こんごう (護衛艦)
こんごう(ローマ字:JS Kongō, DDG-173)は、海上自衛隊の護衛艦(イージス艦)。こんごう型護衛艦の1番艦。艦名は金剛山に因み、旧海軍の金剛型コルベット「金剛」、金剛型戦艦「金剛」に続き日本の艦艇としては3代目。日本初のイージス・システム搭載艦である。艦名候補として当初は「ゆきかぜ」などが検討されていた。 本記事は、本艦の艦暦について主に取り扱っているため、性能や装備等の概要についてはこんごう型護衛艦を参照されたい。 艦歴![]() ![]() 「こんごう」は、中期防衛力整備計画に基づく昭和63年度計画7200トン型護衛艦2313号艦[1]として、三菱重工業長崎造船所焼島工場で1990年5月8日に起工され、1991年9月26日に進水、1992年5月26日に公試開始、1993年3月25日に就役し、第2護衛隊群第62護衛隊に編入され佐世保に配備された。建造費は1223億円。 同型艦中、本艦のみ就役時ORQ-1ヘリコプター・データ・リンク装置が未装備であったが後日装備している。また、リンク16のアンテナも就役後、装備した。 1993年11月26日から1994年2月21日の間、イージスシステムの装備認定試験(SQT)のためハワイに派遣。 1994年5月31日、護衛艦「くらま」等とともに環太平洋合同演習(RIMPAC)に参加するため横須賀基地を出港し、6月23日から7月6日までハワイ周辺海域で実施された同演習に参加した。 2000年5月15日、リムパック2000に参加するため、本艦を旗艦として護衛艦「くらま」、「しまかぜ」、「むらさめ」、「はるさめ」、「ゆうだち」、「きりさめ」、「あさぎり」、補給艦「はまな」、潜水艦「なつしお」とともに横須賀基地を出港した。5月26日に真珠湾に寄港し5月30日から7月6日までハワイ周辺海域で演習に参加した。その最中、6月5日午前9時30分に米空軍F-16戦闘機と地上から発射された3発の模擬ミサイルをSM-2対空ミサイルで迎撃に成功した。7月13日から21日にサンディエゴに寄港。7月30日から8月3日まで再び真珠湾に戻り、8月16日に横須賀基地に帰投した。 2003年4月10日、テロ対策特別措置法に基づき、護衛艦「ありあけ」、補給艦「はまな」とともにインド洋に派遣、同年7月まで任務に従事し、8月22日に帰国した。 2004年5月17日、テロ対策特別措置法に基づき、護衛艦「ありあけ」とともにインド洋に派遣、同年8月まで任務に従事し、9月19日に帰国した。 2006年11月、三菱重工業長崎造船所に定期検査とMD(弾道ミサイル防衛)特別改造としてスタンダードSM-3 block1A発射能力付与工事を実施するため、長期入渠する。2007年3月にMD改造工事は完了し、同年8月に定期検査を完了する。同年10月15日にMDシステム試験の目的でハワイ近海に進出し、11月6日に米海軍タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦「レイク・エリー」の迎撃試験時に標的2発の追尾に成功。11月15日には弾道ミサイル標的追尾訓練で分離標的の追尾に成功。12月18日、カウアイ島沖でスタンダードSM-3SAM(艦対空ミサイル)により、太平洋ミサイル試射場から発射された模擬弾道弾を高度160㎞の熱圏での撃墜にアメリカ以外では最初に成功する(JFTM1迎撃演習)。 2008年3月26日、護衛隊改編により第1護衛隊群第5護衛隊に編入された。 2012年12月6日、朝鮮民主主義人民共和国が「人工衛星」と自称する弾道ミサイルの発射に備えるため、護衛艦「みょうこう」、「ちょうかい」とともに佐世保から出航し、アメリカ合衆国海軍と連携して迎撃態勢を整える[2]。同月12日、ミサイルは発射されるも領土内に落着する恐れがなくなったため、破壊措置命令の解除を受けて順次撤収に移る[3]。 2013年4月、再び北朝鮮にミサイル発射の徴候が見られたことから、破壊措置命令に基づき、日本海に展開した。2013年6月28日に、破壊措置命令は解除され、こんごうは約3ヶ月の警戒任務を終えて、6月30日に佐世保基地へと帰港した[4]。 2021年1月15日、沖大東島周辺海空域において、護衛艦「あさひ」とともに日米共同訓練を実施した。米海軍からは空母「セオドア・ルーズベルト」、巡洋艦「バンカー・ヒル」、駆逐艦「ジョン・フィン」が参加し、各種戦術訓練を実施した[5]。 同3月29日、東シナ海において、米海軍揚陸指揮艦「ブルーリッジ」と日米共同訓練を実施した[6]。 同年5月11日から17日にかけて、護衛艦「いせ」、「あしがら」、「あさひ」、輸送艦「おおすみ」、ミサイル艇「おおたか」、「しらたか」、哨戒機、潜水艦とともに東シナ海において日米豪仏共同訓練(ARC21)に参加した。米海軍からはドック型輸送揚陸艦「ニューオリンズ」、豪海軍からはフリゲート「パラマッタ」、仏海軍からは強襲揚陸艦「トネール」、フリゲート「シュルクーフ」が参加し、防空訓練、対潜訓練、着上陸訓練を実施した[7]。 同年10月12日から16日にかけて、四国南方から関東南方において米海軍空母「ロナルド・レーガン」、巡洋艦「シャイロー」と日米共同訓練を実施した[8]。 2022年2月4日から7日にかけて、東シナ海及び西太平洋において、日米同盟の抑止力・対処力を強化すべく、米海軍と共同訓練を実施した。海自からは本艦の他、P-3Cが、米海軍からは空母「エイブラハム・リンカーン」、強襲揚陸艦「アメリカ」・「エセックス」、ドック型輸送揚陸艦「グリーン・ベイ」・「アシュランド」・「パール・ハーバー」、巡洋艦「モービル・ベイ」、駆逐艦「スプルーアンス」・「デューイ」、掃海艦「ウォーリア」、遠征用海上基地艦「ミゲル・キース」、P‐8が参加し、各種戦術訓練を実施した[9]。 同年4月8日から17日にかけて、護衛艦「いなづま」とともに、日本周辺(東シナ海及び日本海を含む。)において米海軍空母「エイブラハム・リンカーン」空母打撃群(巡洋艦「モービル・ベイ」、駆逐艦「スプルーアンス」、補給艦「ティピカヌー」、貨物弾薬補給艦「リチャード・E・バード」)と共同訓練を実施した[10]。その間、12日には「いなづま」、航空自衛隊のF-2戦闘機と共に日本海において、「エイブラハム・リンカーン」空母打撃群と日米共同訓練を実施し[11]、翌13日及び14日には、「モービル・ベイ」及び「スプルーアンス」と日本海において弾道ミサイル情報共有に係る共同訓練を実施し、日米同盟の抑止力・対処力を強化した[12]。 2024年1月15日から17日にかけて、護衛艦「ひゅうが」とともに、東シナ海において米海軍空母「カール・ヴィンソン」、巡洋艦「プリンストン」、駆逐艦「キッド」、駆逐艦「スタレット」、韓国海軍駆逐艦「セジョン・デワン」及び駆逐艦「ワン・ゴン」と日米韓共同訓練を実施した[13]。引き続き17日から19日まで東シナ海から沖縄南方の訓練海空域において「カール・ヴィンソン」、「プリンストン」、「キッド」、「スタレット」と日米共同訓練を実施した[14]。 同年3月22日から4月6日にかけて、横須賀から沖縄東方に至る海空域において、日米共同訓練(SWATT24)に参加した。米海軍からは強襲揚陸艦「アメリカ」 、駆逐艦「デューイ」・「ヒギンズ」・「ハワード」・「ラルフ・ジョンソン」、給油艦「ユーコン」、潜水艦が参加し、各種戦術訓練(対空戦、対潜戦、対水上戦、電子戦、対空ミサイル射撃)、洋上補給を実施した[15]。 同年9月22日から9月25日にかけて、沖縄東方において米海軍強襲揚陸艦「ボクサー」と日米共同訓練を実施した。訓練項目は各種戦術訓練(対水上戦、LINKEX等)、PHOTOEX[16] 現在は第1護衛隊群第5護衛隊に所属し、定係港は佐世保である。 ミサイル防衛![]() 2007年10月4日から翌年1月4日の間、BMD機能付加に伴う装備認定試験のためハワイに派遣され、12月18日、米軍以外によるものとしては初となるスタンダードSM-3による迎撃演習(JFTM-1)をハワイ・カウアイ島沖で行い、太平洋ミサイル試射場から発射された高度160キロメートルの熱圏を飛行する標的ミサイル1発の迎撃に成功した[17][18]。 歴代艦長
脚注
参考文献
外部リンク
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