ペッカ・リネ(Pekka Rinne, 1982年11月3日 - )は、フィンランドの北ポフヤンマー県ケンペレ出身の元アイスホッケー選手。ポジションはゴールテンダー。
経歴
2000年から2003年はフィンランドのアイスホッケーチームであるオウルン・カルパトのジュニア・チームでホッケーを学び、2005年に優勝したカルパトに2004年から2005年まで所属し、主にニクラス・バックストロムのバックアップを務めた。
2004年のNHLドラフト(英語版)8巡目(全体258位)でナッシュビル・プレデターズから指名された。2005年8月23日、プレデターズと契約した。契約後、プレデターズのトップ・マイナー・リーグであるアメリカン・ホッケー・リーグ(AHL)のミルウォーキー・アドミナルズに所属し、北アメリカでの活動を始めた。当初リネはブライアン・フィンリーのバックアップ候補であったが、フィンリーの不調によりリネがスターターとなった。
2006年夏、面識のないカップルに暴行され[1]、その最中に肩を脱臼した。そのため手術を受けねばならず、シーズン最初の4ヶ月間出場できなかった。
2005年-2006年シーズンにプレデターズの2試合に出場した。1勝1敗で防御率0.900、1試合平均失点数 (GAA) 3.80の記録を残した。
2007年-2008年シーズンにおいてプレデターズでダン・エリスが成績を残したため、スターターであったクリス・メイソンはセントルイス・ブルースにトレードに出され、2008年-2009年シーズンではエリスのバックアップに昇格した。
2008年12月1日に完封の記録で、プレデターズのゴールテンダーとして2人目のルーキーとなった。2009年2月、12試合中9勝し、防御率0.944、GAA1.72を記録した。NHL月間ルーキーを受賞した[2]。3月14日、シーズン7回目の完封でプレデターズの記録に残った[3]。2009年、アイスホッケー世界選手権にフィンランド代表に選出された。同大会ではカリ・ラモと共にゴールテンダーとして出場した。フィンランド代表としての初試合で完封し、30球防御した。
2010年-2011年シーズン開幕戦でアナハイム・ダックスのフォワードのトロイ・ボディと衝突し、下半身を怪我した。アンダーズ・リンドバックがその後3試合を引き継ぎ、リネは復帰したが、12月に再度怪我をした。12月23日に完全復帰し、1月の1ヶ月間で彼にとって史上最高の防御率0.946、GAA1.71を記録した。このシーズンの記録から、リネは、リーグ所属のチームのゼネラル・マネージャーたちの審査による、NHLの最も優秀なゴールテンダーに与えられるヴェジーナ賞の最終3名に残った。またNHLの最優秀選手に投票されるハート記念賞で第4位となり、NHLセカンド・チーム・オールスターに選ばれた。2011年、プレデターズはスタンレー・カップ・プレイオフでアナハイム・ダックス相手に4勝2敗で勝ち抜け、リネはプレデターズをチーム史上初の2回戦に導いた。
2011年10月29日にダックスを下し、完封22でプレデターズの記録を作った。11月3日、7年総額4,900万ドルで契約延長し、当時プレデターズ史上最大の契約となった。
2011年-2012年シーズンの間はトーマス・ヴォコアンの8連勝を抜いて11連勝の記録を作った。2012年4月25日、2年連続ヴェジーナ賞最終候補となった。前年に続き好調で、2012年プレイオフでデトロイト・レッドウィングスと対戦し、4勝1敗で2回戦進出への一翼を担った。しかし2回戦ではフェニックス・コヨーテズと5試合対戦したが敗退した。
2012年9月25日、NHLがロックアウトとなり、ベラルーシにあるKHLのHCディナモ・ミンスクに参加した。12月にディナモを離れ、2013年1月ロックアウト終了と同時にプレデターズに復帰したが、2012年-2013年シーズンは48試合しか行われなかった。
2013年5月、腰の関節鏡を受けた。当時腰が感染症を起こ しており、2013年10月24日、活動を休止し、綿密なリハビリを開始した[4]。
2014年3月5日、復帰したがピッツバーグ・ペンギンズと対戦し3対1で敗退した。
2015年、再度ヴェジーナ賞最終候補に残った。
2021年に現役引退を表明した。
国際試合
2014年5月、フィンランドのオールスター・チームに選ばれ、チームはアイスホッケー世界選手権で銀メダルを獲得し、MVPを獲得した[5]。
プレイスタイル
ゴールテンダーとしてバタフライ・スタイルを取り入れており、早めに膝を床につき、低いパッドを足でブロックする。6フィート5インチ(1.96m)の長身のリネは、タンパベイ・ライトニングのベン・ビショップの6フィート7インチ(2.01m)、バッファロー・セイバーズのアンダーズ・リンドバック、シカゴ・ブラックホークスのスコット・ダーリング、ミネソタ・ワイルドのデヴァン・ダブニックの6フィート6インチ(1.96m)に続き5番目に高く、ミネソタ・ワイルドのダーシー・クーンパーと同じ高さである。この身長の高さがスティックや足をパッドに届きやすくしている。
私生活
2013年5月、長年交際していたクリシー・レートサーリと婚約した[6]。
詳細情報
レギュラー・シーズン
GP = 試合数、W = 勝, L = 敗, T = 引き分け(2005-2006年以降廃止), OTL = 延長敗, GA = 失点, SO = シャットアウト、GAA = 平均失点数、SV% = 防御率
|
|
シーズン
|
チーム
|
リーグ
|
GP
|
W
|
L
|
T
|
OTL
|
MIN
|
GA
|
SO
|
GAA
|
SV%
|
2002–03
|
オウルン・カルパト
|
SMリーガ
|
1
|
0
|
1
|
0
|
—
|
60
|
3
|
0
|
3.00
|
.893
|
2003–04
|
オウルン・カルパト
|
SMリーガ
|
14
|
5
|
4
|
4
|
—
|
824
|
41
|
0
|
2.99
|
.897
|
2004–05
|
オウルン・カルパト
|
SMリーガ
|
10
|
8
|
0
|
1
|
—
|
572
|
16
|
0
|
1.68
|
.927
|
2005–06
|
ミルウォーキー・アドミナルズ
|
AHL
|
51
|
30
|
18
|
2
|
—
|
2960
|
139
|
2
|
2.82
|
.904
|
2005–06
|
ナッシュビル・プレデターズ
|
NHL
|
2
|
1
|
1
|
—
|
0
|
63
|
4
|
0
|
3.80
|
.900
|
2006–07
|
ミルウォーキー・アドミナルズ
|
AHL
|
29
|
15
|
7
|
6
|
—
|
1670
|
65
|
3
|
2.34
|
.920
|
2007–08
|
ミルウォーキー・アドミナルズ
|
AHL
|
65
|
36
|
24
|
3
|
—
|
3840
|
158
|
5
|
2.47
|
.908
|
2007–08
|
ナッシュビル・プレデターズ
|
NHL
|
1
|
0
|
0
|
—
|
0
|
29
|
0
|
0
|
0.00
|
1.000
|
2008–09
|
ナッシュビル・プレデターズ
|
NHL
|
52
|
29
|
15
|
—
|
4
|
2999
|
119
|
7
|
2.38
|
.917
|
2009–10
|
ナッシュビル・プレデターズ
|
NHL
|
58
|
32
|
16
|
—
|
5
|
3246
|
137
|
7
|
2.53
|
.911
|
2010–11
|
ナッシュビル・プレデターズ
|
NHL
|
64
|
33
|
22
|
—
|
9
|
3789
|
134
|
6
|
2.12
|
.930
|
2011–12
|
ナッシュビル・プレデターズ
|
NHL
|
73
|
43
|
18
|
—
|
8
|
4169
|
166
|
5
|
2.39
|
.923
|
2012–13
|
HCディナモ・ミンスク
|
KHL
|
22
|
9
|
11
|
—
|
—
|
1327
|
68
|
1
|
3.08
|
.897
|
2012–13
|
ナッシュビル・プレデターズ
|
NHL
|
43
|
15
|
16
|
—
|
8
|
2444
|
99
|
5
|
2.43
|
.910
|
2013–14
|
ナッシュビル・プレデターズ
|
NHL
|
24
|
10
|
10
|
—
|
3
|
1367
|
63
|
2
|
2.77
|
.902
|
2013–14
|
ミルウォーキー・アドミナルズ
|
AHL
|
2
|
2
|
0
|
—
|
0
|
121
|
2
|
0
|
0.99
|
.943
|
2014–15
|
ナッシュビル・プレデターズ
|
NHL
|
64
|
41
|
17
|
—
|
6
|
3851
|
140
|
4
|
2.18
|
.923
|
NHLトータル
|
381
|
204
|
115
|
—
|
43
|
21,957
|
862
|
36
|
2.36
|
.919
|
プレイオフ
|
|
シーズン
|
チーム
|
リーグ
|
GP
|
W
|
L
|
MIN
|
GA
|
SO
|
GAA
|
SV%
|
2003–04
|
オウルン・カルパト
|
SMリーガ
|
2
|
1
|
0
|
22
|
0
|
0
|
0.00
|
1.000
|
2005–06
|
ミルウォーキー・アドミナルズ
|
AHL
|
14
|
10
|
4
|
734
|
35
|
3
|
2.86
|
.905
|
2006–07
|
ミルウォーキー・アドミナルズ
|
AHL
|
4
|
0
|
4
|
247
|
12
|
0
|
2.91
|
—
|
2007–08
|
ミルウォーキー・アドミナルズ
|
AHL
|
6
|
2
|
4
|
—
|
15
|
1
|
2.51
|
.923
|
2009–10
|
ナッシュビル・プレデターズ
|
NHL
|
6
|
2
|
4
|
358
|
16
|
0
|
2.68
|
.911
|
2010–11
|
ナッシュビル・プレデターズ
|
NHL
|
12
|
6
|
6
|
748
|
32
|
0
|
2.57
|
.907
|
2011–12
|
ナッシュビル・プレデターズ
|
NHL
|
10
|
5
|
5
|
609
|
21
|
1
|
2.07
|
.929
|
2014–15
|
ナッシュビル・プレデターズ
|
NHL
|
6
|
2
|
4
|
425
|
19
|
0
|
2.68
|
.909
|
NHLトータル
|
34
|
15
|
19
|
2,140
|
88
|
1
|
2.47
|
.914
|
受賞歴
NHL
賞
|
年
|
セカンド・オールスター・チーム
|
2011
|
ヴェジーナ賞最終候補
|
2011、2012、2015
|
国際大会
賞
|
年
|
世界選手権最優秀ゴールテンダー
|
2015
|
世界選手権オールスター・チーム
|
2014
|
世界選手権MVP
|
2014
|
脚注
外部リンク
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