タイトルの「ベルガマスク(「ベルガモの」、あるいは「ベルガモ舞曲」の意)」は、ポール・ヴェルレーヌの詩集『艶なる宴』(Fêtes galantes)に収録されている詩「月の光」(Clair de lune)の、"Que vont charmant masques et bergamasques"(現われたる艶やかな仮面喜劇者たちとベルガモの踊り子たちは)という一節に使用されている言葉である[1][2]。またこれに基づくガブリエル・フォーレの歌曲『月の光』(1886年-1887年)があり、その伴奏の一部に似た音形が『ベルガマスク組曲』の「前奏曲」に登場することなどから、ドビュッシーがヴェルレーヌやフォーレを意識したことを窺わせる[1][2]。同じ詩にはドビュッシーがその初期に単曲として歌曲を作曲しており、当時彼の心を射止めていたヴァニエ夫人に献呈されている。そしてその歌曲は改訂され、前述のヴェルレーヌの詩集による歌曲集「艶なる宴」に収録された[注釈 1][注釈 2]。ただしこの組曲内の「月の光」は、この歌曲版とは全く異なる音楽である。