エイルザ侯爵 (英 : Marquess of Ailsa )は、イギリスの侯爵 位、貴族 。連合王国貴族 爵位。スコットランド貴族 の第12代カセルス伯爵アーチーボルド・ケネディ が1831年 に叙されたことに始まる[ 1] 。
爵位名はクライド湾 に浮かぶ小島(アルサクレイグ島 )に由来し、同島は長くケネディ家の所有であったが、2013年 に売却された[ 3] 。また、侯爵家の当主はケネディ氏族 (英語版 ) の氏族長を務める。
かつての邸宅には、カセルス・ハウス、エアーシャー州メイボール (英語版 ) 近郊のクレイン城 (英語版 ) などがあった[ 4] 。
歴史
侯爵家の旧邸宅であるカセルスハウス 。スコットランド、エアシャー地方に現存。[ 5]
エイルザ侯爵ケネディ家がかつて領していたアルサクレイグ島
スコットランド の有力氏族 であるケネディ家の歴史は長く、14世紀末までにその先祖の存在を確認することができる。その中でも、ギルバート・ケネディ (英語版 ) (1406頃‐1480頃) がスコットランド王ジェームズ3世 の御世の1457年 にケネディ卿 (Lord Kennedy) に叙されたことはのちのエイルザ侯爵家につながる出来事であった[ 6] 。
1509年 には、初代卿の孫でスコットランド枢密院顧問官 を務めた3代卿デイビッド(1463–1513) がカセルス伯爵 (Earl of Cassillis) [ 註釈 1] に叙された[ 7] 。
その後も初代伯の系統は7代伯ジョン (1653–1701) まで爵位継承を続けたが、その孫である8代伯ジョン (1700–1759) が1759年 に嗣子なく没してしまう[ 7] 。この際に、伯爵位及び卿位が「男系相続(heir male) であるのか、女系も含めた相続(heir general) であるのか」を巡って論争となった。男系の場合は、3代伯の男系子孫であるクレインのケネディ準男爵 (英語版 ) 家当主のトマス・ケネディ (1726-1775) が継承者であった。一方で女系の継承者として、7代伯の娘の孫にあたる第4代クイーンズベリー公爵ウィリアム・ダグラス がその爵位の継承を主張したため、貴族院 による裁定を求める運びとなる[ 7] 。
これに対して、貴族院は1762年 に『カセルス伯爵位及びケネディ卿位は男系子孫がこれを承継する』との決定を下したため、トマス・ケネディが第9代カセルス伯爵を襲うこととなった[ 7] [ 8] 。
9代伯ののちは弟のデイヴィッド が爵位を相続した。しかし、10代伯デイヴィッド(1727-1792) には男子がなかったため、(クレインのケネディ)準男爵位は廃絶、カセルス伯爵位は遠縁アーチボルド・ケネディ (?–1794) が爵位を相続した[ 7] 。
その息子である12代伯アーチボルド (1770–1846) は国王ウィリアム4世 の親しい友人であり、次男がウィリアム4世の庶出の娘と結婚したほか[ 9] 、1831年9月10日には連合王国貴族 であるエアシャー におけるエイルザ島 のエイルザ侯爵 (Marquess of Ailsa, of the Isle of Ailsa in the County of Ayr) に叙されて、今に続く侯爵家の祖となった[ 10] 。
現在もその初代侯の系統で続いており、彼が1806年 に連合王国貴族 としてエアー州エイルザのエイルザ男爵 (Baron Ailsa, of Ailsa in the County of Ayr) に叙されたため、1999年貴族院法 制定まで侯爵家当主は自動的に貴族院 に議席を持ち続けていた[ 11] [ 12] 。
現当主の保有爵位
現当主である第9代エイルザ侯爵デイビッド・トーマス・ケネディは以下の爵位を保有している[ 11] 。
第9代エアー州エイルザ島のエイルザ侯爵 (9th Marquess of Ailsa, of the Isle of Ailsa in the County of Ayr) (1831年 9月10日 の勅許状による連合王国貴族 爵位)
第20代カセルス伯爵 (20th Earl of Cassillis) (1509年 創設のスコットランド貴族 爵位)
第22代ケネディ卿 (22nd Lord Kennedy) (1457年 創設のスコットランド貴族爵位)
第9代エアー州エイルザのエイルザ男爵 (9th Baron Ailsa, of Ailsa in the County of Ayr) (1806年 11月12日 の勅許状による連合王国貴族爵位)
一覧
ケネディ卿(1457年)
カセルス伯爵(1509年)
エイルザ侯爵(1831年)
法定推定相続人 は現当主の息子であるカセルス伯爵(儀礼称号 )アーチボルド・デイビッド・ケネディ(1995–)。
脚注
註釈
^ 実際の発音は、( KASS -əlz )であり、対応するカタカナ表記では「カサルズ」。
出典
^ "No. 18846" . The London Gazette (英語). 9 September 1831. p. 1833.
^ Kevin McKenna, 'Ailsa Craig, granite jewel of the Firth of Clyde, finally finds a buyer', The Guardian, Saturday 7 December 2013
^ "Battle brews over castle 'clearances' " . www.scotsman.com (英語). 2019年11月28日閲覧 。
^ “Battle brews over castle 'clearances' ” (英語). www.scotsman.com . 2019年11月28日 閲覧。
^ “Kennedy, Lord (S, 1457-8) ”. Cracroft's Peerage. 2019年11月29日 閲覧。
^ a b c d e “Cassillis, Earl of (S, 1509) ”. Cracroft's Peerage. 2019年11月29日 閲覧。
^ The Complete Peerage, vol. III, pp 78 – 79
^ Paul, James Balfour, Sir , ed. (1905). The Scots Peerage (英語). Vol. II. Edinburgh: David Douglas. pp. 496–501.
^ "No. 18846" . The London Gazette (英語). 9 September 1831. p. 1833.
^ a b “Ailsa, Marquess of (UK, 1831) ”. Cracroft's Peerage. 2019年11月29日 閲覧。
^ “No.15971 ”. The Gazette 1 November 1806. 2019年11月29日 閲覧。
関連項目
参考図書
Cokayne, George E. (1910). Gibbs, Vicary . ed. The complete peerage of England, Scotland, Ireland, Great Britain and the United Kingdom, extant, extinct, or dormant . I, Ab-Adam to Basing . London: St. Catherine Press. pp. 67–68. https://babel.hathitrust.org/cgi/pt?id=mdp.39015066332571
Cokayne, George E. (1998). Hammond, Peter W. (ed.). The complete peerage of England, Scotland, Ireland, Great Britain and the United Kingdom, extant, extinct, or dormant . Vol. XIV, Addenda and Corrigenda. London: St. Catherine Press. pp. 12–13.
The Rulers of Strathspey, a history of the lairds of Grant and the Earls of Seafield, 1911, by the Earl of Cassilis