アメリカヌマジカ (亜米利加沼鹿、Blastocerus dichotomus )は、偶蹄目 シカ科 アメリカヌマジカ属に分類されるシカ。本種のみでアメリカヌマジカ属を構成する。
分布
アルゼンチン 北東部および中東部、パラグアイ 、ブラジル 南部および中西部、ペルー 南東部、ボリビア 東部[ 2]
模式標本 の産地(模式産地)はパラグアイ[ 3] 。ウルグアイ では絶滅[ 2] [ 5] 。
形態
体長 153 - 195センチメートル[ 4] 。尾長10 - 16センチメートル[ 4] 。肩高110 - 127センチメートル[ 3] [ 4] 。体重 80 - 150キログラム[ 4] 。南アメリカに分布するシカ科の構成種では最大種[ 2] [ 4] 。全身は長く粗い体毛で被われる[ 4] 。夏毛は明赤褐色で、冬毛は暗褐色[ 4] 。眼の周囲や耳介の内側は白い[ 4] [ 5] 。鼻面は黒い縦縞が入る[ 4] 。四肢の下部は黒い[ 4] [ 5] 。
耳介は大型[ 4] 。蹄は幅広く、10センチメートル以上広げることもでき左右の蹄が皮膜で繋がる[ 4] [ 5] 。これにより接地面が大きくなり、ぬかるんだ場所でも足をとられずに移動する事ができる[ 5] 。
オスには太く、1回枝分かれした後にさらに細かく枝分かれする角 がある[ 4] 。角の長さは最大61センチメートル[ 4] 。角が落ちる時期(繁殖期)は不定的[ 4] 。オスにのみ犬歯がある[ 4] 。
生態
河川の周辺にある湿原 や氾濫原 などに生息する[ 4] 。単独やペア、6頭までの小規模な群れを形成し生活することが多い[ 2] [ 4] 。主に薄暮時から夜間にかけて採食を行うが、昼間に活動する事もある[ 4] 。洪水が起きると島状になった陸地に集まる[ 2] [ 4] 。
食性は植物食で、草本 、木本の小枝や葉、水生植物などを食べる[ 4] 。
繁殖形態は胎生。妊娠期間は9か月[ 5] 。パンタナル では少なくとも4 - 9月は繁殖期とする報告例もある[ 4] 。1回に1頭の幼獣を産む[ 4] 。
人間との関係
生息地では肉が食用とされたり、毛皮が利用される事もある[ 4] 。
農地開発・ダムや水力発電所建設・干拓による生息地の破壊、金採掘による水質汚染、密猟、スポーツハンティング による乱獲、家畜との競合や伝染病の蔓延などにより生息数は減少している[ 2] [ 4] [ 5] 。パンタナルでの1998年における生息数は36,314頭が確認されている[ 4] 。ウルグアイでは1958年以降は記録がなく、絶滅したとされる[ 2] 。
画像
参考文献
^ Appendices I, II and III <http://www.cites.org/ >(accessed Oct 17, 2015)
^ a b c d e f g h Duarte, J.M.B., Varela, D., Piovezan, U., Beccaceci, M.D. & Garcia, J.E. 2008. Blastocerus dichotomus. The IUCN Red List of Threatened Species 2008: e.T2828A9486864. doi :10.2305/IUCN.UK.2008.RLTS.T2828A9486864.en , Downloaded on 16 October 2015.
^ a b c d e Laurenz Pinder and Andrea P. Grosse, "Blastocerus dichotomus ," Mammalian Species , No. 380, American Society of Mammalogists, 1991, pp. 1-4.
^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa 小原秀雄 「アメリカヌマジカ」『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ2 アマゾン』小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著、講談社 、2001年、40-41、125-126頁。
^ a b c d e f g h Epps, C. 2000. "Blastocerus dichotomus " (On-line), Animal Diversity Web. Accessed October 17, 2015 at http://animaldiversity.org/accounts/Blastocerus_dichotomus/
関連項目