アルフレッド・ラッセル・ウォレス の本『マレー諸島』にある本種の挿絵
クロミズカキトビアオガエル [ 1] (黒水掻飛青蛙、学名 : Rhacophorus nigropalmatus )は、アオガエル科 アオガエル属 (Rhacophorus )に分類されるカエル の1種で、空気抵抗 を利用し滑空 することができる。英名の翻訳でワラストビガエル またはウォーレストビガエル で呼ぶこともある[ 2] [ 3] 。
英名は生物学者 で探検家 のアルフレッド・ラッセル・ウォレス が初めて本種の標本 を採集したことにちなむ。
分布
マレー半島 、ボルネオ 、スマトラ が主な生息地 である[ 2] 。
ラオス 、ベトナム 、中国 南部にも類似種の発見例があるが、同種であるかどうかは今のところ不明である[ 4] 。
形態
本種の身体はやや扁平である。体長はおよそ80-100ミリメートルで、アオガエル属では最大の部類に入る。他のアオガエル類と同様、メスはオスより大型である。目 と鼓膜 が大きく、瞳孔 は水平方向に長い。四肢は長く、指 の先端部が肥大化している。体色は光沢 のある緑色 で、腹面は白色 か薄い黄色 である。また、体の両側には黒い斑点が1つずつある。
特徴としては指の間には水かき のような皮膜がついている。また、四肢の間にも飛膜のような伸びた皮膜がある。指と水かきの外縁部は山吹色 で、水かきの大部分は真っ黒である。種小名のnigropalmatus(黒い手のひら )はこれに由来する。
全体的にジャワトビガエル (Rhacophorus reinwardtii )と Rhacophorus kio に似ているが、本種は体長がより一回大きく、水かきも橙色 っぽい色を呈していない。[ 5] [ 2]
分類
デニスアオガエル (Rhacophorus dennysi )、Rhacophorus maximus 、Rhacophorus feae は、かつて本種の亜種 と見なされた時期がある。
生態
樹上棲 で、交尾 と産卵 の時以外はめったに地面に下りることはない。繁殖 時にはスマトラサイ がヌタ場 にしている水たまり を好む[ 2] 。
熱帯雨林 の中で滑空して木から木へ移動する。危険を察知した時または餌 を探す時には、枝 から飛び降りて四肢と指を扇 のように大きく開いて飛ぶ。飛膜によって空気抵抗が大きくなるので、本種は近くにある他の木や地面へと滑空することができる。15メートルやそれ以上の距離を滑空した記録もある。指の先端部が大きく膨らんでいることから、木や地面に接触する時に衝撃を和らげることができる。また、この構造によって木登り する時にも滑りにくくなる[ 5] [ 2] 。
食性は動物食 で、主に昆虫類 を捕食 する[ 6] 。主な天敵 は樹上棲のヘビ である[ 7] 。
脚注
参考文献
Bordoloi, Sabitry; Bortamuli, Tutul & Ohler, Annemarie (2007): Systematics of the genus Rhacophorus (Amphibia, Anura): identity of red-webbed forms and description of a new species from Assam. Zootaxa 1653 : 1–20. PDF abstract and first page
Sukumaran, Jeet (2005): Encounter with Wallace's Flying Frog, The Frog of the Monsoons . Version of 2005-JUN-29. Retrieved 2007-JUN-22.
Tunstall, Tate (ed.) (2003): AmphibiaWeb - Rhacophorus nigropalmatus , Wallace's Flying Frog . Version of 2003-APR-12. Retrieved 2007-JUN-22.
van Dijk, P.P.; Iskandar, D. & Inger, R. (2004). "Rhacophorus nigropalmatus " . IUCN Red List of Threatened Species. Version 2006 . International Union for Conservation of Nature . 2007年6月22日閲覧 。
関連項目
外部リンク