笠岡干拓地
笠岡湾干拓地( かさおかわん かんたくち)は、岡山県 笠岡市 市街地南方の干拓地 の総称である。笠岡干拓 (かさおかかんたく)とも呼ばれる。また当地の大部分を占める農業用地を中心にベイファーム またはべいふぁーむ の愛称でも呼ばれる。
笠岡湾 の干拓は、国営事業として1947年から開始された同市市街地西方の現在番町 と呼ばれている市街地区周辺のもの[ 1] と、同じく国営事業として1966年より開始された本土から神島 に渡るものがあるが、現在一般的に笠岡湾干拓地と呼ばれているのは後者の方である[ 2] [ 3] 。当頁では、後者について記述している。
概要
笠岡湾干拓地は、国営(農林水産省 )事業として、笠岡市の中心市街地南方から神島 間に広がっていた笠岡湾 を、本土側の茂平地区から神島西部)寺間)、また生江浜地区から神島北部まで堤防を築き、干拓により陸地を造成したものである。概ね水深5m以内、18.07km2の水域を対象とした。1966年12月より事業を開始し、約22年、総事業費約300億円を費やし、1990年3月完全竣工した。これにより神島及びその属島の片島・木之子島は陸続きとなる[ 4] [ 5] [ 3] 。
大半は農業用地 で、約11.91km2 ある。西方の沿岸部は工業用地 に使用され、約4.6 km2 となっている。農業用地は、ベイファーム (べいふぁーむ とも)という名称が付けられ、花・野菜・果樹の栽培などの農業、乳牛や肉牛の酪農・畜産業などが行われている。また菜の花畑やひまわり畑もあり、観光スポットとなっている[ 6] 。
なお、用水に関しては、沿線各市町の工業用水・水道用水と合わせて、同水源となっている高梁川 から延長24kmの導水路を建設して確保された[ 6] 。
干拓竣工時の1990年には、完成を記念し食と緑の博覧会 が当地を会場にして開催され、翌1991年に笠岡農道空港 が開業。続く1994年に公園のかさおか太陽の広場 が開園し、2005年に笠岡総合スポーツ公園が開業、2008年には地区内を縦断する笠岡バイパス の側道部分が開通、さらには2011年に同道路沿線に道の駅 笠岡ベイファーム が開業している。
2004年、岡山県と笠岡市で共同所有する笠岡湾干拓粗飼料基地、及び干拓地の有効活用のため、市・市議会議員・県議会議員・商工会議所・干拓土地改良区・地元農家・民間団体等を中心に「笠岡湾干拓粗飼料基地活性化促進期成会」が発足した[ 7] 。
また、笠岡市は「笠岡湾干拓地活性化プラン」を策定し、「大地が育む儲かる農づくり」「環境にやさしい麗しの農づくり」「ふれあいと癒しの農づくり」を活性化の3本柱として定めた。具体的には農産物のブランド化・企業の農業参入、家監査供物栽培・減農薬栽培・堆肥エネルギーバイオマス活用、農産物の直売・市民交流などが挙げられた[ 7] 。
この結果、2006年にはドール(ドール・フード・カンパニー )が干拓地内に進出することが決定した。同社は、現地農業法人「I LOVE ファーム 笠岡」を設立し、栽培除草剤無使用のブロッコリー を栽培している。またブロッコリーを中心に1 km2 規模(甲子園球場25個分)の栽培・干拓農家との契約栽培等を計画している[ 7] [ 8] 。
用途別面積
単位は全てkm2 とする。
総面積 – 18.11
農地関連総面積 – 11.91
一般配分用地 – 4.78
公共的農業利用地 – 3.98
土地改良財産用地(堤防敷、排水路敷ほか) – 2.47
その他(入植者宅地) – 0.68
工業用地総面積 – 4.6
沿革
1959年4月1日 - 予備調査開始
1962年4月1日 - 本調査開始
1965年2月 - 日本鋼管 福山事業所が開業(当地にも事業所が立地)
1966年12月16日 - 事業着手
1969年8月 - 共同導水工事
1972年3月 - 共同導水工事完了
1973年2月8日 - 事業計画決定
1975年9月 - 西側堤防締切完成
1976年3月 - 干陸排水
1977年8月 - 干陸排水完了
1982年12月13日 - 事業計画変更(第1次)
1984年5月24日 - 干陸計画決定
11月12日 - 土地配分計画決定
11月 - 土地配分公告(5回)
1986年6月13日 - 事業計画変更(第2次)
1987年9月24日 - 干陸計画変更(第1次)
1990年1月17日 - 干陸計画変更(第2次)
2月 - 土地配分公告終了
3月16日 - 食と緑の博覧会 開催
3月31日 - 干拓事業完全竣工
4月15日 - 食と緑の博覧会終了
1991年 - 笠岡農道空港 (笠岡ふれあい空港)開業
1994年4月1日 - かさおか太陽の広場 開業
1997年11月 - 第1回べいふぁーむ笠岡マラソン 開催
2004年 - 笠岡湾干拓粗飼料基地活性化促進期成会発足
2005年4月1日 - 笠岡総合スポーツ公園 開業
2006年9月 - ドール・フード・カンパニー (DOLE)の進出が決定
2008年3月15日 - 笠岡バイパス 暫定開通(側道部)
2011年8月4日 - 道の駅笠岡ベイファーム 開業
地域区分
干拓地は、平成町 ・カブト東町 ・カブト中央町 ・カブト西町 ・カブト南町 ・拓海町 (以上 農業用地)・港町 ・鋼管町 (以上 工業用地)の大字に分かれている。笠岡市は行政上の広域地区として、農業用地の大字をまとめて平成カブト 、工業用地の大字をまとめて鋼管 と設定している[ 9] 。
平成カブト
総人口121人(男性63人、女性58人)、世帯数39世帯。
平成町
人口・世帯数ともなし。郵便番号は、714-0054。
カブト東町
人口2人(男性2人)、世帯数2世帯。郵便番号は、714-0051。
カブト中央町
人口21人(男性13人、女性8人)、世帯数8世帯。郵便番号は、714-0052。
カブト西町
人口・世帯数ともなし。郵便番号は、714-0053。
カブト南町
人口・世帯数ともなし。郵便番号は、714-0046。
拓海町
人口98人(男性48人、女性50人)、世帯数29世帯。郵便番号は、714-0047。
鋼管
総人口・世帯数ともなし。
鋼管町
郵便番号は、714-0063。
港町
郵便番号は、714-0045。
地勢
山岳
片島 - かつての島嶼(有人)。神島の属島だったため、現在も大字は神島となっており、飛地になっている。
木之子島 - かつての小島嶼(無人)。神島の属島だったが、上記と異なり、現在は当地の大字である拓海町内となっている。
水域
笠岡湾 - 大規模干拓により縮小。当地の北東となり、神島から市街南部を通り金浦まで細長い入江状となっている。
1号幹線排水路
2号幹線排水路
3号幹線排水路
国繁承水路
神島承水路
1号支線排水路
2号支線排水路
3号支線排水路
4号支線排水路
40号小排水路
茂平川
遊水池
イベント等
べいふぁーむ笠岡マラソン - 2月
千本桜 - 3〜4月頃
菜の花畑 - 4月頃
笠岡ふれあい空港ラジコンフライトショー - 4月
ひまわり畑・ひまわりロード - 8月頃
空と大地のひまわりカーニバル - 8月
空と大地のカーニバル - 10月
主要施設
行政
井笠広域クリーンセンター - 平成町
井笠広域粗大ゴミ処理センター - 平成町
リサイクルプラザ - 平成町
干拓中央管理事務所 - 平成町
笠岡湾干拓粗飼料基地 - 平成町
寺間排水機場 - カブト西町
片島排水機場 - 拓海町
事業所
種苗センター - 平成町
JAかさや農産物出荷場 - 平成町
JFEスチール西日本製鉄所 福山地区 - 鋼管町
アドケムコ - 鋼管町
茂平臨海工業団地
マルフクヴァレッジ - 鋼管町
川上製作所 - 鋼管町
ダウ化工 - 鋼管町
アルライト - 鋼管町
奥田工業 - 鋼管町
サニックス - 港町
娯楽・公園
名所
べいふぁーむ笠岡千本桜 - カブト東町
べいふぁーむ笠岡菜の花畑 - カブト西町・カブト中央町(ふれあい空港周辺)
べいふぁーむ笠岡ひまわり畑 - カブト西町・カブト中央町(上記と同所)
ひまわりロード - カブト西町・カブト中央町(ふれあい空港周辺道路)
他
交通
道路
脚注
参考文献・サイト
関連項目