ディオファントスが解いた方程式で最も知られているものは、ピタゴラスの定理から派生するものだ。a2 + b2 = c2 を成り立たせる整数の組 a, b, c をピタゴラス数と呼ぶが、ディオファントスは、可能な解すべてを見出している。彼が与えたレシピは、任意の整数2つの組について、それらの平方の差、それらの積の2倍、それらの平方和をとるというものだ。得られた3つの数は、つねにピタゴラス数となる。
(訳注.整数の組を m, n (m < n)とおくと、レシピが与える3つの数は、それぞれ n2 − m2, 2mn, n2 + m2 である。この3つの数がピタゴラス数を与えることは、すでにユークリッドが「原論」第10章の命題29で示しているが、ユークリッドはこのレシピですべてのピタゴラス数が尽くされることまでは証明していない。これに対してディオファントスは「算術」第2巻の問題8で「与えられた平方数を2つの平方数に分割する」ための一般的な処方を与えている。その数学的な内容は、ここで紹介されているレシピですべてのピタゴラス数が尽くされることの実質的な証明になっていると解釈できる。)[1]
著作
Diophantus (of Alexandria) (2014-02-22) (ラテン語), Diophanti Alexandrini Opera Omnia: Cum Graecis Commentariis, 1 (Primary Source Edition ed.), Nabu Press, ISBN978-1-295-67972-0
Sesiano, Jacques (2011-10-14), Books IV to VII of Diophantus’ Arithmetica: in the Arabic Translation Attributed to Qustā ibn Lūqā, Sources in the History of Mathematics and Physical Sciences (Book 3), Springer, doi:10.1007/978-1-461-38176-1, ISBN978-1-461-38176-1