フォアアールベルクSバーン (Vorarlberg S-Bahn) はオーストリアのフォアアールベルク州におけるSバーン(近郊鉄道交通システム)である。フォアアールベルク運輸連合 (Verkehrsverbund Vorarlberg, VVV) の一員であり、オーストリア連邦鉄道 (ÖBB) により運行されている。運行範囲はフォアアールベルク州に加え、ドイツのバイエルン州リンダウとスイスのザンクト・ガレン州ザンクト・マルグレーテンおよびブクス、さらにリヒテンシュタインにまで広がる。
歴史
2005年12月にボンバルディア・トランスポーテーション製の車両「タレント」で運行が開始され、車体には「Sバーン」の表示がされた。しかしVVVの時刻表では「Sバーン」の列車種別で掲載されたものの、当初ÖBBの時刻表ではレギオナルツーク(中距離電車)と掲載されていたが、のちに「S1」および「S3」の表記に変更された。2020年12月以降はモンタフォン鉄道の「S4」系統も同様の表記となっている。
2018年に4024形電車がシティジェットのデザインに合わせて更新された。これにより新しい外装塗装、座席カバー、および運行情報モニターが装備された。
乗客数の増加に合わせるため、2019年中期から新型車両である「タレント3」がSバーン路線に投入される予定であった[1]。しかし運行承認のためのテストが遅れて[2]、その間に既存「タレント」の改造が必要となった。ボンバルディアが2020年11月に「タレント3」は1両だけが試運転可能で、形式承認のための時間が必要と報告したため、ÖBBは改めて車両購入契約の入札を実施することにした[3]。2021年8月にÖBBは「タレント3」の代わりに21両のシーメンス製「デジロML」を発注することを表明した[4]。
2021年12月12日に「S5」系統が平日4往復限定で運行を開始した。同時にスイスのザンクト・ガレンSバーンの「S7」系統が週末にリンダウまで延長され、ザンクト・マルグレーテンとリンダウ間はフォアアールベルクSバーンの「S7」系統としても運行されるようになっている[5][6]。
路線と運行形態
系統
|
運行経路
|
関連鉄道路線
|
運行社局
|
運行開始
|
S 1
|
リンダウ島 - ブレゲンツ - ドルンビルン - フェルトキルヒ - ブルーデンツ
|
リンダウ - ブルーデンツ線
|
ÖBB
|
2011年12月11日
|
S 2
|
フェルトキルヒ - ティシス - シャーン=ファドゥーツ - ブクス
|
フェルトキルヒ - ブクス線
|
ÖBB
|
2022年12月11日
|
S 3
|
ブレゲンツ - ルステナウ - ザンクト・マルグレーテン
|
リンダウ - ブルーデンツ線、ザンクト・マルグレーテン - ラウテラッハ線
|
ÖBB
|
2011年12月11日
|
S 4
|
ブルーデンツ - ザンクト・アントン・イム・モンタフォン - ブルンネンフェルト=シュタレール - シュルンス
|
モンタフォン線
|
ÖBB
|
2012年12月9日
|
R 5
|
ザンクト・マルグレーテン - ルステナウ - ラウテラッハ - ドルンビルン( - フェルトキルヒ)
|
ザンクト・マルグレーテン - ラウテラッハ線、リンダウ - ブルーデンツ線
|
ÖBB
|
2021年12月12日
|
S 7
|
ヴァインフェルデン - ズルゲン - ロマンスホルン - ロールシャッハ( - ザンクト・マルグレーテン - ブレゲンツ - リンダウ=ロイティン)
|
|
thurbo
|
2021年12月12日
|
S1:リンダウ - ブルーデンツ
この路線はフォアアールベルクSバーンの路線の中で最も混雑している。ブレゲンツとブルーデンツ間で、深夜0時まで30分間隔で運行されている。主要な停車駅はブルーデンツ、ブレゲンツ、ドルンビルン、フェルトキルヒである。同じ方面のレギオナルエクスプレス(REX:快速)、インターシティ(特急)、レイルジェットを合わせて、1時間当たり4本の列車がこの路線で両方向に運行されている。
S2:フェルトキルヒ - ブクス
リヒテンシュタインSバーンとして計画されていた路線であるが、リヒテンシュタイン市民の投票で出資が否決されたためフォアアールベルクSバーン「S2」系統に組み込まれた。SバーンとREXが運行している。一定間隔運行は実施されていない。
S3:ブレゲンツ - ザンクト・マルグレーテン
朝6時から深夜0時まで1時間間隔で、平日20時までは30分間隔で運行されている。主要な停車駅はルステナウである。終点のザンクト・マルグレーテンではザンクト・ガレンSバーンと接続している。
S4:シュルンス - ブルーデンツ
おおむね30分間隔、夜間は1時間間隔で運行されている。
R5:ザンクト・マルグレーテン - フェルトキルヒ
当初はルステナウ - ドルンビルン間(一部フェルトキルヒまで乗り入れ)の運行であったが、2022/23年のダイヤ改正に伴いザンクト・マルグレーテンまで延伸され、系統名も「S5」から「R5」に変更された。
S7:リンダウ - ヴァインフェルデン
この区間を運行するÖBB列車はREXとして時刻表に掲載されている。
運用車両
ÖBBの4024形電車(第1世代「タレント」)が運用されている。2021年8月に4748形電車(「デジロML」)が登場した。S7系統ではシュタッドラー・レール製車両も運用に入っている。
脚注
外部リンク