞
|
G1
|
芝2400m(重)
|
20
|
7
|
18
|
6着
|
-
|
7+1⁄4馬身
|
R.ホーンビィ
|
8-13
|
Alpinista
|
2023.03.25
|
メイダン
|
ドバイシーマC
|
G1
|
芝2410m(良)
|
10
|
1
|
8
|
2着
|
-
|
3+1⁄2馬身
|
R.ムーア
|
8-13
|
Equinox
|
0000.06.02
|
エプソム
|
コロネーションC
|
G1
|
芝2410m(良)
|
5
|
3
|
5
|
2着
|
-
|
1+3⁄4馬身
|
R.ホーンビィ
|
9-2
|
Emily Upjohn
|
0000.07.08
|
サンクルー
|
サンクルー大賞
|
G1
|
芝2400m(稍重)
|
5
|
4
|
3
|
1着
|
R2:25.46
|
2馬身
|
R.ホーンビィ
|
9-3
|
(Zagrey)
|
0000.07.29
|
アスコット
|
KGVI&QES
|
G1
|
芝2390m(稍重)
|
10
|
10
|
8
|
2着
|
-
|
アタマ
|
R.ホーンビィ
|
9-9
|
Hukum
|
0000.10.01
|
パリロンシャン
|
凱旋門賞
|
G1
|
芝2400m(稍重)
|
15
|
1
|
6
|
2着
|
-
|
1+3⁄4馬身
|
R.ホーンビィ
|
9-5
|
Ace Impact
|
種牡馬時代
2024年から北海道新冠町の優駿スタリオンステーションにて種牡馬として繋養されることが発表された[21]。
血統表
脚注
- ^ “The LONGINES World's Best Racehorse Rankings For 3yos and upwards which raced in 2022”. IFHA. 2023年12月1日閲覧。
- ^ “The LONGINES World's Best Racehorse Rankings For 3yos and upwards which raced in 2023”. 国際競馬統括機関連盟. 2024年1月24日閲覧。
- ^ a b “ウエストオーバー(Westover) | 競馬データベース | JRA-VAN World - 海外競馬情報サイト”. JRA-VAN Ver.World - 海外競馬. 2023年7月9日閲覧。
- ^ “英G3クラシックトライアル、新星ウエストオーバーが重賞初制覇 | JRA-VAN World - 海外競馬情報サイト”. JRA-VAN Ver.World - 海外競馬. 2023年7月9日閲覧。
- ^ “デザートクラウンが英ダービーを圧勝、スタウト師は6度目の栄冠 | JRA-VAN World - 海外競馬情報サイト”. JRA-VAN Ver.World - 海外競馬. 2023年7月9日閲覧。
- ^ “ウエストオーバーが愛ダービーを圧勝、英オークス馬チューズデーは4着に終わる | JRA-VAN World - 海外競馬情報サイト”. JRA-VAN Ver.World - 海外競馬. 2023年7月9日閲覧。
- ^ “パイルドライヴァーが英G1キングジョージで波乱呼ぶ、ウエストオーバーら3歳馬は惨敗 | JRA-VAN World - 海外競馬情報サイト”. JRA-VAN Ver.World - 海外競馬. 2023年7月9日閲覧。
- ^ a b “愛ダービー馬ウエストオーバーは夏休み、英セントレジャーでの復帰有力か | JRA-VAN World - 海外競馬情報サイト”. JRA-VAN Ver.World - 海外競馬. 2023年7月9日閲覧。
- ^ “愛ダービー馬ウエストオーバーは英セントレジャーに向かわず凱旋門賞参戦へ - 海外 | 競馬 : 日刊スポーツ”. nikkansports.com. 2023年7月9日閲覧。
- ^ “凱旋門賞(G1) 2022/10/2(日) | 日程・結果 | JRA-VAN World - 海外競馬情報サイト”. JRA-VAN Ver.World - 海外競馬. 2023年7月9日閲覧。
- ^ “【ドバイシーマクラシック】イクイノックスがノーステッキで圧巻の逃げ切り! | JRA-VAN World - 海外競馬情報サイト”. JRA-VAN Ver.World - 海外競馬. 2023年7月11日閲覧。
- ^ “コロネーションカップ(G1) 2023/6/2(金) | 日程・結果 | JRA-VAN World - 海外競馬情報サイト”. JRA-VAN Ver.World - 海外競馬. 2023年7月11日閲覧。
- ^ “英G1コロネーションC、紅一点のエミリーアップジョンが強豪牡馬を一蹴 | JRA-VAN World - 海外競馬情報サイト”. JRA-VAN Ver.World - 海外競馬. 2023年7月11日閲覧。
- ^ “サンクルー大賞(G1) 2023/7/8(土) | 日程・結果 | JRA-VAN World - 海外競馬情報サイト”. JRA-VAN Ver.World - 海外競馬. 2023年7月11日閲覧。
- ^ “仏G1サンクルー大賞はウエストオーバーが完勝、次戦はキングジョージが有力 | JRA-VAN World - 海外競馬情報サイト”. JRA-VAN Ver.World - 海外競馬. 2023年7月11日閲覧。
- ^ “英G1キングジョージ6世&クイーンエリザベスS、フクムがウエストオーバーとの激闘を制す | JRA-VAN World - 海外競馬情報サイト”. JRA-VAN Ver.World - 海外競馬. 2023年8月16日閲覧。
- ^ 【凱旋門賞】ウエストオーバーのベケット師「2着を誇りに思う」次走はBCターフを予定JRA-VAN Ver world、2023年10月2日配信・閲覧
- ^ 凱旋門賞2着馬ウエストオーバーが故障のため引退サンケイスポーツ、2023年10月5日配信・閲覧
- ^ “ウエストオーバー(Westover) | 競馬データベース”. JRA-VAN ver.World. 2023年11月30日閲覧。
- ^ “Westover | Race Record & Form | Racing Post”. www.racingpost.com. 2023年11月30日閲覧。
- ^ 久野朗. “愛ダービー馬ウエストオーバーが優駿SSで種牡馬入り G1・2勝、凱旋門賞2着後に電撃引退 - 競馬 : 日刊スポーツ”. nikkansports.com. 2023年11月2日閲覧。
- ^ a b c “血統情報:5代血統表|Westover(GB)|JBISサーチ(JBIS-Search)”. www.jbis.or.jp. 2023年7月12日閲覧。
- ^ “Westoverの血統表 | 競走馬データ”. netkeiba.com. 2023年7月12日閲覧。
外部リンク