数学において,はめ込み (immersion) は可微分多様体の間の可微分写像であって微分がいたるところ単射であるもののことである[1].明示的には,f: M → N がはめ込みであるとは,
が M のすべての点 p において単射関数であることをいう(ここで TpX は多様体 X の点 p における接空間を表す).同じことであるが,f がはめ込みであるとは,その微分が M の次元に等しい定数階数(英語版)を持つことである[2]:
関数 f それ自身は単射である必要はない.
関連概念は埋め込みである.滑らかな埋め込みは位相的な埋め込みでもある単射はめ込み f: M → N であり,したがって M は N におけるその像に微分同相である.はめ込みはちょうど局所的な埋め込みである――つまり,任意の点 x ∈ M に対して,x のある近傍U ⊂ M が存在して,f: U → N が埋め込みとなり,逆に局所的な埋め込みははめ込みである[3].無限次元多様体に対して,これははめ込みの定義として取られることもある[4].
M がコンパクトならば,単射なはめ込みは埋め込みであるが,M がコンパクトでなければ,そうとは限らない;連続全単射と同相を比較せよ.
正則ホモトピー
多様体M から N への2つのはめ込み f と g の間の正則ホモトピー(英語版)は次のような可微分関数 H: M × [0, 1] → N と定義される:すべての t ∈ [0, 1] に対して,すべての x ∈ M に対して Ht(x) = H(x, t) によって定義される関数 Ht: M → N ははめ込みで,H0 = f, H1 = g である.正則ホモトピーはしたがってはめ込みを通したホモトピーである.
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