エンパイア・ビルダー(Empire Builder)は、アメリカ合衆国のグレート・ノーザン鉄道(Great Northern Railway)が運行した、代表的な大陸横断列車。現在もアムトラックにより運行されている長距離列車である。
概要
エンパイア・ビルダー(ジェームズ・ジェローム・ヒルの通称「帝国建設者」の意)は、グレート・ノーザン鉄道がシカゴ・バーリントン・クインシー鉄道(Chicago, Burlington and Quincy Railroad、略称CBQ)、スポケーン・ポートランド・アンド・シアトル鉄道(Spokane, Portland, and Seattle Railway、略称SP&S)と提携して、イリノイ州シカゴ〜ワシントン州シアトル〜オレゴン州ポートランド間に1929年から1970年まで運行した大陸横断の代表的な旅客列車。モンタナ州のグレイシャー国立公園を経由した。1971年のアムトラック発足まではバーリントン・ノーザン鉄道(Burlington Northern Railroad)により運行された。
シカゴ〜ミネソタ州セントポール間はシカゴ・バーリントン・クインシー鉄道、ワシントン州スポケーン〜ポートランド間はスポケーン・ポートランド・アンド・シアトル鉄道が運行した。
1947年に重鋼製車両から流線型化された。
ノーザン・パシフィック鉄道のノースコーストリミテッド、ミルウォーキー鉄道(Chicago, Milwaukee, St. Paul and Pacific Railroad、略称CMSP&P RR)のオリンピアン・ハイアワサと競争関係にあったが、1971年のアムトラックの発足により、同社が運行を継承、現在は毎日運行されている。
歴史
年表
- 1929年: エンパイア・ビルダー運行開始
- 1947年: 重鋼製車両から流線型化
- 1951年: 更に再装備
- 1955年: ドーム型展望車(Dome car)導入
- 1970年: グレート・ノーザン鉄道、ノーザン・パシフィック鉄道、シカゴ・バーリントン・クインシー鉄道、スポーケン・ポートランド・シアトル鉄道が統合してバーリントン・ノーザン鉄道発足。同社が運行継続。
- 1971年: アムトラックの発足により、同社が運行継承。
1968年5月6日の編成
- シカゴ発シアトル行き・ファーゴ到着時の編成である。
使用車両 |
車両愛称・形式 |
車種
|
GN327 |
SDP40ディーゼル機関車 |
ディーゼル機関車
|
GN326 |
SDP40ディーゼル機関車 |
ディーゼル機関車
|
GN279 |
|
バゲージ(荷物車)
|
GN44 |
|
バゲージ・メール(荷物・郵便車)
|
GN275 |
|
バゲージ(荷物車)
|
GN1205 |
|
バゲージ・ドミトリー(荷物・乗務員車)
|
CB&Q1211 |
|
コーチ(座席車)
|
GN1327 |
|
ドーム・コーチ(展望・座席車)
|
GN1245 |
WHITEFISH LAKE |
ランチカウンター・ラウンジ
|
GN1228 |
|
コーチ
|
GN1131 |
|
コーチ
|
GN1328 |
|
ドーム・コーチ
|
GN1391 |
OCEAN VIEW |
ビッグドーム・ビッフェ・ラウンジ
|
GN1250 |
LAKE OF THE ISLES |
ダイニング
|
GN1372 |
AKAMINA PASS |
寝台車(6ルーメット・5ダブルベッドルーム・2コンパートメント)
|
GN1379 |
BIG HORN PASS |
寝台車(6ルーメット・5ダブルベッドルーム・2コンパートメント)
|
GN1384 |
LEWIS & CLARK PASS |
寝台車(6ルーメット・5ダブルベッドルーム・2コンパートメント)
|
UP1101 |
AMERICAN CONSULATE |
寝台車(6セクション・6ルーメット・4ダブルベッドルーム)
|
GN A-1 |
|
ビジネス・カー
|
主な経由地
日本への影響など
- 日本の鉄道で一時期流行した、湘南電車などを代表とする「金太郎」などとも言われる車体の塗り分けの原型は、エンパイア・ビルダーに用いられた深緑とオレンジの塗色と言われている。
- 近畿日本鉄道の初代「ビスタカー」10000系電車は、エンパイア・ビルダーに連結されていた「ビスタドームカー」からヒントを得たと言われている。
その他の主要列車
- ウェスタン・スター (シカゴ - ミネアポリス - セントポール - シアトル・ポートランド)
- 以上はシカゴ・バーリントン・クインシー鉄道、スポーケン・シアトル・ポートランド鉄道との提携列車
- コースト・プール・トレイン (シアトル - ポートランド)
- ユニオン・パシフィック鉄道、ノーザン・パシフィック鉄道、グレート・ノーザン鉄道3社の共同運行
- ダコタン (セントポール - ミノット)
- ウィニペッグ・リミテッド (セントポール - ウィニペグ)
- カスケーディアン (シアトル - スポーケン)
参考文献
- karl,Zimmermann Domeliners. Kalmbach Publishing, 1998.ISBN 0-89024-292-5
- Robert J, Wayner. Passenger Train Consists 1923-1973 Wayner Publications
外部リンク