前山寺(ぜんさんじ)は、長野県上田市前山にある真言宗智山派の寺院。山号は獨股山又は独鈷山(とっこさん)。本尊は大日如来。独鈷山(1,266メートル)の山麓にあり、塩田城の鬼門に位置する。
また「未完成の完成の塔」と呼ばれる国の重要文化財の三重塔がある(後述)
現在では珍しい木造茅葺き屋根の本堂は国の登録有形文化財。
本尊は大日如来。上田市指定文化財。
名物は境内で採れた鬼ぐるみを使った胡桃おはぎ(4月~11月。木・金曜日定休。要予約)
歴史
812年弘法大師空海が護摩修行の霊場として開創したといわれる。当初は法相宗と三論宗を兼ねていたが、1331年善通寺から長秀上人が訪れ、現在の地に移し規模を拡大させたとされる。のち貞享年中(1684年~1687年)に真言宗智山派に改宗された。
境内
- 三重塔 - 国の重要文化財。和様・禅宗様の折衷様式。建立年代は不明だが、様式から室町時代と推定されている。三間三重で高さ19.5メートル、屋根は杮葺きである。二層三層に窓や扉、廻縁、勾欄はないが、長い胴貫が四方に突き出し調和させていることから、「未完成の完成の塔」と呼ばれている。
- 本堂 - 国の登録有形文化財。約400年前に建てられた間口十間、奥行八間の木造茅葺屋根の本堂。茅葺きの厚さは4尺(約120cm)
- 奥の院 - 奥の院は岩屋堂と呼ばれ、昔、護摩修行の霊場であったとされる場所である。現在は岩屋の中に弘法大師が安置されている。1793年この山を穿ち、西国三十三所観音札所の仏像を祀り、近隣の信仰を集めた。明治になり損壊や盗難が相次ぎ当寺に移された。現在は近隣の石工組合の協力を得、石造の観音像が復元された。
所在地
交通アクセス
拝観について
周辺寺院
前山寺がある塩田平周辺は「信州の鎌倉」とも呼ばれ、かつて塩田北条氏の拠点として栄えたことから、鎌倉時代から室町時代にかけての中世の文化財が多く集まる。
- 安楽寺 (国宝)八角三重の塔 他
- 大法寺 (国宝)三重の塔 他
- 常楽寺 (重文)多宝塔
- 前山寺 (重文)三重の塔
- 中禅寺 (重文)薬師堂 他
- 信濃国分寺(重文)三重の塔
- 龍光院
参考文献
関連文献
外部リンク