インターロイキン-22(英: interleukin-22、略称: IL-22)は、ヒトではIL22遺伝子にコードされるタンパク質である[5][6]。
構造
IL-22はαヘリックスで構成されるサイトカインである。IL-22は、IL10RB(英語版)とIL22R1(英語版)サブユニットからなるヘテロ二量体型細胞表面受容体(IL-22受容体、IL-22R)に結合する[7]。IL-22Rは組織細胞で発現しており、免疫細胞では発現していない[8]。
IL-22のN-結合型グリコシル化部位を除去した変異体と高親和性の可溶性受容体sIL22R1との結晶化が行われている。結晶学的非対称単位には、2つのIL-22-sIL22R1複合体が含まれていた[7]。
機能
IL-22は炎症部位において、いくつかの免疫細胞集団によって産生される。αβT細胞Th1、Th22、Th17に加えて、γδT細胞、NKT細胞、ILC3(英語版)、好中球、マクロファージがIL-22の産生を行う。IL-22は非造血系細胞、主に間質細胞や上皮細胞に影響を与える。IL-22の影響としては、細胞生存や増殖、抗微生物作用を示す因子(S100(英語版)、Reg3β、Reg3γ(英語版)、ディフェンシンなど)の合成の刺激があげられる。このように、IL-22は創傷治癒と微生物に対する防御の双方に関与している[9]。IL-22の調節異常は、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、乾癬など、いくつかの自己免疫疾患の病因に関与している[10]。
IL-22の生物学的活性は、IL22R1とIL10R2からなる細胞表面複合体IL-22Rへの結合によって開始され、さらに可溶性結合タンパク質IL-22BP(英語版)との相互作用によっても調節される。IL-22BPはIL22R1の細胞外領域(sIL22R1)との配列類似性を示す。IL22R1とIL10R2は細胞標的化とシグナル伝達に関与し、免疫応答を選択的に開始・調節する[7]。IL-22は免疫応答、S100、ディフェンシンの刺激を介して免疫疾患にも寄与する。またIL-22は、IL-10と同様に、肝臓の肝細胞や肺と腸の上皮細胞の生存を促進する[11]。一部の条件下では、IL-22の炎症促進機能と組織保護機能は、しばしば共発現しているサイトカインIL17A(英語版)によって調節される[12]。IL-22を阻害する事により、視神経挫滅後の網膜神経細胞の軸索再生を促進する可能性がある[13]。
標的組織
IL-22の標的は主に非造血系細胞であり、肝臓、肺、皮膚、胸腺、膵臓、腎臓、消化管、滑膜、心臓、乳房、眼、脂肪組織の上皮細胞や間質細胞が標的となる[9]。
シグナル伝達
IL-22はIL-10ファミリーまたはIL-10スーパーファミリーと呼ばれるサイトカインのグループに属する。このグループには他にIL-19(英語版)、IL-20(英語版)、IL-24(英語版)、IL-26(英語版)などが含まれ[14]、細胞炎症応答の強力なメディエーターである。IL-22の細胞シグナル伝達にはIL10R2が利用され、これはこのファミリーの他のメンバーであるIL-10、IL-26、IL-28(英語版)、IL-29(英語版)と共通である[15]。
産生の調節
IL-22の産生は主にIL-23受容体シグナルによって誘導される。IL-23は樹状細胞において、特定のToll様受容体によるリガンドの認識後、特にDectin-1(英語版)またはNOD2(英語版)シグナルとの組み合わせによって産生される。IL-1βもIL-22の産生を刺激する。一方、IL-22BPはIL-22の受容体結合部位を遮断する可溶性阻害因子となる[9]。
出典
関連文献