ラグビーユニオンのポジションは、ラグビーユニオンにおいて、プレーに参加する先発選手15人にそれぞれの背番号を与えて、決められている。交代選手の場合は、16番以降の番号が与えられるが、そのポジションはチームや試合により異なる。
概要
出典:[1][2][3][4][5][6]
ポジションは、大きくフォワード(FW)とバックス(BK)に分かれる。先発メンバーは1から15までの背番号がつけられ、下表のように呼ぶ。
時代や、戦術が多様化によって、それぞれのポジションや役割が異なる。
1910年、当時フォワード7人体制を採用していたオールブラックス(ニュージーランド代表)にならい、慶應義塾大学はフォワード7人体制(2-3-2 または 3-2-2)を採用[7]。17年間FW7人体制を守り、日本国内チームに対して無敗記録を続けた[8][9]。
2024年秋以降、スクラム時に9番(スクラムハーフ)どうしの牽制ができなくなったため[10][11]、ボールを持たない側はスクラムハーフの代わりにフォワード選手を置いて、次の防御に備えることもある。
呼称の違い
各ポジションの呼び方は、国によって異なることがある。特に、背番号10の「スタンドオフ(略号SO)」は日本と一部の国で使用される呼称となっており、国際的には「フライハーフ(略号FH)」と呼ぶ[3][12]。国によっては「ファースト・ファイブエイス」 (first five-eighth)、「ファースト・ファイブ」 (first five)、「アウトサイド・ハーフ」(outside half)ともいう[12]。
下表は、現在の日本での呼び方を中心に記述した。英語表記はその呼び方の根拠となるつづりだが、イングランド発祥のラグビーであるため、一部、イギリス英語表記となることがある(例:センターは「centre」)。
日本におけるラグビーユニオンのポジション呼称
大区分
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中区分
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背番号
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ポジション名
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略号
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別名
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備考
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フォワード (forward) FW
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フロントロー (front row) 第1列 / 最前列
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1
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プロップ (prop)
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PR / PR1
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ルースヘッドプロップ (loose head prop) 左プロップ (left prop)
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スクラム時、頭の左側が自由となるポジション。
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2
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フッカー (hooker)
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HO
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3
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プロップ (prop)
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PR / PR3
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タイトヘッドプロップ (tight head prop) 右プロップ (right prop)
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スクラム時、頭が左右とも敵の頭に挟まるポジション。
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セカンドロー (second row) 第2列
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4
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ロック (lock)
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LO
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左ロック
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スクラム時、1番・2番の間に入る。
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5
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ロック (lock)
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LO
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右ロック
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スクラム時、2番・3番の間に入る。
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バックロー (back row) サードロー (third row) 第3列
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6
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フランカー (flanker)
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FL
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左右固定の場合、左フランカー
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展開の裏側の場合、ブラインドサイド・フランカー (blind side flanker) 展開側の場合、オープンサイド・フランカー (open side flanker)
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7
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フランカー (flanker)
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FL
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左右固定の場合、右フランカー
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8
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ナンバーエイト (number eight)
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NO8 / No.8
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エイト
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スクラム時、4番・5番の間に入る。
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バックス (backs) BK
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ハーフバック (half back) ハーフ団
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9
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スクラムハーフ (scrum half)
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SH
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第4列に相当する。
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10
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スタンドオフ (stand off)
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SO
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【国際呼称】フライハーフ (fly half) FH[12]
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第5列に相当する。 10番・12番【国際呼称】ファイブエイス (five eighths)[13]
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スリークォーターバック (three-quarter backs)
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12
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センター (center / center three-quarter back)
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CTB
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インサイドセンター (inside center)
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13
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CTB
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アウトサイドセンター (outside center)
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第6列に相当する。 現在、「第7列」は存在しない[14][13]。
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11
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ウィング (wing / wing three-quarter back)
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WTB
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左ウィング
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14
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WTB
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右ウィング
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フルバック (full back)
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15
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フルバック (full back)
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FB
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第8列に相当する。
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フォワード
出典:[1][2][3][4][5][6]
フォワード(FW)とは、1番から8番までの8人の選手のこと。またフォワードは、試合中にスクラムを組むメンバーでもある。
スクラムを組む際の位置取りで、フロントロー、セカンドロー、バックローに大きく分けられる(フロントローとセカンドローを総称してタイトファイブと呼ぶことも多い)。そして与えられた役割に従って、さらに細かくプロップ (2人)、フッカー (1人)、ロック (2人)、フランカー (2人)、ナンバー8 (1人)というポジションに分けられる。
試合ではボールを獲得することが一番の役割で、敵チームと激しくボールを奪い合うために、相手選手に競り負けたり、当たり負けしたりしないよう、身長や体重など体格的に優れ、屈強な肉体の、パワーのある選手がこのポジションを占めている。
しかし、最近では選手がオールラウンダー化する世界的流れの中で、バックスのように走力も求められるようになっている。運動量を増す現代のラグビーユニオンでは、PR・HO・LOのタイトファイブの運動量が勝負の鍵とまで言われる。
フロントロー
スクラムを組む際に最前列に位置するため、PR・HOの3人をフロントロー(front row)と称する。
専門性が高いため、競技規則(2024年、第3条「チーム」)では、一般的な23人でのチーム編成の場合は、先発選手3人1組と共に、控え選手3人1組もそろえることを義務化している[15]。
プロップ
- 背番号:1番・3番
- 略号:PR
- 英語表記:prop
- スクラムの際にフッカーと共に最前列の3名(フロントロー)を構成し、相手のフロントローと頭を交互に組み合わせて相手チームを直接押す役割を持つ。スクラムの職人。モールの際には体ごと相手を押し込み、相手陣を崩す役目を持ち、スピードを犠牲にしてもパワーがあることが要求されるポジションである。
- ラインアウト時やキックオフ時、ボールをキャッチするLOを高く持ち上げる筋力が求められる。
- フィールドで味方からパスを受けることはあまりないが、ボールハンドリング能力や突破力が高ければ高いほど、勝敗に影響するポジションであり、ボールを持って突破を試みるプロップも珍しくない。
- 1番(左側)のプロップをルースヘッドプロップ(スクラムの際、片方の肩のみで組むため)、3番(右側)のプロップをタイトヘッドプロップ(スクラムの際、両肩に相手の体重がかかるため)という。そのため、1番の選手と3番の選手は、互いに互換性は低い。
フッカー
- 背番号:2番
- 略号:HO
- 英語表記:hooker
- スクラムの要。スクラムの際のフロントローの中央に位置し、プロップ (PR) と共に相手と組み合って直接相手を押し込む。また、スクラムハーフ (SH) が投入したボールを足で引っかけて (hook) 自陣後方に送り込む役割も果たす。この役割がフッカーの名称の由来でもある。プロップと同じく屈強であるが、プロップよりは若干小柄な選手が多い。
- ラインアウトの際にはボールを投入する役割となることが多い。これは、ボールを受ける側に体格の大きい選手が回ることで、競り合いに負けないようにするためだと言われている。そのため、フォワード陣の中でも特にボールの扱いの上手さ、パスの技量が求められる。
セカンドロー
スクラムを組む際に2列目に位置するため、ロックをセカンドロー(second row)と称する。
ロック
- 背番号:4番・5番
- 略号:LO
- 英語表記:lock
- FWのポジションでスクラムの際に2列目の左右に位置する。ラインアウトの際にボールを空中で奪い合う役割があることから、チームで最も背の高い選手がこのポジションにつく傾向がある。空中の仕事人。
- スクラムの時に軸となる3番プロップの後ろになる5番ロックは、4番ロックより体格の良い選手が担当することが多い。
バックロー
スクラムを組む際に最後列(3列目)に位置していたため、FL・No8の3名をバックロー(back row)もしくはサードロー(third row)と称する。
現在は後述の通りFLが2列目の両翼に上がるように変化しているが、呼称自体は旧来から変化していない。
フランカー
- 背番号:6番・7番
- 略号:FL
- 英語表記:flanker
- FWのポジションで、スクラムの際に3列目の左右に位置する。
- 地上で展開される攻撃のあらゆる局面(モール、ラック、ブレイクダウン、パントキックに対するチャージダウン等)に積極的に参加して味方をサポートし、体で相手陣を押し崩す役回りである。ボールを保持して密集地のサイドを突破する役目も担う。
- ディフェンスにおいてはタックルマンとして大きく勇気が求められる。また、接点におけるルーズボールへの働きかけ(セービング、ジャッカル、スイープ)も重要な役割で、攻守に活躍するだけの高い身体能力、運動量が求められる。スクラムから素早く離れて攻守に備えるため、国によってはルースフォワード (Loose Forward) とも呼ばれる。
- スクラムにおいては主に6番がブラインドサイド(タッチラインに近い側)、7番がオープンサイド(タッチラインから遠い側)に就くという形があるが、単に6番が左、7番が右という形も見られる。オープンサイドフランカーは豊富な運動量とアタッキング力、ブラインドサイドフランカーはフィジカルとディフェンス力が求められる。
- ナンバー8やセンターも担当する選手も多い。
ナンバー8
- 背番号:8番
- 略号:NO8 / No.8
- 英語表記:number eight / number 8
- ナンバーエイトは、フランカーとともにスクラム時の3列目を組む。
- スクラム最後尾に参加し、体ごと相手FW陣を押す役回りである。フロントローから送られてきたボールをキープしたり、かき出されたボールを持って自ら密集地のサイドを強引に突破したりする。
- モール形成時には、その起点となることも求められる。フランカーに似たポジションではあるが、より自由にフィールドを走り回るため、運動量、身体能力に加えて、ゲームに対する総合的な判断力が求められる。
- フランカーも担当する選手が多い。
スクラム
詳細は、スクラム (ラグビーユニオン)を参照。
バックス
出典:[1][2][3][4][5][6]
バックス(BK)とは、フォワード以外のスクラムハーフ (1人)、スタンドオフ (1人)、センタースリークォーターバック (2人)、ウイングスリークォーターバック (2人)、フルバック (1人)の7人のプレーヤーの総称で、9番から15番までの選手のこと。
その中でも9番と10番の選手をハーフバックスもしくはハーフバック団と呼び、11番から14番までの選手はスリークォーターバックス (three quarter backs; 日本語に訳すと「4分の3のバックス」という意味)、そして15番はフルバックと言う。
バックスは、フォワードが獲得したボールを前に進め、最終的に得点につなげるのが役割。体格的にはフォワードに劣るが、足が速く、パスやキックなどのテクニックに優れた選手が多い。守備ではタックルで相手の攻撃を防ぐ。
どのポジションでも務められるバックス選手を「ユーティリティ・バックス」というが、ポジション名ではない。
ハーフバックス
スクラムハーフ(9番)とスタンドオフ(フライハーフ、10番)は、ポジションを8分割したとき4/8列目と5/8列目(の前側)[16]に来るため、合わせて「ハーフバックス(half backs)」「ハーフ団」と呼ばれる。
国によってはスタンドオフ(10番)を「ファイブエイス (five-eighth)」[16]と分けて呼び、スクラムハーフ(9番)のみを「ハーフバック」と呼ぶこともある。
スクラムハーフ
- 背番号:9番
- 略号:SH
- 英語表記:scrum half
- 名前の由来は、スクラムと連携するハーフというところから。
- スクラムやモール、ラックに参加はしないが、そばにいて、かき出されたボールを持ってバックス陣にパスをすることを主とする役回りである。スタンドオフと同様に攻撃の起点となることから、フランスのラグビー哲学ではスクラムハーフが司令塔であるとされている。
- 地面にあるボールを拾い上げつつパスする(ダイビングパス等)という動作が特に多く、体が小さい選手が務めることが多い。密集地からの最初のパスを出すので、敏捷さと高度なパススキル、瞬間的な判断力、常に密集地に素早く駆けつけることができる持久力、体が小さいことを武器として大男たちの密集地のサイドを突破できるような俊敏性とステップワーク技術が要求される。
- 守備の際は、密集地からパスが出たことを味方に伝えたり、相手FW陣のスクラムサイドの突破を防ぐことも要求される。体躯の大小にかかわりなく9人目のFWとして大男の突破を防がなくてはならないことから、強靭なメンタリティとフィジカルが求められる。
スタンドオフ
- 背番号:10番
- 略号:SO
- 英語表記:stand off
- 語源は、スクラムから「離れた」(=スタンドオフ)ハーフという意味から。
- イギリスをはじめとして国際的には、このポジションのことを「フライハーフ」 (fly half) と呼ぶようになった。日本や一部の地域で使われる「スタンドオフ」という呼称は、国際的な場ではあまり使われない。これ以外にも、国によっては「ファースト・ファイブエイス」 (first five-eighth)[16]、「ファースト・ファイブ」 (first five)、「アウトサイド・ハーフ」 (outside half) などという呼び方がある。
- 近年では、FBと共に、ゴールキックを担当する選手が多い。
- スクラムやモール、ラックなどの密集からボールが出てきたときに最初にボールを受け取る役回りであり、受け取る瞬間はノーマークであるため、パス、パント、突破と様々なプレーを選択でき、そのプレーが攻撃の基点になることから、一般的に、司令塔と言われているポジションである。ボールハンドリング、パススキル、キック、ステップワークなど多種多様かつ正確巧緻な技術、瞬時の状況判断力、試合の流れを読む冷静さ、長い距離を走るスピードよりも短い距離でトップスピードに到達する俊敏性が求められる。
- スクラムやモールには参加せず、守備時においては、相手のスタンドオフをマークし、プレッシャーをかけることで相手のミスの誘発やプレーを遅らせる役目を担う。
スリークォーターバック
11番から14番までの4人を指す。センターはCTB(センター・スリークォーター・バック)、ウィングはWTB(ウィング・スリークォーター・バック)。
スリークォーターバック(three-quarter backs、TB)は、ポジションを8分割したときに6列目(6/8 = 3/4 = スリークォーター)に位置するため。かつては、7列目に「セブンエイス」(7/8)というポジションが存在した[14]。
国によっては、もっとも前方に位置するの12番を「セカンド・ファイブエイス (second five-eigths、2段目の5/8。スタンドオフの後ろに位置する)」[16]と分けて呼ぶ場合もある(その場合、10番は「ファースト・ファイブエイス (first five-eigths、1段目の5/8)」と呼ぶ)。
センター
- 背番号:12番・13番
- 略号:CTB
- 英語表記:center three-quarter back / center
- 12番をインサイド・センター、13番をアウトサイド・センターと呼ぶこともある。
- 10番と12番の2人を「ファイブエイス (five eighths)」と呼ぶこともある。
- 言わば切込隊長。SO (FH)の外に位置し、SOからWTBへパスを中継したり、意表を突いて自らラインを突破したり、敵陣の空いたスペースにボールを蹴り入れたりと、攻撃の幅を広げる。攻撃時の接点になることが多いため、パススキルはもちろん自ら相手に突破を仕掛ける際のスピードに加え、当たり強さも求められる。
- ディフェンス時には、SOの外を突いてくる敵に対する強いタックルも求められる。自身のそばでモールやラックが発生すれば、それに参加することもよく見られる光景である。したがって、フォワードに負けない体格の選手が増えている。
- 一般的にインサイドセンターはSOに近く、パススキルや突破力が求められ、アウトサイドセンターはWTBに近く、ランニングスピードが求められる。
- フランカーも担当する選手が多い。
ウイング
- 背番号:11番・14番
- 略号:WTB
- 英語表記:wing three-quarter back / wing
- 攻撃の際はラインの最も大外でパスを受け、ラインぎわを駆け抜けてトライを取りに行くなど、快足と共に、巧みなステップや相手を抜き去る走力が求められる。相手裏へのキック(ショートパント)の技術も要求される。トライゲッターとしても活躍する。
- 守りにおいては、FBと共に相手のキック処理に関わることが多く、陣地を稼ぐためのロングキックも求められる。
- フルバックも担当する選手が多い。
フルバック
全体の最後尾 (8/8) に位置するポジションであるため、15番をフルバック(full back)と呼称する。
フルバック
- 背番号:15番
- 略号:FB
- 英語表記:full back
- 最後尾に位置し、バックスを統率するバックス最後の要のポジション。
- バックス陣が攻撃を担当するラグビーユニオンにおいて、フルバックは攻撃よりはむしろ守備の担当として、攻撃時でも最後尾で味方の選手に指示を出しつつ自陣のゾーンをカバーする。相手バックス陣に負けないスピードと相手FW陣に負けない当りの強さを求められる。
- 切り札としてオフェンスに参加することもある。特にキックの能力が不可欠である。
- 10番(SO)と共に、ゴールキックを担当する選手が多い。
ユーティリティ・バックス
- 略号:UB / UTB
- 英語表記:utility backs
- ポジション名ではない。
- バックス選手として、どのポジションでも務められる選手のこと。センター、ウィング、フルバックを担当することが多い。
- フォワードでも、フランカーとナンバー8の両方などを務める選手を「ユーティリティー・プレーヤー」という。
交代選手
先発選手15人(背番号1番から15番まで)の交代要員として、試合によってベンチで控える交代選手は「リザーブ(reserves)」「リプレイスメント(replacements)」などという。
専門性が高く、ケガの機会も多いフォワード第1列は、競技規則(2024年、第3条「チーム」)によって、公式戦では一般的な23人(先発選手15人+交代選手8人)でのチーム編成の場合、控え選手も第1列の3人をそろえることを義務化している[15]。フォワード第1列以外の交代選手の構成は自由。
交代選手は16番以降の背番号となる。慣習として、16番がフッカー(2番の交代)、17番が左プロップ(1番の交代)、18番が右プロップ(3番の交代)となっている[17][18]。
かつて存在したポジション
出典:[14][19]
セブンエイス
- セブンエイス(seven eighth、SE)は、「7/8(七分の八)」という意味。スクラム第3列の8番(ナンバーエイト)をスクラムから外し、スリークォーターバック(TB、three-quarter back)と呼ばれるセンターやウィングの後ろに配置する選手。
- 実際にナンバー8の選手をセブンエイスにするのではなく、フォワード7人、バックス8人での編成。20世紀前半にしばしばあったフォワード7人制時代のポジションである。
- 1910年、当時フォワード7人体制を採用していたオールブラックス(ニュージーランド代表)にならい、慶應義塾大学はフォワード7人体制(2-3-2 または 3-2-2)を採用[7]。17年間FW7人体制を守り、日本国内チームに対して無敗記録を続けた[8][9]。
- スクラムを8人で行う現在では、セブンエイスのポジションは無くなった(バックスは7人に減った)。
- 15人を8つの列に分けて、フォワード3列の後に、SHが第4列、SOと12番CTBが第5列(5/8=ファイブエイス)、13番CTBとウィングが第6列(6/8=3/4=スリークォーター)、セブンエイスが第7列(7/8)となり、FBが第8列(8/8)となる。
脚注