フッ化カルシウム
識別情報
CAS登録番号
7789-75-5
PubChem
24617
ChemSpider
23019
UNII
O3B55K4YKI
EC番号
232-188-7
ChEBI
RTECS 番号
EW1760000
InChI=1S/Ca.2FH/h;2*1H/q+2;;/p-2
Key: WUKWITHWXAAZEY-UHFFFAOYSA-L
InChI=1/Ca.2FH/h;2*1H/q+2;;/p-2
Key: WUKWITHWXAAZEY-NUQVWONBAZ
特性
化学式
CaF2
モル質量
78.07 g mol−1
精密質量
77.959398
外観
白色の結晶粉末 (単結晶は透明)
密度
3.18 g/cm3
融点
1418 °C , 1691 K, 2584 °F
沸点
2533 °C , 2806 K, 4591 °F
水 への溶解度
0.0015 g/100 mL (18 °C ) 0.0016 g/100 mL (20 °C )
溶解度平衡 K sp
3.9 × 10−11 [ 1]
溶解度
アセトン に不溶。酸に難溶。
屈折率 (n D )
1.4338
構造
結晶構造
蛍石型 , cF12 [ 2]
空間群
Fm3 m, #225
配位構造
Ca, 8, cubic F, 4, 四面体形
危険性
EU Index
未収
主な危険性
濃硫酸 と反応してフッ化水素酸 (フッ酸)を生じる
NFPA 704
Rフレーズ
R20 , R22 , R36 , R37 , R38
Sフレーズ
S26 , S36
引火点
不燃
半数致死量 LD50
4250 mg/kg (経口、ラット)
関連する物質
その他の陰イオン
塩化カルシウム 臭化カルシウム ヨウ化バリウム
その他の陽イオン
フッ化ベリリウム フッ化マグネシウム フッ化ストロンチウム フッ化バリウム
特記なき場合、データは常温 (25 °C )・常圧 (100 kPa) におけるものである。
フッ化カルシウム (フッかカルシウム、calcium fluoride) はカルシウム とフッ素 からなる無機化合物 で、組成式 CaF2 、白色のイオン結晶。天然では蛍石 として産出し、フッ素化合物 の原料となる。
性質
水 、アセトン に不溶。酸への溶解 性は低い。
CaF
2
+
H
2
SO
4
⟶ ⟶ -->
CaSO
4
+
2
HF
{\displaystyle {\ce {CaF2\ + H2SO4 -> CaSO4\ + 2HF}}}
製造
蛍石の結晶
天然のフッ化カルシウムである蛍石 は比較的豊富に存在するが、不純物を含む問題がある。高純度で品位の安定したフッ化カルシウムは、炭酸カルシウム にフッ化水素酸 (フッ酸)を反応させる方法で作られる[ 3] 。
CaCO
3
+
2
HF
⟶ ⟶ -->
CaF
2
+
CO
2
+
H
2
O
{\displaystyle {\ce {CaCO3\ + 2HF -> CaF2\ + CO2\ + H2O}}}
岩谷産業 と上田石灰製造 は、造粒した炭酸カルシウム に気体 のフッ化水素 を反応させる方法で蛍石の人工合成に成功し、工業化を進めている[ 4] [ 5] 。
利用
蛍石 は、フッ素化合物 の原料として重要であるほか、古くから製鉄 などにおいて融剤 として用いられてきた。現在では光学レンズ の原料として、望遠鏡 や写真レンズ (特に望遠)などで、高性能化のための特殊材料としてキーパーツとなっている。他に、セラミックス のフィラーとしても使われる。
高純度のフッ化カルシウム結晶 は、紫外線 から可視光線 、赤外線 まで幅広い波長の光(130nm~8μm)を透過することから、光学材料としてレンズや窓板等、多様な用途に使用されている。また、色分散 が小さく、さらに一般的な光学ガラス と傾向が違う(異常部分分散 )という特性を持つため、これを組み合わせてレンズを作ると色収差 が非常に小さい、すなわち広い波長域にわたって焦点距離 の差のない極めて安定した光学性能が得られる(蛍石レンズ )。
脚注
^ Pradyot Patnaik. Handbook of Inorganic Chemicals . McGraw-Hill, 2002, ISBN 0-07-049439-8
^ X-ray Diffraction Investigations of CaF2 at High Pressure, L. Gerward, J. S. Olsen, S. Steenstrup, M. Malinowski, S. Åsbrink and A. Waskowska, Journal of Applied Crystallography (1992), 25, 578-581 doi :10.1107/S0021889892004096
^ Aigueperse, Jean; Paul Mollard, Didier Devilliers, Marius Chemla, Robert Faron, Renée Romano, Jean Pierre Cuer (2005), “Fluorine Compounds, Inorganic”, Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry , Weinheim: Wiley-VCH, doi :10.1002/14356007.a11_307
^ 化学工業日報、「フッ化カルシウム 岩谷産業、初の合成技術」、『化学工業日報 』2014年10月15日p1、東京、化学工業日報社
^ 世界中のカメラレンズが安くなる? 岩谷産業、世界初の蛍石人工合成技術を確立 、ASCII.jp 、2014年10月15日、同年10月17日閲覧
関連項目