『ザ・ロスト・トライデント』(原題:The Lost Trident Sessions)は、ジャズ・フュージョン・グループ、マハヴィシュヌ・オーケストラのスタジオ・アルバム。1999年9月21日にソニー・ミュージックエンタテインメントから発売された。もともと1973年6月にトライデント・スタジオで録音されたものだったが、26年後になるまで発売されなかった。アルバムの詳細なライナーノーツによると、1998年11月、コロムビア・レコードのプロデューサー、ボブ・ベルデンが、コロムビアのロスアンゼルスにある地下保管室で、マハヴィシュヌ・オーケストラが1972年に発表したアルバム『火の鳥』のリマスター版を再発売するにあたり追加収録できる素材を探している時に、四分の一インチカートリッジを2本偶然発見したということである。そのテープには録音された場所は記入されていたものの、タイトルは記入されていなかった。しかしさらに調べたところ、ステレオにミックスダウンされた、「マハヴィシュヌ・オーケストラの三枚目のスタジオ・アルバムになるはずのもの」であることが明らかとなったのである[1]。
ギタリストのジョン・マクラフリンは、1977年に、ミュージック・ギグ・マガジンに以下のように語っている。
マクラフリンは、バンドの最盛期を録音することができなかった、と感じていた。「絶対に発売されることはないスタジオ・アルバムがあるんだけど、その内容は本当に良いものなんだ」そのアルバムは、『
内に秘めた炎』、『火の鳥』に続くマハヴィシュヌ・オーケストラの3枚目のスタジオ・アルバムになるはずだった。「しかしそのアルバムが制作された時に、バンドの内部で、感情があまりに高ぶってしまってお互いに相手を冷静に判断することができなくなっていたんだ。みんなそのことでピリピリしていた」なぜ?「なぜなのかはわからない」そしてマクラフリンはそれ以上、そのことについて追究することはしなかった。「バンドのメンバーがどう感じているのか私に話してくれた時に、私はみんなの気持ちを尊重しようと考えた。どうしてそんなふうに感じるのか説明して欲しいと一人一人に頼むことはしなかった。もう充分だった。それで我々はライブ・アルバム(『
虚無からの飛翔』)を出した。そのアルバムも良かったんだが、同じ水準には達していないね。でもいつかあのアルバムも日の目を見て欲しいものだ。すごいアルバムなんだ」
[2]
「ジョンズ・ソング#2」を除き、このアルバムの曲はすべて、他のアルバムで聴くことができる。「ドリーム」、「トリロジー」、そして「シスター・アンドレア」は1973年のマハヴィシュヌ・オーケストラのライブ・アルバム『虚無からの飛翔』に収録されている。また、「アイ・ワンダー」と「ステッピングス・トーンズ」はヴァイオリン奏者であるジェリー・グッドマンと鍵盤奏者のヤン・ハマーによる1974年のアルバム『ライク・チルドレン』に収録されている[3]。
収録曲
# | タイトル | 作詞 | 作曲 | 時間 |
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1. | 「ドリーム(Dream)」 | | ジョン・マクラフリン | |
2. | 「トリロジー(Trilogy)」 | | ジョン・マクラフリン | |
3. | 「シスター・アンドレア(Sister Andrea)」 | | ヤン・ハマー | |
4. | 「アイ・ワンダー(I Wonder)」 | | ジェリー・グッドマン | |
5. | 「ステッピングス・トーンズ(Steppings Tones)」 | | リック・レアード | |
6. | 「ジョンズ・ソング#2(John's Song #2)」 | | ジョン・マクラフリン | |
合計時間: | |
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パーソネル
チャート
脚注
外部リンク