フィリップ・マクドナルド(Philip MacDonald、1900年11月5日 - 1980年12月10日)は、イギリスの推理作家、脚本家。ロンドン生まれ。祖父は児童向けファンタジー作家のジョージ・マクドナルド、父は作家のロナルド・マクドナルド、母は女優のコンスタンス・ロバートソン。オリバー・フレミング、アンソニー・ローレス、マーティン・ポーロック、W・J・スチュアートなど複数の筆名を使用した。
経歴
1900年11月5日、イギリスロンドンに生まれる。第一次世界大戦中は、メソポタミアで英国騎馬隊で軍馬の調教に従事した。1924年刊行の『鑢』が注目を集め専業作家となる。同作をはじめ『Xに対する逮捕状』『エイドリアン・メッセンジャーのリスト』ほかアントニー・ゲスリン大佐が探偵役をつとめる作品が代表作である。作家のF・ルース・ハワードと結婚した後、1931年に渡米しハリウッドで脚本家として活動を始める。ラジオやテレビの脚本も多数手がけた。1953年と1956年にエドガー賞の最優秀短編賞を受賞した。
映画の脚本は自身の著書を原作としたものだけでなく、中国系の刑事チャーリー・チャンシリーズ(アール・デア・ビガーズ原作)、日本人ミスター・モトシリーズ(J・P・マーカンド原作)などのオリジナル脚本も多く執筆した。ダフネ・デュ・モーリアの小説『レベッカ』の脚色も手がけ、それをもとに同映画(アルフレッド・ヒッチコック監督)の脚本を仕上げたロバート・E・シャーウッド(英語版)らはアカデミー脚色賞にノミネートされた。
1980年12月10日、カリフォルニア州ロサンゼルスのウッドランドヒルズにて死没。
作品リスト
小説
アントニー・ゲスリンシリーズ
- The Rasp (1924)
- The White Crow (1928)
- The Noose (1930)
- The Link (1930)
- The Wraith (1931)
- The Choice (1931)
- The Crime Conductor (1931)
- The Maze (1931)
- Murder Gone Mad (1931)
※……ゲスリン大佐の協力者・パイク警視がメインの、シリーズ番外編。
- Rope to Spare (1932)
- Death on My Left (1933)
- Warrant for X (1938)
- The List of Adrian Messenger (1959)
その他
- Queen's Mate (1926)
- Patrol (1927) - 「The Lost Patrol」として映画化
- Likeness of Exe (1929)
- Rynox (1930)
- R.I.P. (1933)
- 生ける死者に眠りを(2016年10月、論創海外ミステリ、鈴木景子訳)
- The Dark Wheel (1948)
- Guest in the House (1956)
短編集
- Someting to Hide (1953) エドガー賞短編賞受賞
- The Man out of the Rain (1957) 「Dream No More(夢見るなかれ)」でエドガー賞短編賞受賞
- Death and Chicanery (1962)
オリバー・フレミング名義(2作とも父ロナルドとの合作)
- Ambrotox and Limping Dick (1920)
- The Spandau Quid (1923)
アンソニー・ローレス名義
- Harbour (1931)
- Moonfisher (1931)
マーティン・ポーロック名義
- Mystery at Friar's Pardon (1931)
- Mystery in Kensington Gore (1932)
- X v. Rex (1933)
W・J・スチュアート名義
- 禁断の惑星 Forbidden Planet (1956) - ノベライズ
ウォレン・スチュアート名義
- The Sword and the Net (1941)
主な映像化作品
脚本に携わったものや著作の映像化(「」内が原作)など
- Lost Patrol (1929年、ウォルター・サマーズ監督、「Patrol」)
- The Rasp (1932年、マイケル・パウエル監督、「鑢」)
- Rynox (1932年、マイケル・パウエル監督、「Rynox」)
- The Lost Patrol (1934年、ジョン・フォード監督、「Patrol」)
- Who Killed John Savage? (1937年、モーリス・エルビー監督、「Rynox」)
- A Gentleman's Gentleman (1939年、戯曲、ロイ・ウィリアム・ニール監督)
- Le Collier de Chanvre (1939年、レオン・マト監督、「Rope to Spare」)
- The Nursemaid Who Disappeared (1939年、アーサー・B・ウッズ監督、「Xに対する逮捕状」)
- Nightmare (1942年、ティム・ウィーラン監督)
- Circle of Danger (1951年、ジャック・ターナー監督)
- The Hour of 13 (1952年、ハロルド・フレンチ監督、「殺人鬼対皇帝」)
- 23 Paces to Baker Street (1956年、ヘンリー・ハサウェイ監督、「Xに対する逮捕状」)
- The List of Adrian Messenger (1963年、ジョン・ヒューストン監督、「ゲスリン最後の事件」)
外部リンク