フサイチリシャール(欧字名:Fusaichi Richard、2003年4月6日 - )は、日本の競走馬、種牡馬[1]。
2005年の朝日杯フューチュリティステークス(GI)、東京スポーツ杯2歳ステークス(GIII)を制し、同年のJRA賞最優秀2歳牡馬に選出された。その他の勝ち鞍に、2006年の阪神カップ(GII)。現役時はスピードを活かして存在感を示し、良血の快速児として活躍[2][3][4][5][6]した。
半姉にクイーンカップ優勝馬ライラプス(父フレンチデピュティ)がいる。馬名の由来は、冠名+ブランデーの名前である「ヘネシー・リシャール」。
競走馬時代
2歳・3歳時代
2003年のセレクトセールにおいて9900万円で落札された。2005年9月、阪神競馬場の新馬戦でデビューしたが、マルカシェンクの4着に敗れる。しかし2戦目の未勝利戦を逃げきって初勝利を挙げると、続くオープン特別戦、GIII東京スポーツ杯2歳ステークスといずれも逃げきりでの3連勝を収め、2歳戦最大の舞台である朝日杯フューチュリティステークスに出走した。人気はいちょうステークスを圧勝してここに臨んできたジャリスコライトに次ぐ2番人気。レースはスタートがあまり良くなかったこともあり、2番手を追走する形となったが、残り400mで先頭に立つと、最後は追い込んできたスーパーホーネットをクビ差退け、4連勝でGIの舞台を制した。5戦4勝・重賞2勝の活躍が評価され、2005年度のJRA賞最優秀2歳牡馬に選出された。 現役時に重賞を4勝したが惜しくもGIに手が届かなかった母の無念を晴らしたG1初制覇だと[7]評された。
3歳はクラシック路線を進んだが、皐月賞へのステップ2戦こそアドマイヤムーン、メイショウサムソンといった強豪と僅差の2着と健闘したが、迎えた皐月賞、NHKマイルカップ、東京優駿(日本ダービー)の三連戦ではいずれも5、6、8着と精彩を欠いた。夏の休養を経ての秋も緒戦を4着、父が得意としたダート戦にも出走したが5着、13着と大敗し、以降短距離路線に転じる。12月にこの年創設されたGII阪神カップに出走し、距離不安も囁かれたがGI優勝馬の力を見せて約1年ぶりの勝利を挙げ、阪神カップの初代優勝馬となった。
古馬時代
古馬になった2007年初戦は京都金杯で、12着と惨敗する。するとここから再び精彩を欠き始め、2007年は秋のスワンステークスで僅差2着になった以外はいずれも着外という成績に低迷した。年が明けた2008年初戦の阪急杯も見せ場なく8着と敗れ、続く高松宮記念では単勝人気は12番人気にまで下がっていた。レースは好位に付けると、直線入口でローレルゲレイロを手応え良く交わし、一旦は先頭に立ったが、残り200m手前で急に失速し7着と敗れた。競走中の負傷が疑われたため、後日精密検査を受けた結果、左前脚の腱を断裂していたことが判明し、これを最後に競走馬を引退[8]。関口はフサイチリシャールに対する特別な想いについて2008年4月1日のブログに投稿した[9]。種牡馬入りが発表された[10]。
種牡馬時代
2008年8月、北海道新ひだか町のアロースタッドにて種牡馬となる[11]。2014年10月4日付で用途変更となり種牡馬を引退[12]。同月から橋本牧場豊畑分場で引退名馬繋養展示事業の助成を受け、余生を送っていた[13][14]。2016年12月、同牧場で乗馬に復帰[15][16]。2019年頃から2023年までは広島県三原市の苅谷乗馬クラブに繋養されていた[17][18][19]。2023年から鹿児島県姶良郡湧水町のホーストラストに移動し、功労馬として余生を送っている。昼寝が大好きで放牧中はよく昼寝をして[20]おり、ホース・トラストによると、入厩してすぐに友達ができるくらい社交的な功労馬であるが、普段はぼーっとしており、意外と頑固で、人が引っ張っても全然動こうとしない面が[21]ある。
当初は産駒に目立った活躍はなかったが、2016年5月にニホンピロバロンが京都ハイジャンプを制し、種牡馬としての中央重賞初制覇を果たすと、同年8月にはリッカルドがエルムステークスを制し、中央平地重賞初制覇を果たした。2018年にはニホンピロバロンが中山大障害を制し、中央J・GI初制覇を果たした。
主な産駒
母の父として主な産駒
競走成績
年月日
|
競馬場
|
競走名
|
格
|
頭数
|
枠番
|
馬番
|
オッズ (人気)
|
着順
|
騎手
|
斤量 [kg]
|
距離(馬場)
|
タイム (上り3F)
|
タイム 差
|
勝ち馬/(2着馬)
|
2005
|
9.
|
11
|
阪神
|
2歳新馬
|
|
9
|
6
|
6
|
05.4
|
0(2人)
|
04着
|
武豊
|
54
|
芝2000m(良)
|
02:04.8 (35.3)
|
-0.7
|
マルカシェンク
|
|
9.
|
25
|
阪神
|
2歳未勝利
|
|
10
|
2
|
2
|
03.2
|
0(2人)
|
01着
|
武豊
|
54
|
芝2000m(良)
|
02:06.6 (34.7)
|
-0.1
|
(ドリームパスポート)
|
|
10.
|
29
|
京都
|
萩S
|
OP
|
8
|
3
|
3
|
06.3
|
0(5人)
|
01着
|
福永祐一
|
55
|
芝1800m(重)
|
01:49.1 (34.4)
|
-0.5
|
(ドリームパスポート)
|
|
11.
|
19
|
東京
|
東京スポーツ杯2歳S
|
GIII
|
11
|
2
|
2
|
02.7
|
0(1人)
|
01着
|
福永祐一
|
55
|
芝1800m(良)
|
R1:46.9 (34.0)
|
-0.4
|
(メイショウサムソン)
|
|
12.
|
11
|
中山
|
朝日杯FS
|
GI
|
14
|
6
|
12
|
03.2
|
0(2人)
|
01着
|
福永祐一
|
55
|
芝1600m(良)
|
01:33.7 (34.4)
|
-0.0
|
(スーパーホーネット)
|
2006
|
2.
|
5
|
東京
|
共同通信杯
|
GIII
|
11
|
6
|
6
|
02.0
|
0(1人)
|
02着
|
福永祐一
|
57
|
芝1800m(良)
|
01:48.5 (34.7)
|
-0.1
|
アドマイヤムーン
|
|
3.
|
19
|
中山
|
スプリングS
|
GII
|
16
|
2
|
3
|
01.6
|
0(1人)
|
02着
|
福永祐一
|
56
|
芝1800m(良)
|
01:48.9 (36.0)
|
-0.0
|
メイショウサムソン
|
|
4.
|
16
|
中山
|
皐月賞
|
GI
|
18
|
1
|
1
|
07.2
|
0(3人)
|
05着
|
福永祐一
|
57
|
芝2000m(良)
|
02:00.5 (36.2)
|
-0.6
|
メイショウサムソン
|
|
5.
|
7
|
東京
|
NHKマイルC
|
GI
|
18
|
8
|
18
|
02.6
|
0(1人)
|
06着
|
福永祐一
|
57
|
芝1600m(良)
|
01:34.0 (36.3)
|
-0.8
|
ロジック
|
|
5.
|
28
|
東京
|
東京優駿
|
GI
|
18
|
4
|
7
|
34.7
|
(10人)
|
08着
|
G・ボス
|
57
|
芝2400m(稍)
|
02:29.0 (36.2)
|
-1.1
|
メイショウサムソン
|
|
9.
|
24
|
中京
|
神戸新聞杯
|
GII
|
16
|
3
|
5
|
09.7
|
0(4人)
|
04着
|
福永祐一
|
56
|
芝2000m(良)
|
01:58.3 (35.0)
|
-0.2
|
ドリームパスポート
|
|
10.
|
28
|
東京
|
武蔵野S
|
GIII
|
16
|
4
|
7
|
01.9
|
0(1人)
|
05着
|
岩田康誠
|
54
|
ダ1600m(良)
|
01:35.7 (36.4)
|
-0.4
|
シーキングザベスト
|
|
11.
|
25
|
東京
|
ジャパンCダート
|
GI
|
15
|
2
|
3
|
10.4
|
0(4人)
|
13着
|
内田博幸
|
55
|
ダ2100m(良)
|
02:10.2 (38.1)
|
-1.7
|
アロンダイト
|
|
12.
|
17
|
阪神
|
阪神カップ
|
GII
|
17
|
5
|
10
|
10.1
|
0(8人)
|
01着
|
福永祐一
|
56
|
芝1400m(良)
|
01:20.6 (35.2)
|
-0.1
|
(プリサイスマシーン)
|
2007
|
1.
|
6
|
京都
|
京都金杯
|
GIII
|
16
|
8
|
15
|
06.4
|
0(3人)
|
13着
|
鮫島良太
|
57
|
芝1600m(稍)
|
01:34.9 (35.8)
|
-1.0
|
マイネルスケルツィ
|
|
3.
|
31
|
ナドアルシバ
|
ゴドルフィンマイル
|
G2
|
14
|
4
|
4
|
|
|
06着
|
C・スミヨン
|
57
|
ダ1600m(良)
|
|
|
Spring at Last
|
|
5.
|
12
|
東京
|
京王杯SC
|
GII
|
18
|
6
|
12
|
08.3
|
0(6人)
|
05着
|
鮫島良太
|
58
|
芝1400m(良)
|
01:20.8 (35.1)
|
-0.8
|
エイシンドーバー
|
|
6.
|
10
|
中京
|
CBC賞
|
GIII
|
18
|
2
|
4
|
07.9
|
0(4人)
|
12着
|
鮫島良太
|
58
|
芝1200m(重)
|
01:09.6 (35.7)
|
-0.5
|
ブラックバースピン
|
|
9.
|
9
|
阪神
|
セントウルS
|
GII
|
16
|
8
|
15
|
11.9
|
0(6人)
|
12着
|
鮫島良太
|
58
|
芝1200m(良)
|
01:08.7 (34.4)
|
-1.6
|
サンアディユ
|
|
10.
|
27
|
京都
|
スワンS
|
GII
|
18
|
7
|
14
|
30.3
|
(10人)
|
02着
|
福永祐一
|
58
|
芝1400m(稍)
|
01:20.7 (34.8)
|
-0.0
|
スーパーホーネット
|
|
11.
|
18
|
京都
|
マイルCS
|
GI
|
18
|
3
|
6
|
17.9
|
0(6人)
|
12着
|
O・ペリエ
|
57
|
芝1600m(良)
|
01:33.6 (35.6)
|
-0.9
|
ダイワメジャー
|
|
12.
|
16
|
阪神
|
阪神カップ
|
JpnII
|
18
|
6
|
12
|
15.2
|
0(6人)
|
12着
|
鮫島良太
|
57
|
芝1400m(良)
|
01:21.1 (34.8)
|
-0.5
|
スズカフェニックス
|
2008
|
3.
|
2
|
阪神
|
阪急杯
|
GIII
|
16
|
7
|
13
|
17.1
|
0(5人)
|
08着
|
川田将雅
|
57
|
芝1400m(良)
|
01:21.5 (35.3)
|
-0.8
|
ローレルゲレイロ
|
|
3.
|
30
|
中京
|
高松宮記念
|
GI
|
18
|
5
|
9
|
45.6
|
(12人)
|
07着
|
川田将雅
|
57
|
芝1200m(良)
|
01:07.5 (34.1)
|
-0.4
|
ファイングレイン
|
血統表
脚注
外部リンク
|
---|
(旧)最優秀3歳牡馬 |
1950年代 | |
---|
1960年代 | |
---|
1970年代 | |
---|
1980年代 | |
---|
1990年代 | |
---|
2000年代 | |
---|
|
---|
最優秀2歳牡馬 |
|
---|
- 1 2001年より馬齢表記法が数え年から満年齢に移行
*2 1954-1971年は「啓衆社賞」、1972-1986年は「優駿賞」として実施 *3 1986年は2頭同時受賞
|
|
---|
朝日杯3歳ステークス |
1940年代 | |
---|
1950年代 | |
---|
1960年代 | |
---|
1970年代 | |
---|
1980年代 | |
---|
1990年代 | |
---|
2000年代 | |
---|
|
---|
朝日杯フューチュリティステークス |
|
---|