はくちょう(第4号科学衛星CORSA-b)は東京大学宇宙航空研究所(後の宇宙科学研究所、現宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究本部)が打ち上げた日本初のX線天文衛星である。開発・製造は日本電気が担当した。1979年2月21日14時0分(JST)に、鹿児島県内之浦町(現肝付町)にある鹿児島宇宙空間観測所(現内之浦宇宙空間観測所)からM-3Cロケット4号機によって打ち上げられ、日本初の天文衛星となった。名前は有名なX線源のあるはくちょう座に由来する。
概要
はくちょうは1976年2月4日に打ち上げ失敗したX線天文衛星CORSAを作りなおしたものである。CORSAの失敗当日にメーカーから再開発の申し出があり、計画が開始した。それからわずか3年で打ち上げられ、近地点545km、遠地点577kmの略円軌道に投入された。1985年4月15日に大気圏に突入して燃え尽き、運用を終了した。
はくちょうの主要な目的は、X線バーストの観測、あらたなX線源出現の監視とスペクトル・強度変化の観測などである。
同時期に稼働したX線天文衛星にはアインシュタイン衛星(1978年11月12日-1981年4月)、てんま(1983年2月20日-1985年11月22日)がある。
観測装置
- 超軟X線測定器 (VSX) -- 0.1-1.0keVのX線を観測する装置
- 軟X線測定器 (SFX) -- 1.5 - 30.0 keVのX線を観測する装置
- 硬X線測定器 (HDX) -- 10 - 100 keVのX線を観測する装置
主な成果
- 新たなX線バースト源の発見
- パルサーの異常な周期変化の観測
- ラピッドバースターの発見
CORSAからの変更点
はくちょうは早期打ち上げを実現するため、打ち上げに失敗したCORSAの設計を基本的に踏襲しているが幾らかの変更点がある。アメリカのSAS-3衛星によって特異な性質が確認されたX線バースト源の位置を正確に測定出来るようにX線検出装置が追加され、代わりに重粒子線観測装置は非搭載となった。また、観測データ蓄積量の増加のためにテープレコーダが搭載され、ニューテーションダンパの改良も行われた。
その他
- 当機は打ち上げられる前までは研究者の間で「ぎんが」というニックネームで呼ばれていたが、プロジェクトを率いた小田稔の強い希望で「はくちょう」と名付けられた。なお、「ぎんが」の名は後に打ち上げられたX線天文衛星「ASTRO-C」に対し名付けられた。
関連項目
外部リンク