交通機動隊 (こうつうきどうたい、英語:Traffic Police Force 、Traffic Mobile Unit、Traffic Riot Police )は、都道府県警察本部 の交通部 に設置されている部署の一つで、交通部の「執行隊 」である。また、交通機動隊の名称を略した交機 (こうき)や交機隊 (こうきたい)という呼び方をする場合もある。
概要
主な活動内容は、白バイ (交通取締用自動二輪車あるいは交通指導取締用自動二輪車)とパトカー (交通取締用四輪車あるいは交通取締用無線自動車)による幹線道路 交通取り締まりであり、自動車警ら隊 と並んで「パトカー・白バイのプロ集団」といわれている。
高速道路交通警察隊 (「高速隊」と言うこともある)も別に設置されるが、交通機動隊 の仕事は、一般道の交通取締まりや事故処理などなのに対し、高速道路交通警察隊は高速道路 と一般道における交通取り締まりや事故処理などだけでなく、高速道路上を逃走している被疑者追跡、パーキングエリア など高速道路上施設における事件捜査、等まで多岐に渡る。また広域緊急援助隊 (広緊隊)の交通部として、被災地へ派遣されることもある。
1970年前後の交通事故死者数の増加に伴い、交通機動巡ら隊を交通機動隊に改称し、全国に設置された。
交通機動隊長の階級は警視 で、副隊長は本部によるが警視もしくは警部 。
北海道警察 では、札幌にある警察本部交通部に交通機動隊が置かれている、その他の方面本部(旭川、函館、釧路)は機動警察隊がその任に就いている(釧路方面は釧路・根室地区は釧路機動警察隊 が帯広・十勝地区は十勝機動警察隊 に分かれている)また、北見方面本部 は同本部内交通課内に交通機動隊 が置かれている。
福岡県警察 本部の場合も、本部交通部交通機動隊が福岡、筑豊、筑後地区を所管し、それぞれ地区隊を配置しているが、北九州地区については北九州市警察部 隷下の機動警察隊 が交通機動隊の業務も併せて実施する体制となっている。
制服は一般の警察官が紺色、靴は黒の短靴であるのに対し、空色のライダージャケットとズボン吊りで吊るハイウエストの同色ズボン、靴は乗車用ブーツ を着用している(女子白バイ隊員の場合は赤や緑など、警察本部毎に特徴のある色を採用している)。警察本部によっては、パトカー乗務員は地域警察官同様に、活動帽・活動服・短靴で勤務していることもある。
交通機動隊や高速道路交通警察隊のパトロールカー の場合は「交通取締用四輪車」あるいは「交通取締用無線自動車」だが、自動車警ら隊のパトロールカーの場合は「無線警ら車」あるいは「警ら用無線自動車」である。
車両
交通違反取り締まりが主な任務であるため、パトロールカーが必ず配備される。しかしこのパトロールカーは「交通取締用四輪車(交通取締用無線自動車)」と呼ばれるものがほとんどで、所轄署地域課や自動車警ら隊などで持つ「警ら用無線自動車」が配備されることはほとんどない。また、いわゆる覆面パトカー として「交通取締用四輪車(反転警光灯)」も配備される。
車種は2020年 (令和 2年)現在、全国的に配備されているものとしてトヨタ・クラウン 、スバル・レガシィ 、トヨタ・マークX などが代表的なものとして挙げられる。いずれも交通取締用四輪車がほとんどであるため3,000 cc - 3,500 cc級のエンジンが搭載されており、排気量 ・出力 は一般道路用パトカーの中で最大である(警ら用無線自動車より大きい)。さらに地方予算で調達されるものもあり[ 1] 、一部の警察本部では高性能スポーツカーなどを採用し、配備する例もある。また、静岡県警察 では、トヨタ・アリオン の制服パトカー(白黒パトカー)を配備している。万一の事故に備え、交機及び高速隊に属する警察官はパトカー乗務時でもヘルメット を着用していることが多い。
白バイ
交通機動隊の主役は白バイ (交通取締用自動二輪車あるいは交通指導取締用自動二輪車)である。マラソン大会や駅伝大会においてランナーを先導する任務もある。所轄署の交通課 にも白バイが配備されている例は多いが、高度な運転技量が要求されるため、乗務する警察官は元交通機動隊員であることが多いと言われる。交通機動隊と似たイメージのある高速道路交通警察隊においては、交通機動隊と違い白バイがあまり活躍する機会は多くない。しかし、一部には1500ccの白バイが配備されており、過去には取り締まりに用いられたこともあったが、やはり高速道路での白バイによる活動は非常に危険なため、近年はあまり見られなくなった。しかし警視庁 高速道路交通警察隊においては、比較的制限速度が低く急カーブや狭い路肩が数多く存在する首都高速道路 が主な管轄であるため、特に日中は機動性に富む白バイの活動が多く見られる。
白バイでの取り締まりは、パトカーと違い非常に危険が伴うものであり、また隊員の運転技術が大きく問われるものであるため、活動中の受傷事故や殉職も少なからず発生している。
白バイ車両
脚注
^ 柘植優介 (2020年8月6日). “まだ現役!? 「スカイラインGT-R」パトカー 伝説の直6エンジンを積む希少車のいま ”. 乗りものニュース . 2020年8月25日 閲覧。
関連項目