イワガニ (岩蟹 Pachygrapsus crassipes )は、イワガニ科 に分類されるカニ の一種。外洋に面した岩礁海岸に生息するカニで、水辺を素早く走り回る。
分布
カリフォルニア州 レドンドビーチ 市のキングハーバー・マリーナ&ピアにて撮影(2014年)
日本では北海道 以南の各地に分布し、日本以外では朝鮮半島 、ハワイ諸島 、ガラパゴス諸島 、オレゴン州 以南の北アメリカ 太平洋 岸に分布する。これまで日本の分布は自然分布ではなく北アメリカから移入してきた外来種 と考える説もあったが、ミトコンドリアDNAのハプロタイプ分析により遺伝的な分化の時代を確認したところ、太平洋西岸(アジア)と東岸(北米)の集団が分岐した年代は80万年から120万年前の更新世であることが判明し、自然分布であることが明らかになっている[ 2] 。
特徴
イワガニの抜け殻
甲幅は3.5cmほどで、メスよりオスの方が大きい。体は黒緑色の硬い甲羅に覆われ、各所に緑褐色の斑点がある。鋏脚 は紫色をしている。外見はイソガニ に似るが、甲羅に細かい横しわがあること、歩脚に横しま模様がなく、剛毛が生えていること、あまり水に入らず陸上を走り回ることなどで区別する。
外洋性の岩礁海岸 に生息し、波打ち際の岩場を走り回る。食性は雑食性で、フナムシ や小魚を捕食するが、海藻 も食べる。
敵が来るとすばやく岩の隙間やタイドプール の中に逃げ込む。あまり海 中に入らないが、カクベンケイガニ やアカテガニ ほど水を嫌うわけではない。敵に追いかけられて逃げ場を失うと海 にダイビングすることもある。人が岩場に立つと岩の隙間からこちらの様子をじっとうかがっていることが多く、危険がないと見るやあちこちからわらわらと出てくることが多い。
天敵はタコ 、海鳥等
食材
人により味噌汁 などで食用にするが、良い出汁 がでる為パスタ ソース 等にも用いられる。
身は少なく食用には向かないが、濃厚な蟹の風味が楽しめる。
ペスカトーレ などや魚介類 を使用するイタリア料理 に利用されることも多い。
脚注
^ “Pachygrapsus crassipes ”. WoRMS . 2013年12月16日 閲覧。
^ Bryan J. Cassone & Elizabeth G. Boulding (2006). “Genetic structure and phylogeography of the lined shore crab, Pachygrapsus crassipes , along the northeastern and western Pacific coasts”. Marine Biology 149 : 213-226. doi :10.1007/s00227-005-0197-9 .
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